『日々の映像』

2010年06月02日(水) 鳩山首相辞任

報道
1、鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細1「国民のための予算成立 誇りに思っている」
2、鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細2 「人の命を大切にする政治、進めていかなければ」
3、鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細3 「私の不徳の致すところ その一つは普天間の問題」
4、社説:鳩山首相退陣 民主党は猛省し出直せ
                         以上毎日新聞から。

 鳩山由紀夫首相が2日、辞任を表明した。併せて小沢一郎幹事長も、鳩山首相にうながされる形で辞任した。日本の政治にとって、一つのけじめをつけることができたので良かったと思う。山のように情報が溢れているので、ここでは上記の報道を収録するにとどめたい。
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鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細1 「国民のための予算成立 誇りに思っている」
 鳩山由紀夫首相は2日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を巡る混乱の責任をとり、衆参両院議員総会で退陣を表明した。「最低でも県外」との自らの発言に反して自公政権時代の計画と同じ沖縄県名護市辺野古周辺への移設を閣議決定。署名を拒否した社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免し同党が連立離脱する事態を招き、政権の求心力が低下していた。党内でも、このままでは夏の参院選を乗り切れないとの意見が大勢を占めるようになり、これ以上の政権維持は困難と判断した。
 両院議員総会での鳩山首相の会見詳細は次の通り。
         ◇     ◇
 お集まりのみなさんありがとうございます。国民のみなさん、本当にありがとうございました。
 国民のみなさんの、昨年の暑い夏の戦い。その結果、日本の政治の歴史は大きく変わりました。国民の皆さんの判断は決してまちがっていなかった。私は今でもそう確信しています。こんなに若いすばらしい国会議員が、すくすくと育ち、国会で活動を始めています。国民のみなさんの判断のおかげでございます。
 政権交代によって、国民のみなさんのお暮らしが必ず良くなる。その確信のもとで、みなさん方がお選びいただき、私は総理大臣として今日まで、その職を行ってまいりました。みなさん方と協力して、日本の政治を変えよう。国民のみなさんが主役になる政治をつくろう。そのように思いながら、今日までがんばってきたつもりでございます。私は、今日お集まりの国会議員のみなさんといっしょに、国民のための予算を成立させることができた。そのことを誇りに思っています。


鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細2 「人の命を大切にする政治、進めていかなければ」
 ご案内のとおり、子ども手当もスタートいたしました。高校の無償化も始まっています。子どもに優しい、未来に魅力のある日本に変えていこう、その私たちの判断は決して間違っていない、そう確信をしています。産業も活性化させなきゃならない、特に1次産業が厳しい、農業を一生懸命やっておられる方々の戸別所得補償制度、スタートさせていただくこともできています。そのことによって、1次産業が、さらに2次産業、3次産業とあわせて、産業として大いに再生される日も近い、私はそのようにも確信しています。
 さまざまな変化が、国民の暮らしの中に、起きています。水俣病もそうです。さらには、医療崩壊が始まっている地域の医療を何とかしなきゃいけない、厳しい予算の中で医療費を、わずかですが増やすことができたのも国民の皆さんの意思だと私はそのように思っています。これから、もっともっと、人の命を大切にする政治、進めていかなければなりません。ただ残念なことに、このような私たち、政権与党のしっかりとした仕事が、必ずしも国民の皆さんの心に、うつっていません。国民の皆さんが、徐々に徐々に聞く耳を持たなくなっていってしまった、そのことは残念でなりませんし、まさにそれは、私の不徳のいたすところ、そのように思っています。
 その原因を二つだけ申し上げます。


鳩山首相辞任表明:両院議員総会詳細3 「私の不徳の致すところ その一つは普天間の問題」
 やはりその一つは普天間の問題でありましょう。沖縄のみなさんにも徳之島のみなさんにもご迷惑をおかけしています。ただ、私は本当に沖縄の外に米軍の基地をできるだけ移すために努力しなければいけない。その思いで半年間、努力してまいりましたが、結果として県外にはなかなか届きませんでした。これからも県外にできるかぎり、移すように努力してまいることはいうまでもありませんが、一方で北朝鮮が韓国の哨戒艇を魚雷で沈没させるという事案が起きています。北東アジアは決して安全・安心が確保されている状況ではありません。日米が信頼関係を保つということが、日本だけでなく、東アジアの平和と安定のために不可欠なんだという思いのもとで、残念ながら、沖縄にご負担をお願いせざるをえなくなりました。そのことで沖縄のみなさま方にもご迷惑をおかけしています。
 そしてとくに社民党さんに政権離脱という厳しい思いをお与えしてしまったことが残念でなりません。ただみなさん、私はこれからも社民党さんとは、さまざま国民新党さんとともにありますが、一緒に今まで仕事をさせていただいていた、これからもできるかぎりの協力を、お願いを申し上げてまいりたい。さらに沖縄のみなさん方にも、県外に米軍の基地というものを少しずつでも移すことができるように、新しい政権としては努力を重ねていくことが何より大切だと思っています。
 社民党より日米をより重視した。けしからん。その気持ちがわからないでもありません。だがどうぞ、社民党さんと協力関係を模索していきながら、今ここはやはり、日米の協力関係をなんとしても維持させていかなければいけないという、この悲痛な思い。ぜひみなさんにもご理解をいただきたいと思っています。私はつまるところ日本の平和、日本人自身でつくりあげていく時を、いつかは求めなければいけないと思っています。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けていいとは思いません。そこのところもぜひみなさん、ご理解いただいて、だから鳩山がなんとしても、少しでも、県外にと思ってきた、その思い、ご理解を得られればと思っています。その中に今回の普天間の本質が宿っているとそんなふうに思っています。いつか、私の時代は無理ですが、あなた方の時代に日本の平和を、もっと日本人自身でしっかりとみつめあげていくことができるような、そんな関係を、現在の日米の同盟の重要性はいうまでもありませんが、一方でそのことも模索をしていただきたい。私はその確信の中で、社民党さんを政権離脱に追い込んでしまった。
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社説:鳩山首相退陣 民主党は猛省し出直せ
 戦後、初めての本格的な政権交代が、わずか8カ月余でこんな事態となるとは誰が予想しただろう。
 鳩山由紀夫首相が2日、辞任を表明した。首相自らの大失態となった普天間問題をきっかけに、民主党内で噴出してきた退陣要求に追い込まれた末の決断である。併せて小沢一郎幹事長も、鳩山首相にうながされる形で辞任した。政治資金問題にけじめをつけることができなかった小沢氏の辞任もまた当然であり、むしろ遅過ぎたほどである。
 ◇もはや続投無理だった
 日本の民主主義の試練でもある。しかし、私たちは今回の「ツートップ」の辞任を、昨夏の総選挙で多くの有権者が政権交代に託した大きな期待を失望に終わらせないための新たなステップだととらえたい。今回の失敗を民主党は所属議員全員が猛省し、この首相交代が「与えられた最後のチャンス」と覚悟して、出直す必要がある。
 自民党政権がそうだったように首相が短期間で交代するのは確かに望ましい姿ではない。内政・外交ともに課題は山積している。だが、鳩山首相が国の最高責任者にとどまるのは、もはや無理だった。迷走の末、移設先が沖縄県名護市の「辺野古」に回帰した普天間問題をめぐる一連の言動は、沖縄県民への裏切りとなっただけではなく、「首相をどれだけ信用できるのか」と、その資質に強い疑念を抱かせたからだ。
 2日の両院議員総会でも首相は「私の不徳の致すところ」としながらも、「国民の皆さんが聞く耳を持たなくなってしまった」、「何としてでも(普天間の移設先は)沖縄県外に、と思ってきた。その思いをご理解いただければ」と語った。「思い」は正しかったと弁明したかったのだろうが、政治は結果責任だ。「アマチュア首相」の甘えやひ弱さを最後まで払しょくできなかった。
 小沢氏の責任も重い。政権がつまずく契機となったのは、鳩山首相も認めた通り、首相と小沢氏の「政治とカネ」の問題だった。特に小沢氏は一度も国会で説明していない。
 なぜ、ゼネコンから巨額の献金を受けてきたのか。小沢氏が「決別する」と訴えてきた古い自民党体質そのものではないか。私たちは小沢氏の政治家としての責任を指摘してきたが、民主党は決着をつけず、先送りしてきた。これが国民の政治不信を招き、政権の足かせとなってきたのは間違いない。
 もちろん、この8カ月余の鳩山政権は評価すべき点はいくつもある。事業仕分けでは税金の使い道に対する国民の見方を大きく変えた。日米安保条約改定や沖縄返還をめぐる日米密約が明らかになったのも政権交代の成果である。しかし、首相と小沢氏という政権のツートップの言動やスキャンダルが成果も帳消しにしてしまったということだ。
 私たちは昨年の総選挙での有権者の選択が間違っていたとは今も思わない。ただ、振り返ってみよう。昨年5月、小沢氏が代表を辞任した際、普天間をはじめとする安全保障政策などについて十分な党内論議もなく、短期間で代表選を行って、鳩山首相を代表に選び、小沢氏の影響力も温存された。そのツケが今、回ってきたのではなかろうか。
 ◇小沢氏の影響排除を
 子ども手当などの政策を実現するための財源をどう確保するか。今の深刻な借金財政をどうするか。党内に問題意識を持つ議員は少なくなかったが、「選挙の時に国民の負担増を打ち出すのは愚策だ」「政権交代すればいくらでも財源は出てくる」と財源を詰めなくなったのは06年、小沢氏が代表となってからだ。
 それを鳩山首相も引き継ぎ、昨年の衆院選でのマニフェストはバラマキ路線となった。政権発足後は、かつての自民党政権さながら、業界、団体重視の利益誘導型政治も目につくようになった。真っ先に取り組むべきだった政治主導に関する法案も放り出したような状況だ。官僚も使いこなしたとは到底いえず、内閣と党との関係も絶えず混乱していた。
 民主党は4日、代表選を告示し、同日中に両院議員総会を開いて直ちに新代表を決定するという。緊急事態との理由から後継選びは菅直人副総理兼財務相が軸となりそうだ。
 国政の停滞は無論許されないが、代表選びはどさくさ紛れで行うべきではない。代表選は、「鳩山・小沢」体制下であいまいにしてきた国の基本にかかわる安全保障や、消費税率引き上げも含む財政再建論議など、徹底的に詰めるいい機会となる。一定の時間をかけるよう再考を求める。そして何より、小沢氏の影響力を排除することだ。従来のような分かりにくい二重権力構造が続けば、国民は「民主党は変わった」とは見なさない。オープンな政治を改めて目指してほしい。
 本来は新首相のもとで早急に総選挙を実施し、政権の信を問い直すのが筋である。だが、参院選は予定通り7月11日に投開票となる見通しで、衆参同日選の可能性は低そうだ。いずれにしても民主党はマニフェストをきちんと見直し、有権者に示すのが最低限の責務だ。政権に対する評価は、新代表=新首相が誰になるかだけでなく、そこで下される。
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毎日新聞 2010年6月3日 2時32分


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石田ふたみ