川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2005年06月01日(水) 水無月に。

 先日のNHK古典芸能鑑賞会。こんな内容。
 実に見応えたっぷりで、盛りだくさん。
 能を見るのは初めてだったが、
 あの独特の空気感が心地よいものだなあと思った。
 「鼓の家」(今年初めのNHKのドキュメンタリ)で一番すげえ!と思ったのが
 大鼓の亀井 忠雄さんだった。
 画面からでも伝わる、静謐な空気と、それを切り裂く鋭さ。
 今回生で観られて、嬉しかった。

 ナビ役の茂山逸平くん、童司くん。
 逸平くんは、何度かテレビで見たことがあったけれど、
 好感のもてる声と、わかりやすいナビぶりで、にっこり。
 花道が近い、観やすい席だったのも、大きいかも。

 舞踊「新版酒餅合戦」というのは、
 酒とお餅がどっちが偉いか喧嘩して、大根が仲裁に入るという、
 とっても可愛らしくもユーモアのある踊りで、
 酒の三郎は長唄、餅を常磐津、大根姫を義太夫が受け持ち、
 丁々発止のやり取りが繰り広げられるというもの。
 いやあ、豪華で楽しくて、びっくりだった。

 三枚続廓賑の幕は、
 新潟、京都、江戸という、三つの花街から、
 きれいな姐さん達が、大勢お出ましでの、艶やかな競演。
 それぞれの花街の、味わいがあり、美しくてうっとり。
 最後には、姐さん総出演で、キレイきれいな舞台だった。
 はあ〜。

 この日の場内は、普段の歌舞伎座の初日や楽とも違う、
 何やら独特の雰囲気が漂っていた。
 皆さん、各々踊りや三味線や芸事をたしなむつながりか、
 もしくは花街のつながりか、
 着物姿も多くて、
 普通の私みたいな、「古典芸能にふれてみましょう」的なテンションの人は
 とても少なかったと思う。
 女優さんも何人か(香山京子さん、波野久里子さん、マゲものでは有名な藤村志保さん)、
 他にも、とにかく顔を見知っている伝統芸能関係の方が続々だった。
 幕間に、ロビーで小学生が「まい泉」のカツサンドを食べており、
 お、いいなあ、なんて思って見ていたら、
 それは信二郎さんの息子さんの隼人くんだった。
 俳優祭でじゃんけんしたね〜とか話しかけそうになったが、
 怖がられそうでやめておく。

 いよいよ「舟弁慶」。
 歌舞伎がはじまると、私もスイッチが切り替わるというか、
 やはり期待も膨らんで、ドキドキ。
 ちょうど近くに、本日の主役の富十郎さんの奥さんが座っていらして、
 6月に歌舞伎座に初お目見えの長女愛子ちゃんも。
 これがまた、ちっちゃくて赤ちゃんっぽくて可愛らしい。
 歌舞伎のお家の子は、こんなにちっちゃくても、よい子に見ていられるのか?と
 ビックリしたが、
 やはり途中で小さな声で「あ〜」なんて言っていて、
 すぐに外に連れ出していた。ふふふ。
 舞台でも、だっこされてお目見えするんだろうなあ。
 トミーは、踊りの名手と言われるだけあって、やっぱり凄い。
 この声と若々しさは、驚異だ。
 途中で、舟の漕ぎ手が登場し、漕げども漕げども進まぬという場面。
 なんと漕ぎ手の中に、ちっちゃい子供が。
 これはトミーの長男大ちゃん(6才)だ。
 ひやーちっっちゃい。
 トミーが1929年生まれ、大ちゃんは1999年生まれ。
 出来るだけ、一緒に舞台に立っておきたいんだろうなあと思う。
 大ちゃんも、小さいながらそれをよくわかってるみたいで、
 楽しそうなのがにじみ出てた。
 後見さんに支えてもらってないと座ってもいられない、ということは無かったが、
 向きをツツーっと置物みたいに直されたり、
 立ち位置をすすすーっと直されたりしていて、
 その都度場内に笑いが起こる。
 私も思わず、小さくぷっと吹いてしまった。
 後見さん狙ってた?というくらい、コントみたいに可愛らしい。
 思わず、奥様を見てしまったが、ハラハラして呼吸もしてないくらい?に固まってた?
 人間国宝の父、6才の長男、見守る母、
 生「スーパーテレビ」みたいだ〜と思う。
 舞台も良かったけど、なんかそんなことばかり見てしまって、
 ミーハーには伝芸ツウへの道は遠く険しいのであった。

 (この日のもようは、8月28日に放送予定。大ちゃんの大奮闘も含め、
  ザ・古典芸能な舞台が見られると思う)
 

 

 林真理子「花」が文庫化されていて、
 手持ちの文庫が切れた外出先で購入。
 思いがけず「海老さま」時代の十一代目のじいちゃんが登場したりして、
 ニヤリ。
 そして、引きこまれて一気読みしてしまった。

 実は正直、林真理子大好きなんてことは全然なくて、
 独特のいや〜な味わいに、むむむとなることも多かったりするが、
 それでもやっぱり読ませてくれるぜ、まりこ。とか常日頃思ってる。
 最近、半身浴にはまっていて、
 大事な本だと、お風呂場に持っていくのが嫌だし、
 でも面白い本じゃないと、お風呂で読むのは難しい。
 そんなお風呂タイムに読み進めたが、
 途中から止まらず。

 「花」に描かれている、女として母としての生き方と夢をたくす連鎖に
 身につまされてしまった。

 私自身、母の「女の生き方」とか「女の幸せ」に対する想いを、
 脳みその奥の奥に染みこまされて(?)育った気がする。
 (よく、女性でも手に職があれば、強く生きて行けると言ってた)
 そうでなかったら、絶対今の仕事していなかった。
 多かれ少なかれ、そういう親の思いは、色々な形で子供に反映される。
 私は、未だに道半ばで、これが良かったのか悪かったのか、よくわからない。
 ずっとそんなことわからないかもしれないけれど、
 そんな心の奥のどろっとしたところに、ずばっと素手でふれられて
 読み終えた夜中に動揺。
 真理子、やってくれるね。

 カレンダーも六月。
 コクーン歌舞伎「桜姫」、歌舞伎座、ユーミンNHKホール、博多座、予定。
 まったりの水無月と思っていたけど、そうでもないみたいだ。


 






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