|
2007年08月30日(木)
きっと男なら子供のとき、誰でも一度は抱く「ラジコンが欲しい」という想い。 特に今ほど多様かつ安価なラジコンが世に出回ってはいなかった 70〜80年代に子ども時代を過ごした自分のような世代にしてみれば、 「親に買ってもらえた」もしくは「親に買ってもらえなかった」など、 思い出のひとつやふたつはあるはずだ。
当時、まだF1はマニアしか知らない世界だったが、 1970年代、2年連続で富士スピードウェイに来た時、 ワクワクしながらテレビにかじりついて世界最高峰のレースを見ていた。 ジル・ビルヌーブのフェラーリがクラッシュして観客が巻き添えで死亡し、 それから日本にF1は来なくなってしまったが、 中学時代もずっと「AUTO SPORTS」などの雑誌を見て、 自分のF1好きは変わらなかった。 当時、ジャック・ラフィーが乗っていたリジェのラジコンが欲しくて、 なんとか親に買ってもらった記憶がある。 あの頃は今のように最初から組み立てられているタイプの 自動車のラジコンはなく、プラモデルのように組み立てるタイプばかりだった。 今は最初から組み立てられていて、コントローラーも片手で持つタイプが多く、 かっこいい本格的なラジコンを玩具売り場で目にすると、 大人になった今でも無性に欲しくなる時があったりして。
ラジコンが面白いのは、恐らく自分の意思のとおりに 自動車やヘリコプターが動くという、予め決められた動きしかしない オモチャにはない自由度の高さだと思う。 自分が右に動かそうと思えば右に、バックさせようと思えばバック、 ただそれだけのことが、子供の頃には、やけにスゴイことに思えて、 自由自在に操縦している人を見ると目を輝かせたりした。
だが、ラジコンを動かす時に必ず付きまとっていたのは 「どこで動かすのか」ということだ。 車道は危ないのでNG、公園は人が多くてNG、デパートの屋上とかにあった 専用コースは、ちょっとプロっぽい人たちが多いのでNGと、 東京に生まれ育った自分には、ほとんど外で動かせる場所がなかったように思える。 仕方がないので家の中で親に鬱陶しいと怒られるのを覚悟で遊ぶしかなかった。 結果、ラジコンの本来の力や魅力を存分に楽しむというレベルまで、 その世界に浸ることができなかったな。
まぁ、自分もそれなりにラジコンに対する想い出があるわけだが、 当時は全く知る由もなかった法律の存在を今、初めて知ることになった。 実は、電波の混線などを防ぐために、ラジコンを遊ぶ場合には 「建物から500メートル以上離れなければならない」と、 1957年に制定された法律で規制されていたのだ。 500メートルと言えばかなりの距離だ。都市部だったら、公園でも私道でも、 絶対に遊ぶのは無理な話じゃないか…。 ちなみに屋内で遊ぶことは問題はないようというので、 自分が子供の頃、家の中で動かしていたのは法律違反ではなかったというわけだ。
電波法の施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14条)第6条第2号に 次のように書かれている。
○電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14条)第6条第2号の 規定により、免許を要しない無線局の用途並びに 電波の型式及び周波数を次のとおり定める。 ・模型飛行機、模型ボートその他これらに類するものの無線操縦用発振器 (以下「ラジコン用発振器」という)又は有線式マイクロホンのかわりに 使用される無線電話用送信装置(以下「ラジオマイク」という)であって、 壁で囲まれた建築物の内部において又は 建築物から500メートル以上離れた場所において使用するもの
つまり、無線の免許を持っていないなら、ラジコンは建物から 500メートル以上離れてやりなさい!という法律だ。 果たしてラジコンを持っている人の何割がこの法律を知っていて、 どれくらいの人が守っているのだろうか?
しかし、無線技術も飛躍的に進歩し、電波の混線なども 起き難い技術が出てきているため、総務省は50年の時を経て、 時代に即した内容に改正するよう動き出した。 これまであまり知られていなかった法律とはいえ、 知らず知らずのうちに法律を犯していたとなれば、 ラジコン愛好家や子供たちも良い気分ではない。 なので、こうしてようやく重い腰を上げたことは素直に喜びたいところだ。
法律の改正は来年2月頃までに方針を固めるようなので、 まだ少し時間がかかりそうだが、着実に動き出してはいるという。 自宅の庭や私道、公園などで大手を振って遊べるようになるなら 自分も何十年ぶりで、ひとつ本格的なラジコンを買ってみても良いかも。 そんな気分になる身近な法律改正のニュースだ。 一日も早く、ちゃんと改正されますように。
|
|
|