| 2004年02月05日(木) |
蛇にピアス(by金原ひとみ) |
芥川賞受賞作である。 作者の金原ひとみさんという子は、10代の頃引きこもりのような生活を 送っていたらしいと、ワイドショーを観たウチの母が言っていた。 帯には「暗い時代を生き抜く若者の、受難と喪失の物語」とある。 『蛇にピアス』というタイトル、その語感の感じに惹かれたこともあり、 買ってみた。
最初、50ページくらい読んでみて、あまりのセックスシーンのすごさと言うか 激しい感じに、私は割とそういうのを読むのは平気な方なのだが、流石に 「むむむ」と思い、これはもしかしたら売っちゃうかも・・・。などと思いながら 読んでいた。 アマ、という男の子と知り合って、主人公のルイは、そのアマがやっている スプリットタン(舌にボディーピアスの一番大きいのを開けて、その後剃刀等で 切り、蛇の舌先のように二つに分かれた舌にするというモノ)にものすごく 惹かれる。 その後、ピアスを買った先の店長であるシバさんから、背中に龍と麒麟の刺青を いれてもらうことになる。 アマとルイとシバという3人が作る物語は、ルイの視点から時には冷めた調子で、 時には熱く語られる。 後半の勢いのある展開の仕方がすごい。 読ませるなあ〜とうなるような気持ちで思い、読み終わった後、けして読後感は 爽快ではない、そういうものからはほど遠い感じなのだが、もしかしたら。と 思った。 私自身が日記やエッセイみたいなものや小説みたいなものを書くときには、 おそらく絶対に自分では書きそうにないテーマで書いてある小説だ。 暴力と死とセックスと。 でも読んだあと、そこに、愛情や友情みたいなものがあったと思わせる。 私個人は、何かものを書くときに、そこに光みたいなものが介在していたらいい と思う。何か光みたいなものを描きたいと思う。人生におけるちょっとした光 みたいなものを。それは人が愛とか恋とか友情とか呼ぶモノだろうか? わからないけれど。 でも、もしかしたら。 この小説を書いた金原さんという人も、もしかしたらそういう、光みたいなモノ を、暗い中から浮き上がらせるようにして描いているだろうか? 読んだ後で、けして爽快ではなかったと言いながら、そんな風に思ってしまう 何かがあった。と思った。
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