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2007年08月25日(土)
食品の値上げのニュースをよく目にする。 まぁ、食品だけでなくガソリンやトイレットペーパーなどの日用品も 軒並み値上げしているけど。 とりあえず今日は食品だけに限って書いてみる。 というのも、うちの店で使っている焼きそばの生麺や鰹節の業者から 価格改定のお願いが郵送されてきた。 両社とも9月から値上げされるという。
食品の値上げの原因を考えると様々な要因が考えられる。 まずはバイオエタノール燃料の普及だ。 原料となるトウモロコシの急騰→家畜の餌が高騰→肉や乳製品が値上げ。 バイオエタノールを作り出すだけで、このような構図ができてしまう。 また、トウモロコシが儲かるからと、大豆やオレンジを作っていた農家が トウモロコシ畑に転作してしまうことで 大豆やオレンジも高騰してしまうケースもあるという。 ふたつめにBRICsの影響も大きい。 典型例は日本人の大好きなマグロである。 中国の中産階級が増加→健康食への注目で寿司や刺身が人気に。 また狂牛病や鶏インフルエンザによって肉類が避けられ、魚類の人気が上がり、 その影響で日本に入ってくる量が極端に減った。 そして原油エネルギーの高騰の影響も。 海上輸送費がアップすれば当然、コストアップで製品の価格に上乗せされる。 最後は密輸や乱獲問題。カニやウナギはこれに当たる。
しかし、実は食品の値上げ問題は最近に始まった話ではない。 もう何年も前から「また値上げ」というニュースは流れていた。 それもそのはず。そもそも世界の食糧は、かなり逼迫している状況なのだ。 国連食糧農業機関(FAO)は、穀物在庫率の最低安全水準を 17%〜18%としているが、世界の穀物需給は消費量が生産量を上回り、 最低レベルの16.4%になってしまった。 これは世界的な食糧危機と言われた1970年代の水準である。
日本では少子化で年々、人口が減少しているが、世界の人口は今、急増している。 現在、地球人口は約62億人。 これは1970年代の倍の数字でもある。 そして2050年には今の1.5倍の89億人に膨れ上がることが予測されている。 ところが、地球上の穀物の作付け面積は、ここ30年間ほとんど変わっていない。 要するに人口は増えても取れる穀物は増えていないのだ。 これを計算すると2030年には、中国だけで6億人から10億人分の 穀物が足りなくなるという予測も出ている。 しかし、これは何もないままでの計算であるが、 ここに環境問題が追い打ちをかける。 砂漠化により作付け面積の縮小、温度上昇、豪雨、干ばつ、大気汚染等々。 これらの影響を受ければ計算よりも早く食糧は足りなくなっていくのだ。 よって値上がりは当然、必至なのである。
世界的に見ても豊かな国である日本に住んでいると実感できないが、 世界規模の食糧在庫不足は着々と進行し、それを解消する策は 今のところ何もないのが現状である。 日本は豊かな国のために多少、値上げしても大丈夫と油断してはいけない。 なぜなら日本の食糧自給率は世界最低レベルなのだ。 四方を海に囲まれているから魚貝類の自給率が高いと思われがちだが、 実は魚貝類の自給率は野菜類よりも低いのだ。 マグロは30%、カニは27%、ウナギは20%、エビなんて僅か5%しかない。 タイ、ヒラメ、アジなども50%を割っている。 100%を超えているのはサンマとホタテしかないのが現状だ。 要は肉、魚はもちろん、ほとんど他国からの輸入に頼っているのが現状である。 今は高くても世界各国から様々なものが入ってくるが、 食料不足のために、その世界各国からの輸入がストップした場合を考えると…。
これからの日本、いや地球で暮らすことは厳しい時代なのは確実だ。 未来を背負っていく子供たちにとって 厳しい現実しか待っていないのかもしれない。
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