再会

スーパーマーケットへ夕食の買い物に行ったときの事。

野菜の棚の間を歩いている私を
年輩の男性が、車いすを押して追い越していきました。
車いすが目を引いて、ついそっちを見たら

車いすに乗っていたのは
私の 祖母 でした。

ああ、なんて懐かしいの!!

いいえ
祖母であるはずはありません。
彼女はもう10年も前に亡くなっているのです。
でも斜め後ろから見た姿は
髪型といい、白髪の具合といい、顔の輪郭といい
そのしわやシミの感じといい、体格から服装の趣味まで
まるきり祖母だったんです。

「おばあちゃん!」と思った途端
驚いた事に涙がぼろぼろ溢れてきてしまいました。
もう10年も前に亡くなった人なのに、
スーパーマーケットの中なのに。

一緒に歩いていた主人が、ぎょっとした顔で何事かと私の顔を覗き込みます。
「おばあちゃんかと思っちゃった」と車いすを示すと
彼も一目見て「ああ…!よく似てるな!」と。

あんまり急な再会に
しばらくの間涙が止りませんでした。
止った、と思っても、少しして別の所で見かけると
また泣けてしまうんですもの。

大好きな祖母でした。
人はこんなに優しくなれるものか、と、
信じられないような気持ちで彼女を眺めた事が、一体何度ある事か。
もちろん子供の時は普通に怒られたけど
でも、大好きな祖母だったんです。

10年ぶりに姿を見せてくれたんだと
そう思えて仕方ありません。

気持ちのいい 心が暖かくなる 涙でした。
2003年08月29日(金)

花のもとにて / しっぽ

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