『日々の映像』

2006年01月10日(火) 少子化で消滅する地域が出てくる

 日本の人口は国立社会保障・人口問題研究所の中位推計でも100年後は6400万人に減少する。いままで同研究所の中位推計は当たったためしがない。よって、日本の人口は低位推計の4600万人以下になると思う。同研究所の予測の要点をメモしよう。
       
        現在人口    2050年     2100年   現在比
高位推計  (12693万人)   10825万人   8176万人   65%
中位推計            10059万人   6414万人   51%
低位推計             9203 万人   4645万人   37%

 ここで記述したい要点は、国中が平均で現在比の35%の人口になるのでない。上記研究所の推計によれば2030年時点で、人口規模5000未満の自治体が34%に急増し、老齢人口40%以上の自治体が30%に急増するのである。生活の不安・不便さから人口が流出して地域が消滅するところが続出するのである。一歩具体的に言うと、このような地域の土地・建物の価値はゼロになるのだ。
 このようなことがハッキリしてから、やっと政府の対策がぽつぽつと出てきたようだ。 政府は1月4日、少子化対策の一環として、「3歳までの子どもを持つ保護者を対象とする育児手当制度を新設し(予算5400億円)、さらに6歳児までの医療費を全額無料化(予算3000億円)する方向で検討に入った」(毎日から)という。この案に財務省が難色を示しているようで、すんなりと決まるかどうかは分からない。ともかく少子化という結果が厳然としてあり、その原因を徹底的に論議すべきだ。道路予算が7兆円(17年前の水準)に下がったと言って、胸を張っているような感覚ではこの恐るべき少子化を防ぐことは出来ないだろう。
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癒しの森883                                2006年1月10日

           自分の能力を他人のために使う 
  
 朝日新聞で肺がんに関する印象深いエッセイがあった。肺不全という言葉がある。肺がんになると最後は呼吸が出来なくなるのである。私は常々一番苦しむ死方は、肺がんであると思っている。本願寺の佐々木俊朗僧侶は、晩年肺がんを患い、闘病記を執筆して人生をたたまれたという。この人の闘病記の一部を引用したい。
 「人間は息を吸うたら吐かなきゃいけません。それが吐けない。吐くために、全身のありったけの力を込めて、やっとハアッと吐ける。でも、吐いたら今度はまた吸うでしょ。(略)これを繰り返していくんだから、夜はとにかくクタクタになるんです。もちろん眠れません。そういうことで、私はこの肺ガンになるまで、呼吸がこんなに大変だなんて思ったこともなかった」と。普段意識していない呼吸が出来なくなるのである。肺がんの苦しむ様を間近に見た人は肺ガンだけはなりたくないと思うという。たばこは肺がんで苦しむ様相が分かればやめる気になると思う。
 呼吸ということでは聖路加国際病院理事長の日野原重明氏の言葉も印象的である。「吸うこと、つまり他人から何かをもらうことばかりに熱心になるのではなく、吐くこと、つまり自分の能力を他人のために使うようにする。そんなバランスを取るようにすると心が充実してくるはずだ」日野原先生ならではのたとえだが、人間の生き方の基本のように思う。

 ・呼吸する 学んで吐くの 繰り返し 生きる基本の 呼吸のバランス


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石田ふたみ