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2005年05月26日(木)
NBAのファンでこの男の名を知らない人はいないはず。 ラリーバード?マジックジョンソン?マイケルジョーダン? ピッペン?オニール?ロドマン?バークレー?グラントヒル? いやいや自分が一番好きなNBA選手はミラー! そうREGGIE MILLER レジーミラーだ。 今年で39歳、インディアナペイサーズのシューティングガード。 クラッチシューター(勝負強い選手)のランキングを取れば必ず1位になってきた選手。 そこでついたのが「Miller Time ミラータイム」直訳するとミラーの時間。 つまりミラーだけのための時間のような独り舞台でシュートを打てば入りまくる、 何かにとりつかれたかのごとくシュートが入るという状態を指す。 これが転用して、それほど頻繁には使用されないが、 全米では何をやってもうまくいく状態の場合に、 ミラー自身以外でもミラータイムと呼ばれ、 使用されることもあるくらい有名な言葉になった。 例えばNHL(アメフト)でタッチダウンがおもしろいように 決まりまくったときは「Miller Time!」のプラカードが観客席から出ることもある。
シューティングガードの役割は、簡単に言えばスリーポイントシュートを得意とし 確実に決めること。ミラーの場合も、まさにそれに当てはまり、 特にすごかったのは2点の所から、わざわざドリブルでバックして 3点を決めにいって、決めてしまうというプレー。まさにしびれるプレーだった。 とにかくそのシュート力、そしてシュートレンジの広さは凄まじく、 実際にスリーポイントラインの遥か後方から シュートを決めることも稀ではなかった。 線も細く、黒人プレイヤーとしては決して走力、ジャンプ力などの アスリート能力に恵まれているとは言い難いミラーだが、 彼が特に優れているのは自らをノーマーク、フリーにする能力だ。 ミラーは味方のスクリーンを非常に上手く使い、 フリーになることにかけては天才的なプレイヤーだった。 さらに、ディフェンスを見事に振り切ってボールをもらった後、 シュートを放つまでの間隔がミラーはものすごく短い。 普通、パスを受けたプレイヤーがシュートに至るまでには ボールをもらう→セットしてゴールに狙いを定める→シュート・リリース、 という過程を踏むが、彼の場合、この2つ目のプロセス、 セットしてゴールに狙いを定めるに費やす時間が恐ろしく短いのである。 印象としては、もうボールをもらった瞬間にはシュートしてるって感じ。 振り切られたディフェンダーがあわててブロックに跳んでも到底間に合わない。 恐らく、パスをもらいながら、すでにバスケットをロックオンしているのだろう。
そのミラーがついに20日の試合で引退した。ペイサーズ一筋18年だった。 インディアナは知る人ぞ知るバスケの最も盛んな地域だ。 インディアナのみで有名な言葉、ペイサーズのホームゲームで 試合前、セレモニーで流れる言葉で 「49States is just basketball game. But this is Indiana.」 訳すと「アメリカ合衆国50州のうち、49州ではバスケットボールは 単なるボール遊びにすぎないのかもしれない。 しかし、ここはインディアナ、バスケットボールの聖地である。」
当然、インディアナでエースを張り続ける男はライバルチームからは最大の敵だった。 「We want REGGIE!(レジーかかってこい!)」と 相手ファンのプラカードは毎度のこと。 ペイサーズ最大のライバルはニューヨークのマディゾンスクウェアガーデンに 本拠地をおくニューヨークニックスで、そこで試合があるときは必ず、 エースとしてブーイングの洗礼を受けていた。 ミラーの試合で、今でも伝説として語り継がれている試合がある。 確かに強烈に印象に残っていて忘れられない試合だ。 1994年のプレイオフ、ペイサーズvsニューヨーク・ニックスの第5戦。 第3クォーターを終えた時点でニックスのリードは12点、 ミラーのペイサーズは敗色濃厚。 しかし、ここからのレジーミラーは、まさに神がかりの活躍。 ニックスの本拠地、マディソンスクエアガーデンを 深い深い沈黙の底に叩き落とした。 何とミラーは第4クォーターだけで、スリーポイント5本を含む 25点を1人で叩き出したのだ。 撃つシュート撃つシュートすべてがまるで悪魔にでも魅入られたかのように、 ことごとくゴールネットに吸い込まれていく。 そして当然のようにペイサーズは大逆転勝利を収めた。 極度に集中力が高まって手が付けられない状態になったことを 英語で「in the zone」というが、それがまさにこの時のレジーミラー。 翌年のプレイオフ、同じくニックスとのゲームで 試合終了間際のわずか20秒足らずで8ポイントを挙げ、 これまた奇跡の大逆転を演出したりと、ミラーのクラッチシューターぶりを 表すエピソードは枚挙に暇がない。 なのでニューヨークニックスにとってはミラー憎しだった。
しかし、今シーズンのニューヨークニックスとの マディソンスクウェアガーデンでの最終戦、 これまでのレジーミラーの功績を誰もが讃え、 最初で最後のブーイングのない試合だったのには感動した。 NBAでは一度引退してもまた復帰するという選手が多いのも事実だが、 年齢を考えると現役復帰はないだろう…。 結局、ミラーは1度もチャンピオンリングを手にすることはなかった。 最後にフリースロー率93.1%という脅威の数字を残し引退…。 この率を見れば、まだまだやれるとは思うのだが残念だ。
そうそう、ミラーは唯一、あの神様マイケルジョーダンをキレさせて コートの中で大乱闘し、ミラー、ジョーダンとも退場になったこともあった。 「神様に喧嘩を売った男」でも有名だった。 もうミラータイムが見れないのは本当に残念。 18年間お疲れ様でしたと言いたい。 もうミラーのような選手は出ないかもしれない。 せっかくCATVでNBAの試合も簡単に観れるようになったのに…。
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