TOP 最新の記事 戻る≪ I NDEX ≫進む


漫画関連ファイル


2002年06月17日(月)
<ビデオ>『幽霊と未亡人』

ヴィゴの出ているテープを探して、近所のレンタル店の棚を
端から端まで見ているときに、思いもかけないテープを発見した。
『幽霊と未亡人』という、1947年の映画。私は長い間この作品が見たかった。

夫を亡くしたばかりのルーシーが子供と一緒に海のそばの家に引越してきた。
その家には船長の幽霊が出る。船長は自分の家を守るために
引越してくる人間を片っ端からおどかして、追い払ってきた。
しかし、ルーシーはこの家が気に入ったので、どうしても住むという。
そうして幽霊と未亡人の奇妙な友情が始まった。

私がこの物語を知ったのは、同じ話をテレビ化したものを
小学生の頃テレビで見たからだった。
地元のローカル局では、昼下がりの時間帯に、
白黒の映画を放送したり、海外のテレビドラマを流していた。

その時は続き物だったので、映画よりいろいろなエピソードがあったように思う。
一番よく覚えているのは、ルーシーが過去のガーデンパーティーに
タイムスリップする話だった。本当は船長が幽霊なのだが、そのパーティーは
船長が生きている時のパーティーなので、ルーシーが周りから見えないという
立場の逆転がおもしろくてロマンティックだった。

このお話はずっと私の記憶の中にあって、時々何かのおりに思い出したりした。

インターネットでいろいろな映画評のサイトを回るうちに
『幽霊と未亡人』というタイトルをたまたま見かけた。
これはあのテレビドラマと関係があるに違いない!と私の勘はぴんときた。
それ以来、いつか見ることができたらいいな、と思っていた。
なんたって船長役はレックス・ハリスンだし。

今日たまたま見つけてさっそく見てみた。・・・おもしろかった。
頑固で優しい船長。しっかり者だけれどかわいい未亡人。
脚本はよく練ってあって、長い時間をかけてふたりが
深く結びついていく様子を描いている。ラストシーンが素晴らしい。
昔の映画はこうでした。けっして派手ではないけれど、感動は深い。

映画を見ながらもうひとつ思ったこと。
1930年代〜1940年代の白黒の映画は、初期の少女漫画に深い影響を
与えているのだけれど、この映画を見て思い出したのは、『ポーの一族』でした。
最初の連載の『ポーの一族』の舞台背景を思い出させます。
部屋の中から窓越しに見える海。ルーシーの着ている衣裳。羽のついた帽子。
波打ち際を歩く女の人。
テラスから窓を開けて入ってくる船長。「20世紀なのよ」という言葉。
未亡人の一人娘が大きくなってから言うセリフ。
「昔は船長とお話できたけれども、そのうちできなくなってしまった。
私が大きくなったからね。」
そして最後は、船長が最愛のルーシーと手に手をとって去っていく。

ルーシーが現実の男の人にひかれているのを見て
船長は心悩ませながらも干渉はしない。
寝顔を見てもキスひとつせずに去っていく。
抑えた描写がかえって心に響くようだった。

「幽霊と未亡人」、50年の恋の物語
www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/4362/k-ghostandmrsmuir.html
幽霊と未亡人
www.sam.hi-ho.ne.jp/whiteriver/e12b.html
幽霊と未亡人
www.ywad.com/movies/128.html