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漫画関連ファイル


2004年04月30日(金)
第一夜「ベルサイユのばら」

「THE・少女マンガ!〜作者が語る名作の秘密〜」第1夜 「ベルサイユのばら」 を見ました。CM無しでまるまる一時間一作品について語るのは、けっこう長くて、内容も通常のまんが夜話よりも充実していたように思います。まず作品のストーリーを丁寧に紹介して、作者の生い立ちを、絵と歴史への関心という点から振り返って、間に関わりのある人たちのインタビューが入ります。それから、現在の作者へのインタビューと、もっと具体的な「ベルばら」の内容を交互に紹介し、間をファンである中井美穂さんと評論家の藤本由香里さんと、読者の方のインタビューでつなぐ。NHKにしては珍しく、少女まんがで初めてのちゃんとしたベッドシーンを描いたことについての言及がありました。番組の最初と最後を池田さんが「世間に知られる存在になりたい」と願ったことが実現した、というふうにまとめているところが、すごい。池田さんは野心の人なのだ。良い作品を残したいとか、人の心に残るものを残したい、とは言わないんだよね。その結果としての影響力というところが結論でした。
私がこの番組の中でおもしろかったのは、若木書房時代の本の紹介があったこと。『由紀夫君』とかいうの。ハンサムな転校生をめぐっての、女の子ふたりの物語。この三人のうち二人が病気で死んでしまうという悲しいお話。ちょっと映ったカットがその後のいろんな作品を連想させておもしろかった。それから貸本に『桜京』があったんだねえ。内容はコミックスになった『桜京』と同じだろうか。それと、藤本さんの話がおもしろかった。中井さんは、あんな人だっけ?なんか以前とイメージが違う。読者代表の人たちも穏やかで感じがよかったです。
総じて過不足なく編集されたまとまりの良い番組でした。あんまりきれいにまとまりすぎてて、物足りないくらいでした。でも映像というのは正直で、池田さんの語り口とかには、さすがに自信とかいろんなものが感じられましたね。やっぱり普通のおばさんとは違うみたいです。

美術館に展示される原画がちょっとよそよそしく見えるように、NHKの番組になったマンガ作品も、ちょっとよそいきの顔をしていて、私が知っている作品からは距離があります。マンガを読んで楽しむということは、すごく個人的なもので、読む速度も思い入れも人それぞれ違っているので、なかなか共通項をくくれないんじゃないかな。ナレーターが入る番組よりも、大ファンの人が熱く語るような番組の方が見ていて楽しいかも。でも、よくできた番組でしたけれど。明日とあさってはどうでしょうか。

第1夜 4月27日(火) 23:00〜 「ベルサイユのばら」 作: 池田理代子
ナビゲーター・はな ゲスト・涼風真世

第2夜 4月28日(水) 23:00〜 「デザイナー」 作: 一条ゆかり
ナビゲーター・はな ゲスト・山田五郎

第3夜 4月29日(木) 23:00〜 「ポーの一族」 作: 萩尾望都
ナビゲーター・はな ゲスト・夢枕獏

http://www.nhk.or.jp/manga/sp.html