川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
もくじを見てみるひとつ前現在に近づいてプチ画像日記


2006年02月26日(日) 2ヶ月、お疲れさまでした。

 ただいま。
 日帰り大阪から戻ってきた。

 1月の新橋演舞場、2月の松竹座と、
 ふたつきの間、海老蔵は「信長」に主演していたが、
 今日がその千秋楽。
 
 よそ様に話したら、馬鹿だと呆れられるだろうから、
 ハッキリとは申さずにおくが、
 いやあ、通った・・・。
 
 ザ・海老蔵オンステージといった趣なので、
 海老好きにはたまらぬ舞台。
 やや熱が冷め気味だった、何人かの成田屋友達も、
 久々に「カッコイイ〜!」と黄色い声を出したりしてたし。
 木は森に隠せというか、
 熱い成田屋友達の中に紛れると、私なんかも、まあ普通に通ったというか、
 大きな声で言うか言わないかは別として、
 何度も劇場に足を運んだ猛者は幾人もいることであろう。

 
 舞台はなまもの、観る側もなまみの人間、
 というわけで、観るたびに新たな発見があったり、
 心わしづかみにされる瞬間が思いがけず訪れたり。

 海老蔵のために書き下ろされた舞台の初演ということで、
 本当に日々変わっていくのをみるのも、楽しかった。

 濃姫の純名りささん、
 毎日昼夜、キラキラと涙を流して、オメメが腫れてしまっていたり、
 苦悩するシーンが多い舞台で、毎日辛くないのだろうか?と思っていたけれど、
 うつけに惚れた私もおおうつけでございますわね、とひたすら信長に惚れる姫君で、
 今日はイイ感じに肩の力も抜けて、共感できる濃姫だった。

 明智光秀の田辺誠一さん、
 1月は声の出し方に違和感を感じたり、
 「七人の恋人」で見た生き生きとした感じがなくて、残念だったりしたが、
 松竹座の大きさに馴染んだのか、声の力みもぬけて、
 キラリとする光秀だったと思う。

 ずっと秀吉でおいしいところ持っていって、
 さすが!と思っていた甲本雅裕さん、
 今日は声がかすれ気味で、少し苦しそうだったけれど、
 本当に大好きな秀吉だった。

 お市の方の小田茜さん、
 1月の方が、輝いてお市らしい日が多かった気がする。
 後半疲れが目立って、ヒステリックなだけが目立つお市になってた。
 美しくてお市オーラ全開!で可愛らしくて、
 信長の妹としての運命を背負った姿に心打たれた日もあっただけに、残念。

 信長の母君の紅貴代さん、
 ずっと、さすがの貫禄だった。
 今日、二週間以上ぶりの観劇だったのだけれど、
 すっかり声がやられていて、心配。
 カーテンコールで涙されていた。

 他にも、この舞台で、知らなかった大勢の俳優さんに出会えて、
 これから、もっと見てみたい舞台が増えたらどうしよう!と思う。
 
 海老蔵は、武蔵の頃からずいぶんと本当に成長したなと思う。
 3時間にも満たない舞台の中で、信長の一生を描いていくが、
 どんどん年を重ねて、力も欲望も大きく肥大していく信長を、
 ひたすら演じていた。
 あのテンションを毎日毎日、来る日も来る日も維持するのは
 どういう気持ちなんだろう?
 たまに信長その人そのものを見ているような錯覚に陥ることがあって、
 カーテンコールでありがとうございました、と頭を下げる海老蔵をみて、
 あ、海老蔵を見てたんだと我に返る事も。
 (やっちまった〜・・・な場面も、もちろんあったけどね)
 
 
 これまでは、カーテンコールは海老蔵が1人で一度だけ行われていたが、
 千秋楽の今日は、全員のキャストが豪華に並んで、
 舞台の上の俳優さん達の表情をみていたら、充実したいい顔してる人が多くて、
 ああ、本当にお疲れさまでした!と拍手はくしゅ。
 (今川義元役の新蔵さん、討ち取られた己の生首を抱えての登場で、
  新七さんが大受けしてた)
 (海老蔵は総髪に深紅のマントのバテレンスタイルで登場、
  おお〜早業、おお〜信長!と嬉しかった)
 こういうオマケも楽ならでは。

 
 満足して、松竹座を後に。
 松竹座のお向かいにある、気になっていたお店「薬蜜本舗」へ。
 小さなお店の中はハチミツでいっぱい!
 何種類も試食させてもらって、
 深い味わいのマヌカ蜂蜜を購入。
 マオリ族が病気やケガを癒す薬に使ってきた蜜なんだそうな。

 帰りの新幹線まで時間もあるしと、一緒だった友人Mちゃんにお願いし、
 松竹座の楽屋口へまわってみる。
 細い通りは大勢のファンでいっぱい。
 普段はここまでは車は入らないようなのに、今日はバックでハイヤーが横付け、
 帽子サングラスマフラーで表情は見えない海老蔵さんがサクッと乗り込み、
 それでも窓を開けてお辞儀しつつ去ってゆくところを、
 ちらりとお見送り。
 いやあ、おつかれさまでした。

 Mちゃんは、大河ドラマで好きになって、
 この「信長」では柴田勝家役だった宮内敦士さんがお気に入りで、
 出てこないかな〜とか珍しくミーハーな事を言っており、
 海老の出よりも、宮内待ちなのか?と笑う。

 その後道頓堀をぶらぶら。
 お腹が減ってはいないけれど、どうしても行ってみたいお店があるのよ!
 Mちゃん付き合っておくれよ。
 
 この舞台でロレンソ神父役をやっておられた治田敦さん。
 公開中のブログの22日を読んでみたまへ!
 これを読んだら、行かないわけにはいくまい。
 な〜んて美味そうなんだろ。
 
 ちなみに、2幕目のロレンソは勿論印象深いわけだが、
 もう一つのお役、ブログに写真をアップしておられたお侍姿の治田さんは、
 どこに出演しているのだろう・・・?とずっと思っていた。
 その見つけにくさは、今日のブログに「ウォーリーをさがせ状態」と書いておられる。
 そのウォーリー治田を、楽の今日、ようやく見つけることができた。
 ああぁ!あんなところにいたのか!
 うはは、あの8秒のために羽二重と格闘してたのですなあ。
 
 というわけで、訪れたのは「渇鈍」
 いやあ、聞きしにまさる美味しさ、しかも550円!
 たまらん!
 沢庵も梅干しもとり放題だし、おいしい。
 ああ、こんなお店が近所にあったらなあ。
 すごいなあ大阪。
 これで、また松竹座に来たくなったぜ。
 今度は腹ぺこでやってきて、
 キャベツたっぷりのソース味とか、キムチ味とか、おろしのせとか、
 みそ汁とか卵ダブルとか、いってみたいのう。
 
 おなかへってない・・・と困り気味だったMちゃんも、
 食べてたら、減ってきて食べられるわ!と喜んでくれて、
 二人とも大満足。

 さて、そろそろ新大阪へ戻ろうか。

 地下鉄御堂筋線に乗り込むと、Mちゃんが「あ!宮内敦士だ!」と鋭くつぶやいた。
 うそーん。
 見ると大荷物を抱えた背の高い雰囲気のある青年が・・・。
 ホントだ〜宮内さんだ。
 よかったねえMちゃん、会いたいって言ってたもんねえ。
 ラッキーだったね。
 だってさっき海老蔵さんが出てから一時間以上は経ってるよ。
 しかも宮内さんは1人で静かに地下鉄に乗ってる。
 乗客は誰も気がついてないみたいだ。
 Mちゃん、「我は選ばれしぞ〜!」と信長の台詞を淡々とつぶやく。
 うひひ。

 新大阪で我々も、宮内さんも下車。
 挨拶しちゃおうか?と見ると、Mちゃん普段に似合わぬ素早さでさくっと声をかける。
 「宮内さん、お疲れさまでした。舞台良かったです!」
 すると「あれ?出演者の方かと思っちゃいましたよ」と笑顔でお返事。 
 おお、フレンドリーだ!
 私もつい「初日にこけた日から、ずっと拝見してました、お疲れさまです」と言ってしまう。
 あはは〜と笑う宮内さん。
 「ずっと好調維持で、素晴らしかったですよ」とMちゃんが言うと、
 我々を成田屋おばばと見切った彼は、
 「いやあ海老蔵さんは素晴らしかったです。僕なんかとは全然ちがいました。すごかった。」
 私「今日は花横でしたけど、花道を駆け抜ける宮内さん、生き生きとしてすごかったです!」
 宮「ありがとうございます」
 M「今度は紀伊国屋ですよね」
 (Mちゃん、いつの間にそんなに宮内フリークに?)
 宮「あ、はい。がんばります。ありがとう」
 我々「わあ〜頑張ってください。これから東京ですか?
  私達も東京に帰ります。お疲れのところすみませんでした。」
 と、そんな感じで握手までしていただいて、
 抜け殻のようにお疲れだったけど、
 澄んだ瞳が美しい宮内さんなのであった。
 
 そんな抜け殻の宮内さんのこの表情
 本当に長い2ヶ月で、お疲れさまでした。


 そんなふうに、私達の2ヶ月のノブナーガな日々は終わりを迎え、
 帰りの新幹線ではお酒なんかも飲んでしまって、
 このところ、ちょっと仕事で悩んで煮詰まってたことも、
 ふぅ〜っと軽くなって、
 ああ楽しかったなあ!な大阪遠征だった。
 行ってよかった。


 他に今月は東京事変の武道館ライブに行ったり、
 人形劇映画「死者の書」を見たり。
 このHPで見られる予告だけでも、人形劇恐るべし!が伝わってくるかと思うが、
 いやあ日本文化奥深しと思う、不思議な映画であった。

 ああ、あっというまに3月になってしまうじゃないか。
 

 






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