愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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| 2004年05月19日(水) |
進藤ちゃ(略)(四) |
続き。短いよ。昨日書くつもりだったんだけど忘れてた。
バイトから帰った進藤ちゃんは、居間にドーンと置かれているラブソファーを見て大いに驚く。 「何これ…!」 「見ての通りソファーです」(ソファーに腰掛けつつ) 「なんで!?」 「なんでって。進藤ちゃんがほしいって言ったんじゃないのー。おっきいのは無理だけどね。置くとこないし。だから二人掛け用で我慢して〜」 タテはこのソファーを置くために昨日掃除をしたのでした。進藤ちゃんはもうほんとに驚いて、そんで感激して、あーもー! って気持ちになる。 「まーまーお座んなさいな」(すぐ隣りをポンポンと叩く) 「…あー、立松って、ほんと…、」(のろのろと腰掛けつつ) 「なによー」 「いちいち言動があれだよな…」 「どれよ(笑)!」 「うーん」(タテにもたれ掛かる) 「そもそもは進藤ちゃんが『ソファー買って』って言ったんでしょー。今日はいきなり『会いに来て』とか言うしさー」(進藤ちゃんの肩を抱く) 「『ソファーがほしい』とか『会いたい』とは言ったけど、『買って』とか『会いに来て』とは言ってないだろ…」 「どっちも一緒じゃん」 「いや、違うだろ」 「一緒だよー」 「違うって」 「なんで。一緒だよ。だって俺は『なんでもする』って言ったもの。進藤ちゃんの望みならばなんでも。だよ。だから一緒なんですー」 「……」 「あ、バイト行かなきゃ」(唐突) 「えっ」 「うん、ごめんねー。ここでずっと進藤ちゃんといちゃいちゃしてたいのは山々なんですが…」 「さっさとバイト行けよ」 「わっはっは! まーバイト行ってくるけど、ノリオがいなくて寂しいからって泣かないでね。新品のソファーを涙でびしょ濡れにしちゃイヤよ」 「あーもーうっとーしー!」(顔近付けてチューしようとしてくるタテのデコをペチンと叩く) 「あーあ、いーんですかぁ〜? そんな態度とっちゃってー」 「なんだよ…」 「“会いたいよ”」 「う」 「“キスしたい”」 「ううう…」 「“うそ。ごめん。バカで 「うーるーさーいー!」 「わははははは! 当分は言い続けてやる! そんじゃー行ってきま〜す!」 「今度言ったらグーで殴ってやる!」 「いいよー。進藤ちゃんになら土足で踏みにじられたっていいもんネー」 「早く行け!」 「はいはい」 タテはもうとっても機嫌よくて、今にも踊りだしそうなほどの陽気な足取りで部屋を出て行きます。 バタン、と扉の閉まる音がして、進藤ちゃんはほっと息をついて、のそのそとソファーに横になる。体を伸ばせば、頭も足も思いきりはみ出る。 せまい… 一人で横たわってこれじゃあ、ここでは到底無理だな。できないな。 (って何がだよ) はー、と長いため息をついて、進藤ちゃんは目を閉じる。瞼の裏にはやっぱりというかなんというか普通にタテが浮かんでる。むかつくくらい鮮やかに。 いけしゃあしゃあと、当然のように出てくんなよな。 消えろ、 とか無理に思ってみたりしたけれど、タテは平然と笑ってる。 やーねー、進藤ちゃんが寂しいっていうから、出てきてあげたんじゃないのよ。 って、タテが言ってる。瞼の裏で。花が咲いてんのは胸の中だけで充分なのに、瞼にまで。咲くのか。咲いちゃうのか。もういいよ。やめてほしい。
(立松…)
ああ、なんで、こんなにも
ソファーを涙でびしょ濡れにしちゃイヤよ
って、アホか。 と、思う。思うけど、だけど。目尻が熱い。
びしょ濡れはさすがにありえないけど、滲むくらいなら。ね。
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