愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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2012年11月19日(月) 今日も今日とてmsd

 高校に入学したFとO。クラスは別々。A高では二年から、理系文系と志望大学によってクラス分けするんだけど、一年には、選抜クラスなるものがあって、Fはそこに入る。Oも選抜クラスを希望したんだけど(Fと同じクラスがいいから)漏れちゃった。
 Pは転校生設定の予定だったけど、そうじゃなくて、高一でOと同じクラスになったんでいいや。Fとクラスが別でつまんないなーと思ってるO。ちなみに、Oのクラスの担任は、若くて綺麗なS(ストロベリーリング)先生。女性だよ。Pは、授業中にちょっと面白いことを言ったりして周りを笑わせるような、目立つタイプの男子。自然と周りに人が集まって、クラスの中心にいるものの、みんなを引っ張っていくリーダータイプではなく、どこか飄々としていて、気付くと仲間達から一人離れてどっか行っちゃったりしてる。マイペースな奴だと周りに思われている。最初は、OはPのことを特に気にしてなかった。それより、S先生の美しさと人気っぷりにびっくりしてる。こんな綺麗な先生っているんだなーって。別のクラスの男子に、「S先生が担任なんて羨ましい」とか言われたりするんだけど、Oとしては、「S先生もいいけど、Fもすごいから注目して!?」って気持ちがある。Fは入試の成績が一番だったためか、新入生代表の挨拶をしたんだけど、Oはそれがとっても自慢で、皆の衆に「彼は俺の親友なんです!」と言って回りたいくらいなんだ。まあそれはそれとして、OがPを気にするようになったのは、S先生に関係している。Fのクラス(7組/選抜クラス)は、通常授業の後に課外授業が一時間ある。OはFと一緒に帰りたいので、放課後しばらく時間を潰すんだけど、図書室行ったり屋上行ったり、校内をうろうろしたり。ある日、適当にうろうろした後、教室に戻ろうとすると、室内にS先生とPが一緒にいた。二人はやたら親密な雰囲気で、触れ合わんばかりに距離が近い。Oは中に入りづらくて、かといって立ち去ろうにも教室に鞄を置いたままだし、ドアに隠れて二人を見つめる形になってしまう。Pが先生に何か言うと、先生がさも楽しそうに笑い、Pの腕を叩く。先生のその仕草が、Pを見上げる眼差しが、いかにも女で(彼氏を連れてきたときの姉ちゃんみたいだ、とOは思った)、一生徒に対する教師の態度には見えず、Oは戸惑う。それまではひそひそと小声で話していた二人だったが、「じゃあ、そろそろ行くから」と、Oにも聞き取れるような声で先生は言い、教室を出て行く。Oがいるドアとは反対側から出て行ったので、Oには気付いてないようだった。Oは、もう教室に入っていいよな、と思いつつも、すぐには入りづらいなーと少しためらう。そしたら、Pが、
「お待たせしました。どうぞ」
 って、Oに向かって微笑んだ。いつから気付いてたんだ? と思いつつも、「どうも」ってOは中に入る。自分の机に行き、鞄を取ってからPを見ると、PはOのことなどすぐに忘れてしまったように、窓から校庭をぼんやり眺めてる。Oは、なんだこいつ、と思う。でもまあいいや、もうすぐ7組の課外が終わる、と思いながら、「じゃあ」とPに言い残して、教室を出ようとする。そこで、Oの存在を思い出したように、Pは、
「あ、待って。名前、なんだっけ。俺はP」
 知ってるよ、と思いつつ、名乗るO。
「O君、変な噂とか、流さないでね? S先生とPはできてる、とかさ。できてないから。S先生ってうちの高校出身なんだけど、俺のばーちゃんが、前にここで先生してて、ばーちゃんとS先生、今も年賀状のやりとりとかしてんの。それで、俺はS先生を前から知ってて、さっきもばーちゃんの話で盛り上がってたの。それだけ」
 Pにとってはそれだけでも、S先生のさっきの態度はそれだけじゃないっぽい、ってOは思う。でも、そんなことは言わず、そうなんだー、に止める。
「それに、S先生、結婚してるしね」
「そうなの?」
 Oは、てっきり独身かと思ってた。結婚してるように見えなかった。
「そうなの。左手の薬指、明日チェックしてみ」
 うん、じゃあチェックしてみよう。って、そんなの別にどうでもいい、って、Oは思う。それで、なんかPに対してムカムカしてくる。Pって、今までOの周りにいなかったタイプなんだ。Oと関わる子達って、素朴で気さくなタイプが多かった。Pの、一見親しみやすいようでいて、どこか人を食ったような調子に、Oは馴染めず、居心地の悪さを感じていた。
「結婚してたって、できるときはできる。だから世の中には不倫がはびこってる」
「おっと、そうくるか」
「でもそれはそれとして、S先生とPができてるとか、そんな根拠のないこと、言いふらしたりなんかしない」
 Oは素直なんで、思ったことを言っちゃう方なんだけど、こんなふうに他人に対して攻撃的、とまではいかなくても強い物言いをするタイプではない。Pの態度が、いかにもOのことをなんとも思ってないふうなのが腹立って、OはPに一矢報いたいような気持ちになったんだ。Pは、愉快そうに笑ってる。Oに反論されるまで、PにとってOは、本当に何でもない、どうでもいい存在だった。だから名前だって覚えてないし、おもしろみの無さそうな奴だ、くらいにしか感じてなかった。でも今は、Oってちょっとおもしろいかも? って感じ始めてる。相手にする価値があるかもしれない、と。
「今から帰るの? 家どこ? 何中だっけ? 途中まで一緒に帰っていい?」
 急に興味を示してくるPに、悪い気はしないO。でも、ああもうこんな時間、早く7組に行かないと。
「俺、7組に友達がいて、課外が終わるまで待ってたんだ。だから、ごめん、じゃあ、また」
「7組に。そりゃ賢いお友達をお持ちで」
 そして俺にも賢いお友達、っていうか幼馴染みがいるな、とPは心の中で思う。Pには、E(エンゼルクリーム)という幼馴染み(女子)がいて、選抜クラス入りしてる。Eはしっかり者で、7組の先生に言われて学級委員をやってる。Fも学級委員だよ。あと、OとPは3組にしよう。そして、この妄想、いつまで続けるんだろう(不安)


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