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2007年08月22日(水)
ハンカチ王子こと斉藤祐樹投手擁する早稲田実業と、 マー君こと田中将大投手擁する駒大苫小牧との足掛け2日にわたる死闘から 早いもので1年が経った。 今大会は注目の中田翔選手のいる大阪桐蔭が予選の決勝で敗退し興味が薄かったが 沖縄旅行中のレンタカーはCDは付いているものの、 もちろん音楽CDなど持って行っていなかったので、常に高校野球中継を聞いていた。 これほどまでラジオで高校野球中継を聞いたのは久しぶりだ。 ちょっとした営業マンになった気分だった。 そんな夏の甲子園決勝は劇的なドラマが待っていた。
今大会の決勝は開会式直後の第一試合で福井商を破り、 宇治山田商を引き分け再試合の末に撃破、優勝候補筆頭の帝京を延長で破って ここまで勝ち上がってきた佐賀北と、 準決勝で常葉菊川の春夏連覇の夢を打ち砕いた広陵が対戦。 どちらが勝っても初優勝となる決勝戦。 試合は序盤から広陵ペースだった。 しかし、ドラマは8回裏に…。 一死から連打と四球で満塁として、際どい押し出し四球で1点を返し、 続く打者は今大会2本のホームランを打っている3番の副島選手。 その副島選手が甘く入ったスライダーを完璧に打って、 打球は超満員のレフトスタンドへ飛び込む逆転満塁ホームラン! そのまま5対4で第89回全国高校野球選手権大会は佐賀北の初優勝で幕を閉じた。
参加4081校の頂点に立った佐賀県代表の佐賀北高校は、2度目の出場で初優勝。 佐賀県勢としては平成6年の佐賀商以来となる優勝である。 ちなみに決勝での満塁ホームランも佐賀商と佐賀北の 佐賀県の2校のみというのは面白い記録である。 一方、40年ぶり3度目の決勝進出で初優勝を狙った広陵だったが、 またも涙を飲むこととなり夏の甲子園初優勝ならず。
佐賀北は問題となった野球の特待生制度もなく普通の公立高校。 そして、そんな普通の公立校が甲子園で優勝するのも高校野球の醍醐味である。 2回目の出場とは言いながらも無名に近い公立校が東の横綱・帝京を破り、 決勝では名門の広陵を破り堂々の優勝か。 公立校の日本一は1996年の松山商(愛媛)以来だ。
選手名鑑を見ると佐賀北の選手は全員が地元中学の 軟式野球部出身というのに驚いた。 また、ベンチ入り選手のうち7人が身長160センチ台と、 本当にどこにでもある普通の高校であった。 なのでクラブ活動の毎日の練習時間は3時間足らずだし、 「スポーツ科」もない学業優先の進学校。 専用グランドや室内練習場も勿論ないので、基礎練習に時間を割くという。 選手の中には「自分たちは陸上部かと思った」と言っている人さえも。 だが、その走り込みが2度の延長戦や再試合でも疲れることなく、 今日の栄冠を生んだのだろう。 この佐賀北高校の今大会での戦いぶりは、全国の高校球児に夢を与えたことだろう。 野球エリートでなくても、設備が充実していない学校でも、 頂点を掴むことができることを教えてくれた。 応援団もバスで日帰り応援の連続だったというが、 今日のバスの旅は嬉しさ満載だっただろうね。
今大会は仙台育英の佐藤投手が155キロを投げて驚かせてもらったり、 延長や逆転なども多く、決勝も奇跡の大逆転で全体的に面白い大会だった。 それにしても開幕第一試合の佐賀北の勝利から始まった夏の甲子園大会、 最後も佐賀北が優勝と、まさに「佐賀北に始まり佐賀北に終わった」大会だったかも。 大会前の注目度は低かったにも関わらず、延長15回の死闘に再試合を勝利、 帝京には延長13回のサヨナラ勝利と一戦ごとに強くなって、 最後は優勝の栄冠を掴んでしまったのだから見事と言うしかない。
それにしても長い甲子園の歴史の中で、開幕試合を行ったチームが 優勝した例はあるのだろうか? 甲子園でオープニングゲームとラストゲームを プレーしたことになるのだからスゴイね。
8月に入ってから連日猛暑、まだまだ暑い日が続くが、 毎年のように甲子園が終わると夏の終わりを感じてしまう。 まぁ、大阪の今年の夏はまだまだ世界陸上で盛り上がるのだろうけどね。
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