弱Sonファイブ
人間は非効率の生き物だ。 効率を追求すればするほど 非効率を求める。 それを痛感するのは 非効率を貪ったときだ。 てなわけで今 加護さんは 東京ではないところで 非効率をむさぼっている。 新幹線で映画一本分の時間 西へ西へと向かう。 降り立ったターミナル駅で もよおす。 や、やべー、 もれちまうよ... ふと横を見ると 女の人が4、5人 円陣を作っている。 その中の一人が 3期生34番小島です、 ってみんなに向かって おじぎをした。 ので、 2期生69番加護です、 と言っておじぎをしてみた。 ... 沈黙。 加護さん頭上げない。 沈黙。 加護さん頭上げない。 沈黙。 加護さん頭上げない。 沈黙。 加護さん頭上げない。 プッ。 加護さんの勝ち。 ので、 あのね、トイレどこ? って聞いてみた。 そしたら 円陣にいたみんなが あそこを右に曲がって... と教えてくれた。 加護さん膀胱が キリキリしてきたので 何とかしようと思い、 小島さんに切り出した。 「あのー」 「はい」 「ひさしぶりですね」 「...」 笑われた。 さらに切り出す。 「元気そうで何よりです」 「...そうですね」 よし。 「カゼとかひいてませんか」 「大丈夫です」 「あのときはひどかったよね」 「あのときって?」 「あの夏の日の...」 「はい?」 「君がまだ髪を束ねていて...」 「え!?」 「君は覚えては いないかもしれないけどね、 図書館に行く坂道で...」 ... プッ。 「プッ!?」 思わず笑っちゃった。 「で、今からあの図書館に行こうよ」 「えー、ダメですよー」 「だって今日君が来るって行ったから こうやってはるばる来たんだよ」 「どっから来たんですか」 「東京」 円陣のひとりは言う。 「あ、私も東京ですよ」 ブサイクはだまれ。 「じゃあ東京来たとき案内するから とりあえず案内してくれない?」 「...」 「...」 「...」 「トイレとか」 「トイレなら良いですよ」 「なんか君を見てると 他人とは思えなくて」 「えー!?」 「今度連絡する。 ケイタイ変えてない?」 「変えてないですよ」 「じゃあスカイメールする」 「私ドコモですよ」 「じゃあムービー写メールする」 「だからドコモだって」 「iショットしようよ」 「カメラ付きなんですか?」 「別に」 「はぁ!?」 「メルアドは?」 「え?」 「おしっこもれるから早く教えて」 「え、え!?」 「もれるもれる090の何?」 「だって私彼氏いるし」 「彼氏がいてもいいじゃん」 「ダメです」 「だって今の時代不況なんだから 何があるかわかんないでしょ、 ストックは多いほうが良いって!」 「いや、いいです...」 「わかった、じゃあ行こう」 「どこへですか?」 「パスタ食べに」 「パスタ?」 「だってこれ同窓会でしょ?」 「なんでわかるんですか?」 「君のことは何でもお見通しだよ、 電話番号以外」 「でもいっしょに行くことは 出来ないんですごめんなさい」 「そっかぁ、でもどうして?」 すると彼女、 両手いっぱいの大きさの 四角い紙をおいらに見せてくれた。 そこにはこう書かれてあった。 ○○女子短期大学 ワンダーフォーゲル部同窓会 こりゃ、しょうがないよね。 加護さん ワンダーフォーゲル やったことないもんな。 |