KALEIDOSCOPE

Written by Sumiha
 
  OLD CONTENTS NEW




  グロッキィヘヴン


2003年07月14日(月)
 



 悲劇は好きよ、女は言う。
 空気は酒気を帯びている。気にならないのは彼女といるせいか。
 半ば伏せられた憂いを帯びた瞳に見つめられるグラスを憎いとすら思う。彼女の胃に収まる酒さえも。
 大抵の英雄伝承歌(ヒロイック・サーガ)はめでたしめでたしで幕を閉じる。だけど現実はそんな簡単じゃない。続きがあるわ。その一瞬は幸せかもしれない、この世の春だと錯覚するほどに。だからって未来まで――死ぬまで幸せが途切れないなんて保証はどこにもないの。
 だから悲劇は好きよ。どん底まで突き落とされたら這い上がるしかないでしょう?
 煙草を噛みながら笑う、その横顔に不覚にも見惚れる。
 雑音が多すぎるわ。埋もれそうよ、目が曇って何が大事か見極められなくなる。
 ねえこの世に綺麗なものがあるなんて本気で信じちゃいないでしょうね。汚濁ばかりよどれもこれも。ちょっとばかり見目を良くしたり醜さを隠すくらいならできるけど。
 誰だって幸せになりたいわ。幸せを掴む為に生きてるようなもんかもね。幸せの規模や対象は人によって違うけど、守りたい気持ちに変わりはないわ。それが地位や名声や富だったとしてもね。
 酔いがまわってきたのか。話題もだんだん支離滅裂になってくる。それでも一言たりとも聞き逃すまいと耳を澄ます。吐息までも感じ取りたい、それが彼女の唇から紡ぎ出されるならば。
 必死な姿は滑稽よ。はっきり言って。悪いとは思わないわ、執着の度合いや対象によっては不快さを催したとしてもね。その人にとっての幸せがそれだったというだけの話。
 ひょっとしたら憐れみたいだけなのかもしれないわ。自分と比べて自分のほうが幸せだと優越感に浸りたいだけ。幸せになりたい、誰だって望むでしょ。人より幸せになりたい。誰だって思うわ。
 順風満帆な人生、結構じゃない。望まれて生まれ死んだら泣いてくれる。いい人生だって笑って寿命を迎えられるなら最高よ。そんな人生を送れるのは一握りしかいないわ。
 その中に入れないから自分より下の位置に見える人間を見て安心するの。悲劇じゃない、じゅうぶん幸せだって自己満足する。
 彼女は言葉を切り嘆息した。俯かれると表情を読めなくなる。泣いていたのかもしれないがどうでも良かった。同席を許されている、自分一人。その事実だけで充分だ。その他が入り込む余地など無い。
 悲劇が好きよ。喧騒に消されそうな弱さでポツリ呟いた。それなら彼女も悲劇の主人公なのだろう。

――終。
稿了 平成十五年七月十三日日曜日



夜更け過ぎの酒場と化した食堂にて。同病相憐れむ(なんか違う)。SFC(別名・原作第三部)直前か直後。リナさん誰相手に話しているのでしょうね? いえ考え無しなのではなくご想像にお任せ致しますということで。私としてはゼルかアメリア。ガウだったらまず煙草や飲酒を咎めて話どころではないかと(笑)。ゼロス相手だったらこんな話題にはならない。いやどうだろう酔っ払ってるみたいだし。なんか他人事のように書いてますね私も。口では何を言ってるかわかりませんが(書いてないから。笑)(つかそもそも相槌を打っているのかさえ疑わしいですが)割とリナのお相手は酷いこと思ってますね。リナの意思まるで無視。酔っ払いだからか。しらふでも素で思ってそうだが。そのリナさんはオフィシャルからだいぶ離れてます。別人。まあ二次創作だしこれもアリでせう。ダメ? 私自身はこういう話、結構好きです。読むのも書くのも。すれやずには似合わない話か。二次創作だから何でもありという訳には……うううむ。

ちょっと書き方を変えてみました。好き嫌い別れるかも。話の内容もそうか(汗)。裏ものを書くことにも公開することにも抵抗が無くなってきました(今回のこれが裏ものと言っている訳ではありませんけども裏ものかもしれない)(……)。困った傾向だ。そのうち堂々と面に裏ものを載せてしまうかも。(警告つきですが)(流石にねーすれやずは全体的に年齢層が低いから)(高けりゃ警告無しでいいって訳でもないが)でも意味の無いエロは嫌です。どんな話にも必然性が欲しい。それが無ければダメだという。必然性が無いなら書く意味すらも無いと思うのですが如何。てぇことで↑の話にも必然性はあるのですが読み取りにくいですな。どうにも力量不足は否めない。やれやれ。




BGM
the end of genesis T.M.R.evolution turbo type D
Suite Season
 



 OLDNEWCONTENTS MAILHOME




 廻れ廻れ独楽のように  
 止まった時が命尽きる時  
 廻れ舞えよ自動人形 
 踊り疲れて止まるその日まで