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■■ 久方ぶりにネタです
「残念だけど」 応えは冷徹に与えられた。暖かみを帯びた橙色が、氷の膜に遮られでもしたかのように冷ややかな視線を投げかける。 「俺には君を助ける義務がないし」 「利益なら!」 拒絶の言葉を最後まで言わせまいと、鋭く叫んで遮った。今ここに彼の足があったならば、きっと床に五体を投げ出しすがり付いているだろう勢いと必死さで、食い下がる。 「無償でなどとは言いません。相応の、相応以上のお礼はします。あなたが求める代償も調べました。利益としてお返しするに十分な用意があります。正式な依頼として、この窮状からお救い戴きたいのです……!」 世に在り得べからざる橙の目が、声を立てずにただ笑う。感情を浮かべたがゆえに却って異相であることが際立ち、こいねがう者は息を呑んだ。 「報酬は問題にならないよ、亡者。血も猫も間に合っているんだ。それらを用意してきたのならね」 闇に溶け周囲に滲む体を揺らして、橙色はいっそ優しく拒絶を吐き出す。 「俺にその力はない。君を助けることは、不可能だ」 宣告を受けた者の絶望に崩れるさまを見ぬうちに、橙はその形を円から半円へと変えてゆき、やがてすっかり闇に沈んだ。
2004年11月03日(水)
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