『日々の映像』

2009年07月14日(火) 都議選・自民歴史的な惨敗

報 道

1、都議選・自公過半数割れ 混迷自民、がけっ縁
                       2009年7月13日  毎日
2、社説:都議選自民敗北 もはや逃げは許されぬ
毎日新聞 2009年7月13日 
3、社説 都議選終えて―混沌の出口はただ一つ
                     2009年7月13日  朝日新聞
4、社説1 民主躍進の都議選が首相を痛撃した(7/13)
                       2009年7月13日 日経

 世論調査で予想されていた事であるが、自民は都議選で歴史的な惨敗となった。その惨敗振りをメモ
民主  54 +20
自民  38 −10
公明  23 + 1
共産  8  −5
ネット 2  −2
諸派  0  −1
無所属 2  −1
 計 127
 都議選に関する膨大な報道があるが、上記の通り毎日と社説3新聞を引用した。今回の選挙結果に関するポイントとなる報道を引用したい

1、東京都議選は「政権交代」を期待する民主党への追い風と、麻生内閣の支持率低迷という自民党への逆風が鮮明に結果に表れた

2、勝算のない「破れかぶれ解散」に対しては「都議選直後の解散は影響がもろに出る。大負けするだろう」(公明党幹部)との悲観論が大勢だ

3、与党にとって、衝撃的な審判である。苦しくとも麻生首相の下で国民の審判を仰ぐことが、政権党の責任である。(毎日社説)

4、「麻生首相で総選挙は戦えない」「このまま選挙に突入すれば集団自殺だ」。そんな解散先送り論が、与党内で一気に燃え上がるのは必至だろう。(朝日)

5、衆院議員の任期満了を目前にして、民意を問わない4度目の政権たらい回しで党の延命を図ろうとすることは到底、容認できない。首相や総裁のクビをすげかえれば急場をしのげるという安易な発想が政治の劣化を招いている。そのことを、与党は自戒しなければならない。(朝日)

6、自民党内で「麻生降ろし」の動きが強まるのは必至の情勢だ。都議選敗北の痛手を負った麻生太郎首相はがけっ縁に追い込まれた。(日経)

7、都議選はその直後の国政選挙の先行指標となるケースが多かった。1989年の土井たか子委員長率いる社会党のマドンナ旋風、93年の日本新党ブーム、2001年の小泉自民党の勝利などは、都議選と国政選挙の両方で同じ現象が起きた。(日経)

 自民は「麻生降ろし」の動きが強まるのは必至のようだが、動けば動くほど
支持率が落ちると思う。厚生省の年金問題だけでも自民は敗北する要因があるのだ。議員の「麻生首相で総選挙は戦えない」「このまま選挙に突入すれば集団自殺だ」という心理は理解できるが、4回も選挙をせずに総裁・首相を決める異常な行動を国民は許さないだろう。
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1、都議選・自公過半数割れ 混迷自民、がけっ縁
                       2009年7月13日  毎日
 ◇「表紙」代役なく 反転攻勢、乏しい材料
 12日投開票された東京都議選は「政権交代」を期待する民主党への追い風と、麻生内閣の支持率低迷という自民党への逆風が鮮明に結果に表れた。自民党内では「麻生太郎首相のまま衆院選は戦えない」との声が強まる一方、「ポスト麻生」の有力候補も見当たらず、衆院解散・総選挙を前に混迷を深めている。首都決戦の勢いを衆院選につなげたい民主党は内閣不信任決議案の提出で麻生首相に早期解散を迫る構えだ。
 都議選の大敗を受け自民党内で「麻生降ろし」が激化するのは確実だ。同党の塩崎恭久元官房長官や山本一太参院議員らは12日夜、東京都内で協議。「東国原(英夫)宮崎県知事の衆院選擁立騒ぎなど国政のゴタゴタが都議選に響いたことを反省しなければいけない」など首相への批判が相次いだ。
 しかし、麻生降ろしがなかなか具体化しないのは、党内に有力な「ポスト麻生」候補が見当たらないためだ。中堅・若手に待望論がある舛添要一厚生労働相は11日、記者団から意欲を問われ「みんなでやらなきゃ。1人だけでやるような話ではない」とかわした。08年9月の総裁選に立候補した与謝野馨財務・金融担当相や小池百合子元防衛相への支持も広がっていない。
 こうした中、古賀誠選対委員長は12日、富山市での講演で「党内には『表紙を替えたらいい』という意見がまたぞろ出ているが、こんなに党内がふらふらした経験はない」と麻生降ろしを批判。菅義偉選対副委員長も同日の民放番組で「麻生(太郎)首相で衆院選を戦うのか」との質問に「間違いない」と断言した。
 党幹部が麻生降ろしを否定するのは、衆院選の洗礼を受けないまま首相のたらい回しを続ければ世論の一層の反発を招くと踏んでいるためだ。公明党からは「首相を支える側も、降ろそうとする側もばらばらだ」との嘆きも漏れる。
 麻生首相周辺では週明け以降の麻生降ろしに先手を打つため、早期解散を模索する動きもくすぶる。自民党伊吹派会長の伊吹文明元幹事長は12日夜、東京都内で、衆院解散・総選挙の時期について「どこかで信を問う必要があるのは当然だ。(選挙は)近いと思う」と記者団に語った。
 しかし、勝算のない「破れかぶれ解散」に対しては「都議選直後の解散は影響がもろに出る。大負けするだろう」(公明党幹部)との悲観論が大勢だ。国会会期末(7月28日)ギリギリまで解散を先送りし、8月30日か9月6日の投票に持ち込んで時間を稼ぐ意見が強まっている。自民党が都議選で議席を減らしながら「郵政解散」による直後の衆院選で圧勝した05年の例はあるものの、今回は反転攻勢の材料に乏しい。
 仮に麻生首相が退陣すれば、自民党は新たな総裁を選んで衆院選に臨むことになる。いったん国会を閉会して臨時国会を召集し、新首相を選出して解散するシナリオも考えられ、その場合は衆院議員の任期満了(9月10日)後に衆院選がずれ込む可能性もある。【中田卓二】
 ◇民主、早期解散狙う
 都議選の躍進で勢いに乗る民主党は13日に麻生内閣不信任決議案と首相問責決議案を提出し、攻勢を強めたい考えだ。与党多数の衆院で不信任案が否決されれば自民党内の「麻生降ろし」の動きが弱まると想定。野党多数の参院では問責決議案を可決し、審議拒否に踏み切ることによって首相に解散を促すことを狙っている。
 「国政レベルでの解散先延ばしと自民党の混乱に都民がノーを突き付けた」。岡田克也幹事長は12日夜、「第1党」達成を受けた党本部での記者会見で語った。鳩山由紀夫代表は同日午後、長崎県雲仙市で記者団に「できるだけ早く不信任、問責を提出し『解散して信を問いなさい』と伝える大きなチャンスだ」と強調した。
 民主党は13日、党幹部会や社民、国民新両党との調整を経て不信任決議案などの提出に踏み切る意向で、社民、国民新両党幹部は12日夜、大筋で賛同する考えを示した。参院で問責決議案が可決されても拘束力はないが、自身の手で解散したい麻生太郎首相に対し決断を促す材料にはなる。国対幹部は「参院での問責可決後に麻生首相が解散すれば、史上初だ」と指摘。早期の衆院解散に持ち込むことで鳩山氏の献金虚偽記載問題に対する与党の攻撃をかわす思惑ものぞく。
 12日投開票の奈良市長選でも民主推薦候補が勝利し、民主党は4月以降、千葉など3政令市長選と静岡県知事選に続き主要地方選5連勝。岡田氏は都議選結果を受けた談話で「この間の首長選挙、都議選、奈良市長選で民意の赴くところは明白だ」と指摘。次期衆院選へ向け「政権交代をかけた最後の決戦に臨む」と強調した。【上野央絵】


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2、社説:都議選自民敗北 もはや逃げは許されぬ
毎日新聞 2009年7月13日 
 与党にとって、衝撃的な審判である。衆院選の前哨戦である東京都議会議員選挙が12日投開票された。民主党が躍進し都議会第1党の座を初めて奪い、自民党は議席を大きく減らした。自民、公明両党は勝敗ラインとしていた過半数勢力の確保にも失敗した。
 麻生太郎首相にとって、与党推薦候補が敗北したさきの静岡県知事選に続き、厳しい結果である。与党内で衆院解散の先送り論が勢いを増し、衆院選前に首相の退陣を迫る動きが加速することは必至だ。だが、そんな「逃げ」に走れば、国民からますます見放されるだけだ。苦しくとも麻生首相の下で国民の審判を仰ぐことが、政権党の責任である。
 衆院議員の任期満了を2カ月後に控え国政選挙さながらの様相だったが、投票率が前回05年を大きく上回った分、そのまま民主党への追い風となった格好だ。議席変動が比較的起きにくいとされる中選挙区型の選挙区も多い都議会で、自民党が40年間維持した第1党から転落した意味は重大だ。新銀行東京の経営再建問題など石原都政への厳しい評価に加え、自公政権の是非そのものが争点化し、政権交代を掲げる民主党に批判票が回ったということだろう。
 小選挙区で候補が対決する衆院選を控え、都議選「1人区」の苦戦ぶりに自民党は戦慄(せんりつ)すら覚えたに違いない。さきに党役員人事の断念に追い込まれた首相には、衆院解散に踏み切れるか、すでに疑問符がついている。それだけに、自民党内では解散慎重論が一層強まり、総裁選の前倒しに代表される「麻生降ろし」の動きも勢いを得よう。
 だが衆院議員の任期満了を目前にして、民意を問わない4度目の政権たらい回しで党の延命を図ろうとすることは到底、容認できない。首相や総裁のクビをすげかえれば急場をしのげるという安易な発想が政治の劣化を招いている。そのことを、与党は自戒しなければならない。
 首相も「地方選と総選挙は全然別」との方針通り衆院解散に踏み切るべきだ。現在の窮地に与党が陥ったそもそもの原因は首相の度重なる解散先送りだ。今回の結果も国民のいらだちの反映ではないか。解散もできぬまま退陣に追い込まれれば、憲政の一大汚点として歴史に名を刻まれよう。
 主要国首脳会議の一連の会談における日本外交の影の薄さは、国民の信任を経ない政権の限界を露呈した。これ以上混乱を拡大し時間を費やすことは国益の毀損(きそん)である。
 政治の行方を決めるのは有権者だ。民主党を中心に、野党も腹を据える局面だ。状況次第では内閣不信任決議案を提出し、首相に解散の断行を迫るべきである。
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3、社説 都議選終えて―混沌の出口はただ一つ
                2009年7月13日  朝日新聞
 衆院の解散・総選挙をめぐる政局の行方が、ますます混沌(こんとん)としてきた。
 きのうの東京都議選で、民主党が大きく議席を伸ばし、第1党に躍り出た。一方、自民党は惨敗し、公明党とあわせた与党で過半数を割り込んだ。2大政党の勢いの差は明らかだ。
 都議選とはいえ、都政に絡む争点はすっかりかすみ、総選挙の前哨戦そのものの盛り上がりだった。麻生首相が自ら離島を除くすべての自民党候補の事務所を回ったのも、この選挙が政権の命脈を決定づけかねないと見たからだろう。
 それだけに、首相が被ったダメージは深刻だ。先週の静岡県知事選での敗北に続いてのことであり、政権交代への有権者の期待の大きさがくっきりと浮き彫りになった、と見ていい。
 「麻生首相で総選挙は戦えない」「このまま選挙に突入すれば集団自殺だ」。そんな解散先送り論が、与党内で一気に燃え上がるのは必至だろう。
 だが、総選挙を先延ばししたとしても、自民党に活路がひらけるとは思い難い。衆院議員の任期切れは2カ月後だ。総裁選の前倒し論やタレント出身の東国原英夫宮崎県知事らの擁立説もあるが、有権者の目には最後のあがきとしか映らないのではないか。
 首相にも言っておきたい。与党の有力者には、北朝鮮制裁のための貨物検査新法などを成立させてから解散をという意見が多い。だが、それに従ったとしても、党内の「麻生おろし」の風圧は強まる一方だということだ。
 とにかく時間を稼ぎ、首相の退陣を前提に、選挙向けの新しいカオを選ぶ。いまや1年生議員から幹事長経験者にまで広がる解散先送り論の、主たる狙いはそこにある。
 さらに、勢いに乗る民主党は内閣不信任案を衆院に、首相問責決議案を参院に提出する構えだ。不信任案は与党の数の力で否決できるにせよ、国会審議は混乱し、法案の処理はおぼつかなくなる公算が大きい。
 注目されるのは、都議選の投票率が前回より10ポイント以上もあがったことだ。静岡県知事選では16ポイントも上昇した。自らの一票で政治の閉塞(へいそく)状況を変えたい。そんな有権者の思いが広がっているのは間違いない。
 自民党の動揺は深刻だ。今後の展開によっては、党の分裂さえありうるかもしれない。わずか10カ月前、政権を引き継いだ首相にとっては思いもよらなかった事態だろう。
 「民主党に政権担当能力はない」と首相はいう。ならば目の前の危機にあたふたするのではなく、責任ある政策、政治の姿をこそ有権者に示し、民主党と真正面からぶつかることだ。
 逃げずに堂々と国民に信を問う。麻生首相はその初心に立ち返り、解散・総選挙を決断すべきだ。
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4、社説1 民主躍進の都議選が首相を痛撃した(7/13)
                       2009年7月13日 日経
 次期衆院選の前哨戦として注目された東京都議会議員選挙で民主党が躍進し、初の都議会第1党になった。自民党は大きく議席を減らした。公明党と合わせた与党の合計議席は過半数割れとなり、目標とした勝敗ラインに届かなかった。

 自民党内で「麻生降ろし」の動きが強まるのは必至の情勢だ。都議選敗北の痛手を負った麻生太郎首相はがけっ縁に追い込まれた。

 民主は5月に就任した鳩山由紀夫代表の指示で選挙直前に候補者を増やした。推薦候補も含めて過半数の64人の候補を擁立した強気の作戦が奏功した。自民の牙城の1人区で議席を増やすなど他党を圧倒した。

 衆院議員の任期切れが9月10日に迫るなか、無党派層の多い首都決戦を民主が制したことは大きな意味を持つ。投票率は前回を約10ポイント上回り、54.5%に達した。

 都議選はその直後の国政選挙の先行指標となるケースが多かった。1989年の土井たか子委員長率いる社会党のマドンナ旋風、93年の日本新党ブーム、2001年の小泉自民党の勝利などは、都議選と国政選挙の両方で同じ現象が起きた。

 前回の05年は都議選と衆院選の結果が異なったケースだ。民主は都議選で議席を伸ばしたが、衆院選では東京の25小選挙区で1勝24敗と大きく負け越した。今回の結果を見ると、4年前の郵政選挙で自民を圧倒的に支持した都市部の無党派層が民主に回帰したといえる。

 民主は名古屋、さいたま、千葉の各政令指定市長選挙、5日投開票の静岡県知事選と大型地方選挙で連勝してきた。都議選でも大幅に議席を増やし、衆院選に弾みをつけた。

 首相は主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)閉幕後の記者会見で「都議選はあくまで地方の選挙。国政に直接関係するものではない」と予防線を張っていたが、都議選直後の衆院解散を模索していただけに、この敗北は致命傷になりかねない。首相が自らの手で解散できるかどうかは一段と不透明になっている。

 党内では中堅・若手を中心に「麻生首相では衆院選を戦えない」という声が大勢となり、新たな「選挙の顔」を選ぶための総裁選前倒しの動きが加速しそうだ。

 一連の地方選での民主の勝利は政権交代を求める機運の強さを示している。麻生政権の低支持率が都議選などの結果に影響したのは確かだが、衆院選を目前にしてまた党首を代えることになれば、有権者の強い批判を浴びることになろう。自民党もがけっ縁に立たされた。









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石田ふたみ