私季彩々
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2003年02月22日(土) 心的無力症

 「皮膚無力症」という症例がある。皮膚は薄くて弾力が無く、ちょっと引っ張ったり引っ掻いただけで裂けてしまう。多分この症例であろう猫の皮膚を見た。長毛種らしく、黒い豊かな毛がついた皮膚は、その重さだけで破れてしまいそうな薄さで、いとも簡単に裂け目が入った。

 動物の体で最も丈夫な所というと間違いなく皮膚だろう。俗にコラーゲンとよばれる真皮は弾力性に富み強靭である。このコラーゲンの走行やそれ自体に異常が起きるらしい。もちろん人にもある病気だ。

 床ずれだけで皮膚がむけるような暮らしなど想像を絶する。重症になれば、痒いと掻いただけで爪の跡から裂ける。暮らしは一変するだろう。
 我が家の猫は元気だ。首を猫掴みしてだらんとぶら下がった姿など、微笑ましさの象徴のようなものだが、この病気であればそのまま首の皮が取れてしまいそうだ。体を守る皮の脆弱さ。どれほど多くの物理的・化学的・生物的侵襲から身を守ってくれているのか。皮膚とはそういう存在である。ストレスや体調の微妙な変化も現れやすい。

 腫れ物に触るように、あらゆる事柄が傷となる。普段は優しい忠告も、心を落ち着かせる柔らかな感触さえも身から血を流させる鋭利なナイフになる瞬間、深い毛に隠された無力症の皮膚は血を流す。

 昨日廊下の電気を消し忘れたようだ。たいしたことではないが、皮膚無力症的な私はまた血を流す。本当に病気だったらどんなに楽だろうと思いつつ、本当にそうだったら楽どころの騒ぎではない。

 今日は雪が強め。河川敷の歩道は除雪不足で靴の中に雪が入り込む。冷たくなったかかとを気にしながら、丈夫な皮に包まれた弱い弱い私を感じながら。 Home&Photo


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