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設計事務所としての信念を貫きたい・・・ - 2005年06月29日(水)

書店にて店舗関連の雑誌をちょっと立ち読みした。そこには20社近くの企業が広告を出していたが、その中の殆どは設計施工の内装業者さんであった。設計料やプランニング料は無料ですというキャッチコピーが大きく書かれているが、それは工事を請けることを目的とした中での無料ということであり、現実的には施工金額の中に設計者の人件費もちゃんと計上されることになる。

設計料をタダにしてまで工事を受注するという行為は設計を本業としている者からすれば到底理解に苦しむことである。最初のビールは無料です!って言いながら価格設定を高くしているところや、何かにつけて無料やサービスという表現で客を釣るようなものであったりするのと同じ。工事をやらせてくれれば設計料はサービスしますよ!ということで、そこにはあくまでも工事の受注というものが付いてくるのである。設計だけタダで依頼して工事は他社に頼みますなんてことも出来ちゃうだろうが、そんなことしたら怒っちゃうよね。でも、そういう理屈にもなるんだよね・・・こういう行為って。

依頼する側も数社に声を掛けて比較検討するのは当たり前だと思っている。先日ご契約頂いた方は10社もの会社に話しを聞いたらしいが、2ヶ月ほどの検討期間を置いて最終的にはうちにご用命を頂いた。当然ながら図面を描きますよとか、物件を斡旋しますよとかということを口にする会社もあったみたいだが、依頼する側が相手に何を求めるのかということや、何を基準にパートナーを選択するのかということは人それぞれ異なるであろう。

その選択という行為に於いてしっかりと理解して頂きたいことは何か?例えば図面を無料で描くところが数社あったとする。同じプランやデザインにはならないし、予算計画書の数字も違ってくるであろう。そこで中身を考えずに金額だけで判断する経営者もいるし、数社のいいところを集めて一つにまとめて何処かにやらせたりするということもあると聞く。そういう際の判断基準って凄く曖昧だし、明確なる判断基準が提示されない場合は参加しないようにもしているだけどね。

それからデザインコンペと入札は全く異なる次元のものであるということ。簡単に言えばデザインコンペはあくまでもデザイン的に気に入ったものを選択する為のもので、入札とは一つの設計図書に於いて数社が見積りを提出するというものである。簡単な説明でもこれだけに違いに気付くものだけど、現実的には全く異なるものなのに一つに括ってしまっている依頼者が結構多い。最終的には中身と予算との組み合わせでの判断になるのだが、その過程や方法に関してはまだまだ店舗業界は立ち遅れている。思うに、それではベストな選択は出来ないのではなかろうか。

設計事務所だけのしっかりとしたレベルの高いデザインコンペで魅力のある案件であれば参加も考えるだろうが、判断基準が不明確なものであったり、工事を受注するが為に設計料は要りませんというようなところと同じ次元でのものであったら、参加するだけ時間の無駄だと考える。設計やデザインをしっかりと理解し比較を出来る経営者なら問題はないが、中々それがきちんと分かっている人は少ないという現状ではまだまだこの世界も発展途上だね。

本来は設計という仕事は工事とは全く別の次元のものであるべきことで、設計があって工事をして初めて店が出来上がるのに、工事を請けるという大きな目的があり、それを果たすが為に設計を言う行為を無料奉仕(名目上ね)してしまうことは理解出来ない。重要度が逆である。

うちはご契約頂くまでは設計には着手しない。しかし、そこまでのものに関してはご納得頂くまでは何度であっても時間を取るし、口頭にではいろいろなアドバイスなり提案はさせてもらうが、実務には着手しないというシステムを今後も変えることはないであろう。
設計事務所としての最低限のプライドを捨てたくはないから・・・

独立間もない頃に3社コンペということがあったが、相手が何処かを聞かされていたのでその相手と比較検討されること自体まだまだであると精進を誓ったものだった。うちに決まってから相手の図面を見せて頂いたが正直ショックを隠せなかった。予想通りあまりにもレベルが低過ぎて、そこと同じ土俵に上がらなければならなかったことにね。それ以来コンペというものはなかったが、業者選択の際に多くの会社から話しを聞いて最終的に依頼して頂いたというのはかなりの数に上るであろう。

それからもう一つ。本当のプランやデザインというのは相手とじっくりと話しをしてつくり上げていくものと思っている。仕事を取る為の手段としてのプレゼンは私にとっては無意味な行為で、ウケるデザインやプレゼン方法に走ってしまうことにもなる。大切なのは店側のレベルと経営者の意識をしっかりと踏まえた中でのプランでありデザインであるべきもので、一度や二度の打合せだけでそれを把握するのは到底無理な話しであり、そういう中でのパズル的なプランは何の意味も持たないものと思っている。



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