『日々の映像』

2010年05月29日(土) 政治的な混乱が続くと覚悟しなければならない。

報道

普天間問題:辺野古へ移設、閣議決定…福島消費者相を罷免
                     2010年5月28日   毎日 
社説:「普天間」政府方針 この首相に託せるのか
                     2010年5月29日 毎日新聞
社説:普天間日米合意 国益損なう首相は退陣を 失政の責任
                      2010.5.29 03:03  産経 新聞

鳩山首相は出来もしないことを言って来たのだ。
1、首相が昨年の総選挙で掲げた「最低でも県外」という公約
2、首相は決着の条件として、米国政府、移設先の地元、連立与党のいずれの了解も得ると再三繰り返してきた。

出来もしないことに関連して毎日新聞の社説一説を引用したい。
「普天間問題の迷走は、鳩山政権が抱える弱点を凝縮して見せつけた。
成算もなく発せられる首相の言葉の軽さ。バラバラな閣僚と、統御できない首相の指導力の欠如。調整を軽んじ場当たり対応を繰り返す戦略のなさ。官僚を使いこなせない未熟な「政治主導」。首相の信用は地に落ち、その統治能力には巨大な疑問符がついた」

 鳩山首相は今回の顛末でも首相に居座る姿勢である。限りなく支持率が下落していくことだろう。産経の社説の一部を引用したい。
「一国の平和と繁栄の責務を担う最高指導者として不適格と言わざるを得ない。国益を損なう『愚かな首相』は、一刻も早く退陣すべきである」

 次の政治的焦点は7月の参院選挙である。与党民衆党が大敗すると政治が動かなくなる事態に突入する。このようになった時何が起こるか。一寸先は誰も分からない。ただい言えることは、政治的な混乱が続くと覚悟しなければならない。

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普天間問題:辺野古へ移設、閣議決定…福島消費者相を罷免
2010年5月28日 22時22分 
 政府は28日夜の臨時閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関する政府の対処方針を閣議決定した。政府方針は普天間移設先として、キャンプ・シュワブの「辺野古崎地区及び隣接する水域」(沖縄県名護市)と明記。社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は閣議での署名に応じず、首相は福島氏を罷免した。後任は平野博文官房長官が兼務する。社民党は連立政権からの離脱を検討しており、政権発足から8カ月、普天間問題で迷走を重ねた鳩山政権は最大の正念場を迎えた。【西田進一郎、横田愛】
 ◇社民、連立離脱を協議
 「署名しません」
 28日午後6時すぎ、首相官邸。与党3党の党首級でつくる基本政策閣僚委員会の席上、福島氏は「辺野古が明記されている案には賛成できない」と述べ、閣議での署名を拒否する方針を伝えた。鳩山由紀夫首相は個別会談に誘い「辞任でどうか」と自発的な辞任を求めたが、福島氏は「私は間違ったことはしていない」と拒否した。
 福島氏が渡された閣議決定の文案は、大きく変わっていた。28日午前、首相官邸側が示した文案に「辺野古」の地名はなかった。しかし、福島氏の姿勢が固いとわかると、地名を復活し対米合意を優先。平野博文官房長官が模索した、閣僚の署名のいらない「首相発言」による決着も、首相は「安全保障をあいまいにすべきではない」として退けた。
 基本政策委は更迭に向けたセレモニーにすぎなかった。福島氏はその後の臨時閣議に姿すら見せず、記者会見で「私を罷免することは沖縄を切り捨て、国民を裏切ることだ」と批判した。首相はこれまで、5月末決着の条件として、米国、与党、地元自治体の合意が必要との認識を繰り返してきたが、福島氏の罷免で、県内移設に反対する沖縄県に加え、与党合意もない不完全なものとなった。
 首相は28日夜の記者会見で、5月末決着が事実上失敗した原因として「政治家たちが肩ひじを張りすぎて『全部自分たちが考えるんだ』という発想の中で、優秀な官僚の知識、知恵を提供(してもらうことを)せずに行動してきたきらいがあった」と指摘。政権が掲げてきた政治主導の未熟さを認めざるを得ず、会見で7回も「おわび」の言葉を重ねた。
 そもそも政権発足当初から、外交・安保の認識が異なる社民党との連立は対立を内包していた。首相は記者会見で「根本的な部分において考え方の違いがあった」と指摘。あいまいな形で与党内調整を先送りしてきた政権の脆弱(ぜいじゃく)さは隠しようもない。
 福島氏が閣外に去り、政権の基盤が揺らぐのは確実だ。社民党は28日夜、「連立のあり方について重大な決定をせざるを得ない」とする「抗議声明」を発表した。同党は30日に常任幹事会と全国幹事長会議を開き、連立離脱について対応を協議するが、「閣外協力」はしない方針で、党内で連立離脱論が勢いを増している。
 一方、民主党にも「社民党切り」とも言える首相の対応に不満が募っている。閣議での署名拒否は党の機関決定であり、社民党は「福島を切ることは社民党を切ることだ」(党幹部)と反発しており、次期参院選への選挙協力に影響するのは必至。民主党の小沢一郎幹事長は28日、福島氏に電話し、こんなメッセージを送った。「あんたたちが言っていることが正しいよ」

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社説:「普天間」政府方針 この首相に託せるのか
                     2010年5月29日 毎日
 日米両政府は、米軍普天間飛行場移設に関する共同声明を発表した。移設先を沖縄県名護市の「辺野古崎地区及び隣接水域」とし、米軍訓練の鹿児島県・徳之島をはじめ県外への分散移転、グアムなど国外移転を検討するという内容だ。
 政府は、共同声明に基づいて普天間移設と沖縄の負担軽減に取り組むとする政府方針を閣議決定した。
 鳩山由紀夫首相は、共同声明の辺野古明記に反発する福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)が政府方針への署名を拒否する考えを表明したため、福島氏を罷免した。
 ◇「信」失った言葉
 普天間問題は首相が約束した、移設先の合意を含めた「5月末決着」も「県外移設」も実現できなかった。
 閣議後に記者会見した首相は、県外の約束が守れなかったことを謝罪し、辺野古移設について「代替地を決めないと普天間の危険が除去できない」と語った。また、移設先・沖縄の理解を得ることなどに「今後も全力を尽くす」と述べ、首相の職にとどまる考えを明らかにした。
 私たちは、鳩山首相が政治の最高責任者の座に就き続けることに大きな疑念を抱かざるを得ない。最大の政治課題、普天間問題での一連の言動は、首相としての資質を強く疑わせるものだった。これ以上、国のかじ取りを任せられるだろうか。来る参院選は、首相の資質と鳩山内閣の是非が問われることになろう。
 首相は5月末決着に「職を賭す」と語っていた。しかし、今回の日米大枠合意は、「辺野古移設」を具体的に決める一方で、沖縄の負担軽減策は、辺野古移設の「進展」を条件とする今後の検討項目となった。カギを握る移設先の同意は見通しも立たない。「決着」にはほど遠い。
 移設先をめぐる混迷は、より深刻だ。首相は「最低でも県外」「辺野古以外に」と明言した。「沖縄県民の思い」を繰り返し、「腹案がある」とも語った。06年日米合意の辺野古埋め立てを「自然への冒とく」と非難した。その結果が、現行案と同様の辺野古移設である。
 国の最高指導者が「県外」「腹案」と自信ありげに断言すれば、沖縄県民が県外への期待を膨らませるのは当然だ。それを裏切った罪は重い。
 県外から辺野古への変心は在日米軍の抑止力を学んだ結果だという。首相として耳を疑う発言だった。「最低でも県外」は党公約ではないと釈明を重ねる姿に、首相の威厳はない。
 鳩山首相の言葉は、羽根よりも軽い。そう受け止められている。政治家と国民をつなぐ「言葉」が信用されなくなれば、政治の危機である。
 首相が沖縄の負担軽減を願い、県外移設に込めた思いは疑うまい。しかし、希望を口にすれば実現するわけではない。政治は結果責任である。
 経済財政政策や深刻な雇用への対策、緊急の口蹄疫(こうていえき)対応、政治主導の国づくり、緊迫する朝鮮半島情勢−−内政・外交の諸課題が山積している。しかし、首相の言葉が信を失った今、誰がその訴えに耳を傾けるだろうか。深刻なのはそこだ。
 日米同盟は日本の安全のために有効かつ必要である。「北朝鮮魚雷」事件で、改めてその思いを強くしている国民は多い。が、日米同盟の円滑な運営には、基地を抱える自治体との良好な政治的関係が不可欠である。辺野古移設を強行突破することになれば、その前提が崩れる。
 ◇まず普天間危険除去を
 沖縄の合意のないまま辺野古移設で米政府と合意したことは、沖縄には、日米両政府が新たな負担を押しつけようとしていると映っている。県外移設に大きな期待を抱いた沖縄の、首相への不信は深い。その落差を、当の鳩山首相が埋めるのは果たして可能だろうか。
 稲嶺進名護市長は受け入れ断固拒否の姿勢だ。11月に知事選を控え、かつて辺野古移設を容認していた仲井真弘多知事も、今回の日米合意の内容を認める環境にない。
 同月のオバマ米大統領来日にあわせ、辺野古移設の詳細で日米合意しても、実現の保証はない。「世界一危険な基地」普天間が継続使用される最悪の事態が現実味を増している。普天間問題への対応は明らかな失政である。その責めは鳩山首相自身が負うべきだ。
 普天間移設が現実に進展しないとしても、普天間問題の原点である周辺住民への危険除去は、ただちに取り組むべきだ。訓練分散などによる飛行回数の大幅減少は急務である。大惨事が起きかねない現状を放置してはならない。
 共同声明は、訓練分散移転のほか、米軍施設立ち入りなどによる環境対策、沖縄東方の「ホテル・ホテル訓練区域」の使用制限一部解除など新たな負担軽減策を盛り込んだ。これらの措置は辺野古移設の進ちょくを条件に実施されるとしている。これでは、負担軽減策が先延ばしになりかねない。特に、訓練分散など普天間飛行場の危険除去策は、移設作業と切り離して対応すべきだ。
 米政府にも、普天間の危険除去と騒音など生活被害対策に積極的に協力するよう求める。この点で日本政府には強い姿勢が必要だ。
 その解決の先頭に立つ指導者として、鳩山首相には不安がある。
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毎日新聞 2010年5月29日 2時30分
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社説:普天間日米合意 国益損なう首相は退陣を 逃れられぬ迷走と失政の責任
2010.5.29 03:03  産経 新聞
 目を覆うばかりの失政が続いている。米軍普天間飛行場移設に関する日米共同声明がようやく発表され、「辺野古」が明記された。当然だが、遅きに失した。
 昨秋以来、鳩山由紀夫政権は迷走を続け、現行計画とほぼ同じ内容を沖縄県などが受け入れるのは当面絶望視されている。「最低でも県外」と鳩山首相が県民感情をあおったためである。これでは閣議決定された政府対処方針も画餅(がべい)にすぎないではないか。
 「5月末までに決着させる」とした首相の約束は果たせなかった。その政治責任は極めて重大だ。しかも首相は尖閣諸島の領有権に関して、日中間の当事者が話し合いで結論を出すと表明した。尖閣諸島が日本固有の領土であることへの認識すらない。
 一国の平和と繁栄の責務を担う最高指導者として不適格と言わざるを得ない。国益を損なう「愚かな首相」は、一刻も早く退陣すべきである。
 問われる政治責任の第一は、4月の党首討論で「米政府、地元、連立与党との合意をすべて達成する」と約束しながら、米との一定の合意しか取り付けられなかったことだ。首相は28日夜、「申し訳ない思いでいっぱいだ」と国民に謝罪したが、進退に関して責任をとる姿勢は見せなかった。
 首相は沖縄県などの負担軽減に努力したことを会見で強調していたが、政治は結果責任である。結果が伴わないことの政治責任に向き合わず、自己の立場を正当化するのは開き直りである。
 しかも、日米関係もこれまでにないほど悪化させた。昨年11月の日米首脳会談でオバマ米大統領に約束した早期決着を果たしていれば、首相や日本政府への米側の不信感はこれほど強まっていなかっただろう。首脳間の個人的な信頼構築には程遠く、4月の首相訪米時には公式首脳会談を設定できず冷え込んだ関係を象徴させた。
 ◆「尖閣」守れるのか
 安保改定50周年を迎えた今年、海上自衛隊への中国海軍の挑発行為や北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件は、同盟の深化と日米安保体制強化を喫緊の課題としている。にもかかわらず、普天間問題がそのための協議を阻害してきた。
 キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する現行計画を首相が白紙に戻したことで、仲井真弘多知事や県民らは実現可能性を疑いながらも、いたずらに県外移設への期待を強めた。1月の名護市長選では受け入れ容認派の前職が敗れ、4月には県内移設に反対する大規模反対集会が開かれて問題をさらに難しくした。
 安易なスローガンや口約束を乱発したあげく、期待を裏切った首相が県民の心をもてあそんだといえる。最終的には、地元も受け入れた経緯があり最も現実的な「辺野古」移設案に戻ったとはいえ、実現の困難さを考えれば移設は大幅に後退したとみるべきだ。
 さらに看過できないのは、27日の全国知事会議での尖閣諸島をめぐる発言だ。首相は「米国は帰属問題は日中間で議論して結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」と述べた。
 「領有権問題は存在しない」というのが尖閣諸島に関する一貫した政府見解である。それなのに、中国と話し合う必要があるかのような発言は主権意識を欠いており、耳を疑う。
 ◆遅すぎた福島氏罷免
 共同声明は、普天間移設が海兵隊8千人のグアム移転や嘉手納基地以南の返還と連動していることを改めて確認した上で、代替施設の工法などの詳細を「いかなる場合でも8月末まで」に決定すると明記している。あと3カ月で地元の理解を得るのは困難にせよ、作業を加速し、何としても合意を達成しなければならない。
 基地の環境保全、漁場の使用制限の一部解除など米側が日本の要望に応える内容も盛り込まれた。双方が迅速かつ誠実に合意内容を実現していくことが、同盟の維持・強化に欠かせない。
 首相は「辺野古」明記を容認しない福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。安保政策が一致しない以上、当然の措置だが、あまりに時間をかけすぎ、国民の信頼を損なう結果となった。
 社民党の連立離脱論が強まる中で、与党議員ら180人が「将来の国外・県外移設」を政府対処方針に盛り込むよう求める声明を出したのも理解し難い。国家の安全保障よりも、選挙協力のための連立維持に奔走する政権与党の姿勢は極めて問題である。

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石田ふたみ