私季彩々
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帰宅は豊平川の堤防の上を走る。堤防上の表示には増水注意とあった。街の明かりに暗く浮かび上がる川面は波立って、低い流音を響かせていた。 私はその音になんとなく引かれて河川敷へ降りた。誰もいない自動車教習所のコースを抜けて行く。街灯に浮かび上がったうち捨てられたスクーターがまだ走りたそうだった。 川下へと伸びる道は自転車を快適に走らせる。階段状の堤防には点々と佇むカップルがいて、なんとなく邪魔しているような小心さに急かされてペダルを強く踏み込んだ。あっというまにいくつかの橋をくぐる。2つくぐれば良いというのに。 広場もパークゴルフ場も過ぎる闇に吸い込まれて河川敷はいよいよ狭くなる。しばらく絶えた人気に心もとなさがましてきた頃に川辺の柵に寄りかかるカップルがいて初めて親近感を持ってみたりする。 川はちょっと荒れ気味。100年前は渡し守も健在な開拓期の暴れ川だったという絵をみたことがある。 向こう岸には渡れない。橋を渡るには堤防を登らないといけないがそんなスロープはない。また一つ橋をくぐる。 街のネオンは住宅街の高層住宅から漏れる明かりとなった。道はいよいよ川と近くなって近づく堤防は視野を狭めた。月は半月。空で一番明るい。 ようやく見つけたスロープは荒れた砂利道で草が生い茂っていた。押しながら登ると一瞬風が吹きぬけた。緩やかに曲がるカーブから車が向かってくる。久々に見たような気がした。
高々30分の漂流はこうして終わった。川は私の知らない街へと流してくれた。たぶん東に流れてたはず。でも、ここはどこだろう。 その答えはあっさり見つかった。信号には”北1東23”。碁盤の目の札幌はそう簡単に遭難させてはくれないようだ。
ようやく家路へ。とはいっても私はその後しっかり迷子になった。いくつになっても方向感覚はないらしい。ま、そのおかげで漂えるなら良しとしましょうか。
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