私季彩々
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2004年01月19日(月) 「浮き」

 私はいまだに二層式洗濯機を愛用している。替える理由がないからだが、齢は20年を越えるわけだから、愛用といってよいだろう。

 洗濯層には、ゴミ取りの浮きとネットがくっついた奴がある。すでに12年以上の御年だ。主婦の発明だかで有名だが、立派な働きを毎回してくれている。この目に見える働きぶりこそ、労働意欲の至高であろう。給料はやはり日払いが一番なのではなかろうか。

 そんななか、「浮き」は徐々にへこんできた。洗濯時には浮かび上がれずに、渦の中に引き込まれていった。それでも健気に毎回糸くずを回収してくる姿に、私はいつまで頑張ってくれるのかと期待を投げかけた。そうやってこの12年余り、一度も空気を吹き込むことがなかった。我ながらずぼらだ。

 冷え込みの厳しい北海道だが、札幌の鉄筋高層物ともなれば、室内は氷点下にはならない。洗濯層に水を溜めて、少しは水温を上げようかと水を張ることもある。そんななかに浮かぶ「浮き」は、日頃汚れの波に翻弄される様子とは異なり、箆鮒(へらぶな)釣りの玉浮のように穏やかだ。
 私は、拾い上げて息を吹き込んだ。口を離すとすぐにもれ出てきたが、それでも栓をすると前よりもずっと張りが出ていた。

 溜めこんだ靴下やら下着やらを一杯に詰め込んで、今日も回る洗濯機。直接湯が入れられない欠陥構造の配管なので、ストーブの上の薬缶一杯分の熱湯を入れて水温を上げてみる。もちろん気休めだ。そんな中、いつもにまして元気そうな「浮き」。本当は、沈み込もうにも洗濯物が多すぎて沈めないだけなのだけれど。 Home&Photo


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