この単行本も表紙のカラーイラストにいまいち入っていけないような気がして 今まで買わなかった本の1冊。読んだらこれがツボでございました。 短編が10本入っていて、商業誌に発表されたものとしては初期のものだけど それぞれ、後年の作品のベースになっているようなところがあって楽しめる。 中でも表題作の『懐かしい花の思い出』が好き。
小さい時に離れ離れになってしまった、双子の兄弟、真治と正之は 中学生になってから偶然出会い、自分たちの過去に何か秘密があることを知る。 ピアノの音と花の香りがいつも背景にあるような、そんな作品。
白黒のイラストの表紙に思わず見とれてしまうのは、私が最近まで ステージママもどきをやっていたせいかもしれません。 胸元のレースが一番映えるような、濃い色のビロードのドレスを着て ピアノの前で花束を持っている女の子が他人事には思えない。 作品中のおばあちゃんは、娘を追い詰めるようには見えないけれど 実際スポイルされる子供が多いからね、、、
『夏服の少女』も、コマのすみずみまで楽しめる作品でした。 家の中の暗がりや、そこに差し込む光や、和洋折衷の洋館が素敵だわ。
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