お客さんの様子を伺いながら お茶をひとくち飲んだとき ちょうど二人連れの女性と眼が合った 昼休みも休憩も取れない わたしにとってごく普通の行為が 無遠慮に見えたかと思い 言い訳をしたところから会話が始まった
面接のときどういう条件だったの とか 職場の改善を申し入れるべきよ とか 初対面なのに我が事のように 言ってくれることに対して うまく受け流すこともできず 突っ込んだ内容になってしまった
それを もう20年もボランティアをしているという 片方の女性が気に入ってくれて ちょっとここに座っていいかしらと お連れが外に出てしまったのに話し続けた なんでも 彼女の所属する団体では 古い着物や着物から作った服を売って 手数料としてもらった一割を寄付しているのだそうだ
それから わたしがリメイクをしていることを聞いて驚き 名刺を受け取り ときどきいないって思うけど やっぱり 神様はいるのね と ご自分の連絡先を 掴まらなかったときのためにと三箇所も 丁寧にメモ書きしてくれたのだった
売り場にいて 何万人のお客さんと顔を合わせても こんな出会いは初めてのこと 売り物を介してのやりとりや コウノトリについての質問はあっても およそ個を出すような場面はないのだから
不思議ねえ あなたが正直に話してくれたせいね わたしが話させたのねきっと そうかもしれない したいこととしていることの分裂を 一致させようとする無意識が 彼女をきっかけに 溢れたのかもしれなかった
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