私季彩々
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2001年06月21日(木) 桃色を愛でる 

 札幌から3時間くらいのところにある雨龍沼湿原に行った。久々の山行きとなったが小雨交じりのあいにくの天気だった。

 林道と舗装路が交互に続く道を越えると南暑寒荘の立派な山小屋があった。途中あったきつねは5匹。一匹は恐れ気なく車に近づき咥えた獲物を得意げに見せびらかして去っていった。

 ヒトリシズカが道端に咲き季節は札幌よりも1月以上も遅い。少し登ると残雪が残りニリンソウがまだ咲いている。2月半前と1月前が同居している。雪解け水が残雪を割って流れ滝の音が近づいてくる。花をみて季節がわかるようになってきた。高いところに行くほど季節は狭い時間に同居して勢いを増していく。

 登りが徐々にゆるくなり笹の原が道を空けると湿原が始まる。雪で寝そべってしまった葦が殺風景だがその中に小さな緑が色を添えていた。湿地には木道が伸びていてクレーターのような池が点々とある。晴れていれば空の青を映しこんでもう一つの空を映す事だろう。蓮の花が浮かべば桃源郷の入り口ともなろうが今日は漂う霧の舞がその姿を時の奥へ隠している。水芭蕉は美しい姿を終えて朽ちゆく輪廻を描き、赤いお堂に佇むザゼンソウがそれを見守っている。
 そんななか一輪のシャクナゲに出会った。わずかに口を開けた花は薄桃色の香りをのせて私を包み込んだ。
 写真を撮ろうと木道に寝そべると、冷え冷えとした空気とは異り温もりを蓄えた木の道があった。目の高さには桃源郷への入り口がほっこりとあいていた。

 一瞬の青空。静寂と温もり。

 花の季節にはまだ早かった。そして小さな桃色に遭った。
 私のためだけにその窓を開いてくれた一輪だった。 Home&Photo


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