| 2003年03月22日(土) |
ストロボライツ(by若木未生) |
痛いなあ。 若木未生という人の小説を読んだとき、大抵、私はこんな感想を持つ。
何だろう。 言葉の選び方とか、キャラクターの性格設定とか、そういうの。 若くて、純粋で、やさしかったり、口では酷いことを言っていても、その実 ものすごく心が綺麗だとか。
そういうのを、作品全体から、これでもかという位に感じるからかと思うのだが。
そして、その中でもとりわけ、そういう心の痛みみたいなものを感じるのが、 グラスハートというシリーズの、坂本くん。 坂本一至という子の一人称での小説を読むときだ。
この『ストロボライツ』という短編も、坂本くんの一人称で話は進む。 もう本当に、好きだなあ、この話!と、読む度に思う。 ストーリー展開が、とくにあるわけでもない。 ある日ある夜、夜明け前のレコーディング風景。
ギタリスト高岡尚の父親が倒れて、ギター無しでレコーディングを進めなきゃ いけない。そしたらアレンジをどうしよう? 夜明け前。雷が鳴っている。 だれもいない非常階段。 そこで、バンドのリーダーで天才だとか言われてる(実はかなりハタ迷惑で かわいい人である)藤谷直季と、坂本くんの会話がつづく。
鏡とか。光とか。酸素、真っ赤なシルクの質感。とか。 この話の中のキーワード。 そのすべてが、とても綺麗なモノとして感じられる。引き込まれる。
若木未生という人は、私の魂を連れ去る人で、読む度に感動とくやしさが ないまぜになった複雑な気持ちを私は味わう。
ちいさな、とがった、ストロボライツ。 私自身がこんなにも反応してしまうということは、きっと若木さんの中にも、 私の中にも、そんなちょっとした綺麗なモノが、たしかに存在するってことじゃないかなあ?
・・・そんな風に思ってしまう私は、自分に都合の良い方に考えすぎているだろうか?
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