ぼそっ・・と独り言
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| 2001年10月07日(日) |
わからないから、わからない |
先日、ある事があって、不意に30年も昔の話を思い出した。
テレビの普及し始めた頃、修理と言うと、町の電気屋さんが訪問修理をしていた。 今のような基盤でなく、まだ真空管の時代だ。
どっちの立場で聞いたのが記憶に無いが、あるお宅で修理に手間取っていると、籠の中の九官鳥が 「わからんけぇ、わからんのよ」と、叫んだそうだ。たぶん家人の口癖だと思われるが、状況ぴったりで・・・ 鳥の言う事でも、そのものズバリだったらしく、非常に腹が立ったと言う話だった。
この「わかる」「わからない」と言う、単純な言葉だが、意外に幅が広い。 店の立場で言うと、お客さんが「どのくらいわかっている」のか「わからない」。 わかってるのかな〜?と思ったら、意外にわかってなかったりする。 お客さんは、「どのくらいわからないといけない」のか「わからない」。 そして、症状がでてこなければ、「その時でないとわからない」事だってある。
病気ではないが、その病状にならなければ、人は本気で考える事も、逆にいえば、知ることも必要ではない。 そして、その状況にならないと、あらかじめどんなに言っていても、記憶には残らないものなのだ。 「だから、前言ったじゃない」といったときには、すでに (たとえば、レギュレターが壊れた) 後・・であったりする。 それで一度体験すると、予防医学ではないが、ちゃんとした対策もあらかじめ取れるようになる。
なんにしても、説明するには限りがあるし、必要でない分は、聞いた本人も頭の中からデリートしている。 先日、「今回****を聞いて、また一つ参考になりました」と、言われたが、実は前にも言ってる話なのだ。
でも、その時は、それを実感としてわからないし、理解する事が出来なかったから、本人も聞き流しているだけ。 「初めから言っておいてよ」と言われる事は、お互い無理に近い事だと思う。 体験がなければ、言葉が記憶の場所に定着しない。
パソコンを持たない人に、「デフラグ」の話をいくらしても実感として意味をなさないようなもの。 わかる分しかわからない。
「わからないから、わからない」は言いえて妙だと思う。 その時に一つずつ、覚えていってもらうしかない。
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