Web Masterの日記



年金記録漏れ問題

2007年06月20日(水)

遅ればせながら、国民にとって今、一番関心のある年金問題について
少しだけ書いてみたいと思う。
しかし、調べれば調べるほど社会保険庁のいい加減さには驚いてしまうよ。

少し前に「徳光和夫死亡」の文字が夕刊紙に載った。
もちろん徳光氏が死んだわけではなく、年金で死亡扱いになっていたらしいが、
これもずさんな年金管理のほんの一例にすぎない。

国民年金の月々の掛け金は14100円。
私腹を肥やしているグッドウィルの社長も、グッドウィルで働いている
ワーキングプアの人たちも同じ14100円。
その他にサラリーマンは厚生年金も上乗せされるので、
月々払っているのが2万円以上の人がほとんどだろう。
それだけ払っているにもかかわらず、

・25年以上掛け金を払わないとビタ一文もらえない。
・年金支給開始までに死んじゃったらビタ一文もらえない。

それで頑張って支給まで生きたとしても、
年金支給額は国民年金で年額79万2100円。
もちろん、これからの少子高齢化で支給額はカット、掛け金は増加という
流れになることは間違いないだろうけどね。
こんな「ハイリスク・ローリターン」の金融商品なんて聞いたことない。
そんな不透明な年金だけど、いざもらう段階になったら
入力ミスでもらえない可能性が…まさに国営詐欺と言っても過言ではない。
はっきり言って、近未来通信とかとまったく変わらないじゃないか。

自民党は参院選挙対策でか、この不明データを絶対に解明するとか言っているが、
データの不整合があったのは磁気ファイルへの入力作業を開始してから、
オンライン化までの昭和30年代から40年代にかけてのものばかり。
そんな昔のこと憶えている人、まずいないだろうね。
というより結構の人が死んじゃっているんじゃないか?
ということで解明は絶対無理だと思うけど…。

この年金記録漏れ問題、ムーディー勝山のように
右から来たものを左へ受け流すようなことは決して出来るわけなく、
ただでさえ納付率が悪いのに年金を払いたくないという人が急増するだろう。
となると、また支給額はカットとなり、掛け金はさらに増加か?
少子高齢化にまったく合わなくなった年金システム、
そろそろ抜本的な改革が必要な時が来たのではないだろうか。

自分が年金をもらうのなんて、あと数十年後だからなんて
のんびりとしていられない状況である。
本当に今回の記録漏れは、とんでもなく悪質な事件なのだから。
誰のものか分からない年金納付記録が約5000万件も宙に浮いているのに、
さらに第二の記録漏れも発覚し、単純計算して6430万件。
日本の人口の半分を超える年金記録が誰のものか分からないまま、
長い間、放っておかれたのだ。
これについて、本当に腹が立つのは、日本の役人の体質である。
あの保険金は、なにも社会保険庁のものでも、政府のものでもない。
我々国民が、ただ一時的に管理運営を任せているだけで、全て国民の金である。
それなのに、グリーンピアだの、株だの、土地だの自分たちの運用ベタで
何兆円という損害を与えておいて、誰も何も責任をとろうとしない。
今回の天文学的な記録漏れについても、失敗に関して責任をとろうとしない。
挙句の果てに「美しい国」の総理大臣は国会で
「じゃあ、払えと言ってきた人全員に払えばいいんですか」と
逆ギレとも取れる発言までした( ̄◇ ̄;)

それは全く筋違いな問題だろ。
民間の金融機関なら、そんないい加減な開き直りは許されない。
だいたい顧客の取引情報などのマザーデータは、地震などの災害に備えて
複数の場所でしっかりと管理保管されている。
たとえ被災者が後で通帳や印鑑を紛失しても、
分からないと言って金を返さないなどという火事場泥棒のようなことは一切ない。
どんな状況になっても、問い合わせれば正確な数字が分かる仕組みになっている。

ところが社会保険庁は違った。
誰のものと分からなくてもいいやと、コンピューターに記録しなかったデータは
破棄してしまったという。
自分たちのミスが原因なのに、払うべき年金を払わない。
本当に「国営詐欺」と言ってもいいし、
このような行為を「ネコババ」というのを知ってもらいたい。

社会保険庁は、みんなから集めた金を自分たちで自由に使える。
労せずに得た遊び金だと心の中で思っていたに違いない。
民は弱く官は強いのか…。
ただ何もせずに座っているだけで毎月、湯水のように入ってくる金。
もし、それが自分たちで汗水たらして稼いだ金であれば、
あれほどいい加減な事業計画で、リゾート施設を
全国各地に建設するはずもないだろう。
あの時代はバブルだったから仕方ないという言い訳は通らない。

同じように不良債権を作った銀行のトップは、公的資金法人の際に
みんな引責辞任をしている。
これは年金の無駄使いや記録漏れと、どこが違うのか。
結果責任を負うのは、どんな組織のトップでも当然のことである。

だいたい、あれだけのミスを犯しておいて、のうのうと退職金をもらい、
さらに役所の関連団体に天下りして、平気な顔で高給を受け取り、
ほんの数年で退職金の二重取りまでする。
これらの金は全て我々の血税である。
本当に卑しいし、厚顔さに腹が立つ。

この年金問題は夏の参院選の最大の争点として浮上しているが、
この点もすごく違和感がある。
政党間の足の引っ張り合いの道具ではなく、まずは国民のことを第一に考えて、
国会は力をあわせて知恵を絞ってもらいたい。
公的な年金は老後生活の最後の砦でもある。
その砦の信頼をボロボロにした人達は、
歴史をさかのぼってでも責任を取らなければならない。
誰の指示の元で、年金に何が起きたのか、それをはっきりさせることのほうが
付け焼刃の改善策よりも先決だろう。

年金を本当に信じてもいいのか?

社会保険庁も政治家も、この質問に最初に答えなければならないはずだ。

ふ〜、少しだけ書くつもりが、えらく長くなってしまった。
それだけ、この年金記録漏れ問題については頭にきているということか。

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