Web Masterの日記



副都心線により埼玉ピンチ!

2008年06月17日(火)

先日、副都心線が開通した。
昨日の初めての平日運転で各駅停車なのに駅を飛ばしたりして
終日、ダイヤが乱れはしたが、この副都心線開通により、
和光市から渋谷まで直通最短25分で行けるなど、
ますます通勤通学等に便利になったのは確かである。
一方で、中間点にある池袋や新宿のデパートは、
顧客を渋谷に取られないか懸念しており、様々な戦略に打って出た。
池袋では長年のライバルだった西武と東武が初めてタッグを組み、
打倒渋谷の旗印の下で精力的に活動し、とりあえず先週の土日の売上は
新宿、池袋とも前年比を上回ったようだ。
このように副都心線の開通により、新たな「百貨店戦争」が始まるなど、
いろいろな方面で経済効果が波及している。

練馬から東陽町に引っ越しをしてから、東京西部の電車には乗らなくなったため、
今の自分にはあまり縁のない路線ではあるが、
話題の渋谷駅の卵形ホームは、なんか興味がある。
電車の空気と外気がほどよく混ざってエアコンいらずということらしいので
どんなもんだか早く見てみたい気はある。
そして、以前は池袋のデパートは西武も東武もよく行っていたが、
今回の副都心線開通による百貨店戦争、大いに結構だ。
すべては消費者のため、という基本視点を持ったデパートが勝利するだろうが、
池袋、新宿、渋谷、いずれも鉄道一本でつながったので、
どこか1ヶ所が一人勝ちするということはないだろう。
そういう状態になるなら、既に湘南新宿ラインができた時点で
勝負がついたはずだからね。

ところで、西武線、東武東上線に直接、相互乗り入れする副都心線だが、
埼玉県民は願ったりかなったりだろうね。
渋谷まで手軽に行けるようになったし、付随して表参道や原宿にも足が延ばせる。
2012年には東急東横線とも相互乗り入れするので
横浜方面にも1本で行けるようになる。
なので、これにより東武東上線、西武池袋線沿線の住宅需要がまた伸びるはず。
人口増加も期待できそうだ。
だけど、いい話ばかりではない。
商圏ベースで見たらどうだろうか…。
冷静に考えると、これは悲惨な結果になりそうな予感がしてしまう。
埼玉の大商圏といえば、今や大宮(さいたま新都心)くらい。
川越、春日部、所沢などの商圏は、すでに顧客の大半を
都心に持って行かれてしまっているため、商圏としては衰退の一途をたどっている。
この大宮さえも湘南新宿ライン完成後は、かなり都心に顧客を持って行かれており、
結構、厳しい戦いを強いられているのが現状だ。
今回の副都心線の開通により、川越と所沢の商圏は
壊滅的なダメージを受ける可能性が出てしまう。
それは「百貨店戦争」の影響により、池袋、新宿、渋谷が
「安くて良いものを提供する」場所になってしまうからだ。
せっかくの副都心線開通なのだから、
埼玉県は通勤客を増やして住宅を増やすだけではなく、
やはり「商圏の活性化」を図ることを考える必要もあるだろう。
住環境はむしろより充実するわけなのだから、
「自分の住んでいる町で完結する経済活動」という視点での
街作りを考える必要がある。

埼玉県は、いつまでも東京のおこぼれを貰っている場合ではない。
今のままでは2012年に横浜まで延伸した場合、
埼玉県民は東京、横浜に買い物に行くというのが普通の姿になりかねない。
むしろ逆に「横浜市民が埼玉県に押し掛ける」というような
魅力ある街作りを埼玉県が県主導で動く必要がある。
そうしなければ、魅力のないただの寂れたベッドタウンになってしまうだろう。

ちなみに同じような話は道路建設でも起こっている。
高速道路を造ったがために、逆に地元が廃れていったという話は多い。
このようなことを、道路や鉄道があたかもストローになって
一つの町の経済を反対側の大きな町がすべて吸い上げるということで
「ストロー効果」と呼ぶらしい。
埼玉県から見ると、埼玉南部では鉄道網はものすごく便利になった。
便利になったが、街から店が消え、人の流れも消えた…というのでは困るだろう。
西武池袋線や東武東上線沿線の各街も「百貨店戦争」に参戦するくらいの
勢いがあれば、埼玉県も活気付くし、最終的に日本経済の活性化にもなるはずだ。

副都心線開通のピンチを、逆にチャンスを与える試金石になれば良いのだが
はたして今の埼玉県にそれだけの力があるのか疑問だ…。
千葉県のほうが全然、元気だし、やる気が満ちているのが誰の目にも分かるね。

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