私季彩々
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| 2001年05月01日(火) |
かたつむり (回想録) |
雨上がりの窓に残るぬめぬめとした光沢。なんとも気持ち悪い気もするけど、その主がまだいたりするとそれなりに許せてしまう。 我が家にあらわれるのは立派な殻を持つ輩ではなく、すぐにもつぶれてしまうあめ色のかたつむり。へばりついている部分はその真ん中を浮かせたようにして、巧みな吸盤と化している。なんともスムースに見えるけど、退屈な雨の中であんぐりと窓を見上げている私にはなんともじれったく思える。母も洗濯物を家の中に干しながら、なんともうっとおしそうだ。
わざわざ外に出て、つんとのびた目の先をつつくのは定番。彼らの体の中で唯一の色素であろう目は、幾たびの攻撃にもめげずうにょにょと首を振りながら伸びてくる。手の届く範囲にいるようにツンツンとつつきながら、ぬめぬめに”の”の字を描かせるのはちょこっとだけ楽しい。
翌朝、朝露に濡れた窓に彼がまだいらっしゃる。日の出ていない間の方がなんとなく元気そうにみえる。クリーム色の脚だか吸盤だかわからないお肉は、うにょうにょと見えそで見えない動きをしているのが光の加減でなんとなくわかった。なんとも幻想的で浮世離れしたその様子にみとれていると、その後ろの方から肉をとおして黒っぽいものがゆっくりゆっくりお姿をみせてきた。いかにも現実的で、意外と長い。どっからでてきたのかなどは全くわからない。なんとも生き物しててよろしい。
”もー うっとおしいわねぇ”
洗濯物をとりこんでいる母がいう。それらには彼らが這っていたものがあるのだ。もちろん乾いた中にはいないのだけど、その痕跡は私が見た現実的なものがひからびていることでわかるのだった。
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