日記

2004年10月20日(水) High and Dry(はつ恋) byよしもとばなな

一度、発売されたときに読んでいたのだけれど。
再読してみた。

14歳の女の子が主人公。
とてもかわいい話だと思う。
主人公の夕子ちゃんも、そのはつ恋の相手であるキュウくんも、
とてもかわいくて微笑ましい。
そして、心の中にちょっとした闇みたいなものも、持っている。

思わず自分が14歳のときのことなんて考えてみたりする。
14歳といえば中3。(私は2月生まれなので。)
学校がつまらなくて、その年だけ行っていた塾は結構たのしく、学校については
イヤだけどその内終わるだろう、と思っていた。
中2の終わりに好きな子が転校していなくなり、中3の1学期は流れで学級委員
などやる羽目になり、まあつくづく自分がまとめ役に向いていないことを感じ
たりして、成績もかくんと落ちてしまい、プチ挫折みたいな日々。
チェッカーズは、Song for U.S.A.で、アルバム『FLOWER』で、“NANA”だ。
変革期。うれしかった時期。

自分自身のことを考えると、大人ぶっていてイイ子ぶっていて、自分のことを
大人だと思っていて冷めていて、まあイヤな子供だったことだろうと思う。笑
ちょっとくらい嫌われても仕方ない。

作文のことで成績が落ちて、先生から“走れメロス”とか読んでみなさい、と
勧められたりもした。でも読まなかった辺り素直じゃない。笑

さて、『High and Dry』の話に戻るが。
あらためて読み返してみると、とても大切なことが作中にちりばめられている
感じがした。
なにより、イイなあ!と思ってあこがれるのは、「キュウくんが、ものすごく
その人を好き」という設定で登場する“ほつみさん”だが。
キュウくんのおかあさんもカッコいい。エキセントリックでイイ味出してる
なあと思う。

作中に、キュウくんが「自分の考えをよく見てみると、きっとそれぞれに色が
あるだろう?」と言うところがある。
色をつけるとするなら、私の14歳はまさに灰色。(それって“考え”じゃなく
て“時期”だけど。)
でもチェッカーズのことがあったから、それに絡んだ思い出は、ピンクだったり
きれいな空みたいなブルーだったり、鮮烈な赤だったり、まさに七色だったり
するなあ!と思う。

そして、文章を書き始めたのもこの時期だった。

キュウくんが、自分が母親の不在時に目が見えなくなったことで、
「これはまずい。僕の持っている感情の強さは、いつか僕をこわしてしまう
かもしれない。だから何かで発散しなくちゃと思った」と言うシーンがある。
言葉で思ったわけじゃないけど、そういう意味のことを本気で、切実に感じた、
とキュウくんが言う。
「だから、それからはずっと、とにかく手を動かして創り続けているんだけど。
だって、そうしないと僕はいつか自分か、もしくは誰かをこわしてしまうから」と。
ああ、なんとなくわかるような気がするなあと思った。
私にそんな強い、衝撃的な何かがあったわけではないけど。
孤独や、心の闇みたいなもの。
孤独な夜、誰とも心を通じ合うことはないんじゃないかと思ったこともあった。
結局ひとりか?と言葉にすることはなかったが、心の奥で思った日もあった。
それを埋める何か。
他を傷つけてしまう前に、自分の内へ向かう。
そして自分の中から何か生み出すとかそういうの。
そうすることで、自分を保っていられるもの。
そういうのを、さがしてたと思う。
そしてめぐりあったのが、チェッカーズと、小説とか文章を書くことだったなあと。
そのキュウくんの言葉を読みながら、つくづく思ったのだった。

あと、ほつみさんが夕子ちゃんに「キュウくんのことを好きな人」である所の
“ミホさん”について、
「ああいう人は、私が大事にしているちっちゃいきらきらしたものを、みんな
地面の方に持って行って、だめにしちゃうんだもん」と言うところ。
わかる! そういうことあるー!と思った。笑
特に仕事上とかで、そういうことよくある。と思う。

あとは、この話を読んで、すごくほっとした気持ちになるのは、親の愛みたいな
ものをすごく感じるからじゃないかなと思う。
ゆるぎなくて、つよくてきらきら光って、人生の指針になるようなもの。
でも当たり前と思っちゃいけないもの。

だけどそれは、親や肉親からだけじゃなくって、尊敬する人や、好きな人や、
自分のことを好きになってくれた誰かからも、もらえるものなんじゃないか
って気もするんだけどね!

とにかく、いいお話だったのです。


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dona-chan