昔『スマッシュを決めろ』が大好きだったのです。 なまいきな妹の真琴も好きだったし、やさしいおねえさんのさおりも好きでした。 先輩やコーチがみな大人っぽく見えたものだけど、 昨日読み返して印象がずいぶん変わりました。 青池保子さんの『ラケットに約束』を再読した時も思ったのだけれど 試合の最中によけいなことを考えて調子がでないことが多すぎる! もっとしゃんとしなさい!なんて思っちゃうんだなあ。 やれやれ、今の地点から昔の作品を判断してはいけないというのに。
少女まんがの中のスポーツは、今も名残があるけれど、 スポーツ自体を楽しむということがテーマではなく 舞台なのですね。少女が成長していくための。 親と子の確執、先輩や友達との葛藤や恋が主役なのね。 魔球だのなんだのなど考えるなと言ったのは宗方コーチだっけ。 『エース』も最初は同じ場所からスタートしたのに あの言葉から違うところを目指しはじめたのかもしれない。 (それがいきすぎると、宗教に行っちゃうのかなあ?) それでも、そういう昔の作品でも主人公が試合中に自分の力で やるしかない、とさとる瞬間がある。おもしろい作品には必ず。 だからそれまでに多少ご都合主義な部分があっても その瞬間には感動する。
でも、子供時代の私は、そんなことなど考えず なめるように作品を読んだものです。コマのすみずみまで覚えている。 セリフのひとうひとつを自分に刻むようにして読んでいました。 この年になってそれがよみがえるのは不思議な感覚です。 作品以上の世界を見ていたようだと思いました。 だからこそ成長期の子供を相手にする作品は誠実でなければいけないかも。
マーガレットコミックスを読んだ時に不思議だったのは 確か雑誌で見たはずのウィンブルドンへ行った話がなかったことです。 あれは私の記憶違いかしらとずっと思っていたのだけれど、 昨年出版された双葉社版には未収録の部分が入っていました。 やっと、最後まで読めてうれしかったです。
ところで、ミイラ先生とねこ目少女を読んだときは当時わからなかったものが 今ならわかるという新鮮さがありました。こわさが先にたってわからなかったことが わかるようになるので、年をとることも楽しいといえるかもしれません。
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