昭和な日々。...jojo

 

 

この上ないワインな夜。 - 2002年05月29日(水)

「おなか空いた。焼肉が食べたい。」
と友人Mからメールがきて上野で待ち合せた。
何軒もある焼肉やの中からてきとーに選んで入った。
味はまぁまぁだったけど私たちを唸らせるほどではなかったので
ちょっとがっかりして昔よく通っていた店を思い出したので
焼肉やのはしごをしようということになり会計を済ましてその店を出た。

銀座のホテル西洋の近くにあるその店は休業日だったのか閉まっていた。
車を停め仕方ないのでそのままやはりMが昔行ったことがあるという
BARを探しつつ仕事の話などしながら歩いていたら銀座4丁目まで出てしまって
折り返して戻ってきたけどそのBARは見あたらなくて結局古い建物だったから
もうとっくに取り壊されてビルになったんだろうという結論にすることにした。

途中になかなか感じのいいワインバーがあったのでそこに入ることにした。
よく好きな人と食べるとなんでも美味しいっていうけれどそんなんじゃなくって
食べ物の相性ってきっとあって、その人と食べるとなぜだかいつも美味しいものに当たる相手っていると思う。Mと私はその点ではとても相性がいい。

一見カジュアルに見えたそのお店は一軒家を改造した造りらしく
入り口で「お食事はお済みですか」と聞かれ、急ですのお気をつけてと狭い階段を3Fまで通された。
カウンターの端に座りワインリストから本日の超お勧めだという白ワインのグラスをそれぞれ選び
料理も2種類注文した。チーズも頼んだ。
ふたりが頼んだワインはどちらもすばらしかったけど
特に私の頼んだほうは一口、くちに含ませたとたん
目が見開いてしまうほどなんともいえず美味しかった。
チーズにはパンとなにか得体のしれない乾燥した果物のようなものが添えられていた
チーズはもちろん、干しブドウと胡桃が入ってるパンも美味しくて
Mが席を立ちひとりでその得体のしれない乾燥したものを何気に手に、ぼーとしてたら
カウンターの中のソムリエが「いちじくはどうですか」と話し掛けてきた
乾燥いちじくだったらしい。「いちじくの甘味がチーズと合うんですよ」というので
試してみたらこれまた絶品だった。パンも自家製ということでいたく感動。
店内を見渡せばさほど高級感はないが何気ない「品」がそこかしこにうっすらと霧のごとく漂い
坊主頭にビーサンのMとほとんどノーメークにタンクトップの私達以外は
みなさん場所柄かほどよくキチンとした男女ばかりだった。

それでもワインを口にするたび、料理を味わうたび
目を見開き顔を合わせ感動を口にする私達に好感でももっていただいたのか
スタッフの何人かがふとした仕事の合間に話し掛けてくる
鴨の黒オリーブと赤ワインの煮込みを食べていたら
女性のソムリエがこちらの料理には負けない位の力強いこの赤なんか合いますよと
私達に新しいグラスをふたつ出し、「内緒ですからね」と注いでくれた
う〜〜〜ん。美味しい。一見の客の私達になんておもてなし。感動。
聞けば私が最初に飲んだ白ワインはとても貴重なもので
一本の木にブドウが4房しかとれないので9樽しかワインが作れないのだというものだった。

何から何まですばらしかった。
偶然とはいえ素晴らしい店に入ったものだ
スタッフはみな感じよくて、よくありがちな
ばか丁寧で、逆に客を見下ろすタイプの給仕人などいなかった

ふたりのお気に入りの
とてもいい気分になったときに使う言葉
『この上ない』時間を過ごさせてもらった。



そういえば昔よく通った店に浅田さんという
ワイン業界では天皇のような人がいたけれど
その方も腰が低く、いつもにこにこして関西訛りが残る
とてもそんな偉い人だとは思えない気さくな方だった。
子供が生まれたときにはお祝いまで頂いたので
そのうち子供と会いに行こうと思う。



のちにMの友人でイタリアレストランを開く予定の人に
その店のことを話したらその店は業界では最大手の店だということだったらしい。
なるへそ。




内緒で頂いた赤ワイン。
おいしゅうございました。





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