怪しい人影

ある日会社で訊かれた。
「海乃さん、ギア車運転できる?」
うっかり出来ると答えたが為に、配達しろということになる。
「何かあったときに頼めると助かるから」というわけで
ほんのちょっとした配達を教わる。
確かに、一月に一度あるかないかの仕事だった。

ところが、配達していた社員が退社してしまった。
それから毎日配達に出ている。

車の運転は好きではないし、道を全く知らないし(爆)
積極的にやりたい部類の仕事ではない。
ただ、時間的にも距離的にもホンの少しなので負担ではない。
車の中は夏ならエアコン、冬は暖房が入れられるため(当たり前か)
実は現場で仕事をしているより環境はいいだろう。

しかし

配達から帰ると、運転席にいる私を見て皆必ず笑うのだ。

何故?!

ある日同僚が言った。
「そ・そのサングラスは・・・!!」(後は爆笑)

やっと解った。

食品を扱う仕事なので、白衣を着ている。
頭もネットと帽子を被っている。
ただ被るだけではない、しっかり縛って髪が落ちないようにしているのだ。
この帽子、殆ど耳が隠れるほど深く被っているため
眼鏡の取り外しは非常に面倒になっている。
だがしかし、サングラスがなければ運転は不可能!
というわけで、無理矢理つっこんでサングラスをかけて出ていた。

「かっこいい」系の、黒い服でかけたら怖いようなサングラスなんだわ。
それを白衣を着て目深に被った白い帽子でかけているオバサン。

・・・確かに失笑を禁じ得ないわな。

あんまり毎日みんなに笑われるので、いい加減厭になって
最近はかけずに出ることにしている。
ところが、かけないとまぶしくて…
特に白い大型車、バスなどが近くを走っていたり
橋の上などの視界が開けるところに出るととても眩しい。
目をつぶって運転したいくらいだ。
・・・そりゃマズイか。


少し前に男性社員が一人増えたので
当然の事乍ら、配達は遠からず彼の仕事になると思っていた。
が、しかし
今のところどうやら変更する予定はないようだ。当分私が配達か。
仕方ないなぁ。
それならサングラスをも一つ買うか。
白衣でかけてもおかしくないのを。

…って、そんなのあるわけないじゃん!!

2001年11月19日(月)

花のもとにて / しっぽ

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