『妖魅変成夜話』も『雨柳堂夢咄』も連載のペースがゆっくりなので 新刊が出るまでに長い時間、待たなきゃいけない。 それが、同時期に出たので、ちょっとぜいたくでした。
今回の第8巻に収録されている「むさし野」のお話が私は大好きです。 月明かりの秋の野原に迷い込んだ恋人達や若い書生が 招かれた野点の席。 ふたりの翁が、おいしいお茶でもてなしてくれます。 甘い金平糖の数粒がちょっと楽しい。 客人の残していった記念品や、秋の草木をかたどった 茶道具が蓮の手元に残されて 道具を広げると、月のむさし野の野点の席が 一瞬よみがえる。 この作品は、採算度外視じゃないかというくらい、 背景に手が入っていて、もしかしたら作者も お気に入りのお話しかもしれませんね。
石川県立美術館の前田育徳会の展示室には すばらしい蒔絵のお道具が展示されていることがあります。 それこそ、作った人の魂がこもっているような細工 美術館のHPの古美術の蒔絵の項でも見ることができます。
石川県立美術館[デジタルミュージアム]へようこそ http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
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