なべて世はこともなし
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2008年02月23日(土) 眠れないから更新してみる【ジムに復活】

私のキトクな彼女Mausi(仮名)が言うのだ。


「ジムに行く!」


…。


その昔、私もジムのメンバーだったことがある。だけど、いつの間にかやめてしまっており、最近は文句なしの運動不足のオッサン体になり下がっていた。確かに、ふたりでジムに行けば、なんとなく一人で行くよりも行く気になるかもしれない。うん、そうするべか。


実は、うちのアパートから徒歩数分のところにジムがある。家から歩いていけるジムというのは間違いなく便利。しかも、自宅から会社が徒歩5分という私にとって、家から徒歩圏のジムというのは会社から徒歩圏のジムであるという三段論法が成り立つのだ。ただ、賢い消費者になるべく私たちは、まずは家から二番目に近い、でも歩いてはいけないジムに行ってみた。そう、価格比較をしようという魂胆。


そのジムの受付には爪をやすりで磨いているどことなく無気力感の漂う女性が一人。で、今イチ乗り気でないさまで会費の説明をしてくれる。


係:「今なら年会費は450ユーロ。入会金は29ユーロのキャンペーン中です。もし月ごとに払いたいなら毎月55ユーロ(=年間660ユーロ)」
私:「ええと、ここにペア割引年会費950ユーロって書いてるけど…」



誰がどう考えてもおかしい。ペアのほうが一人よりも安くないと。


係:「…今、キャンペーン中ですので」


…だったらペア割引の方もキャンペーン価格にしろよと思ったが、この国でそのような論理を持ち出すこと自体時間の無駄。ジムを見せてもらうことに。


35メートルのプールにジャグジー、それにかなり数の多いジムの器械、設備は悪くない…いや、むしろいいと言ってもいいだろう。これで年間450ユーロは実に安いと心が動きかけるが、やはり自宅から徒歩圏にあるジムが本命であることには変わりがない。とりあえず、そっちに向かってみますか。


というわけで、年間450ユーロというかなり魅力的な価格を提示された私たちは本命の家から徒歩5分のジムに。受付で「説明のものがすぐに来ます」というので待つ。そこにやってきたのは、どうやらそれ専用に雇われているらしい、もう地球上にこれ以上友好的な人はいないというくらい友好的な女性。…こういう調子のいい女性に限って裏で何を言っているかわからないものだ…と、私は話しやすい女性だとは思いつつも調子のいい女性と判断。ちゅうかさ、ジムの説明をする人にしてはお身体にちょっとばかし余計なお肉がついてませんか?


その女性についてジムを見せてもらう。こちらも決して悪くない。25メートルのプールにいろんな器具のあるジム等々。で、その女性に連れられて受付わきのテーブルへ。


女性:「本日は、どのくらいまでお決めになる予定で?」


…ってお前は日本の車のセールスパーソンか?


私:「もし魅力的な値段ならすぐ決めますよ」


…ってオレは車を買いに来た客か?


女性:「もし、今決めてくださるなら、とびっきりの特別価格をお出しします」


…こいつ、絶対前世は日本で車のセールスをしてたに違いない


女性:「通常でしたら、入会金各150ユーロ、年会費948ユーロのところ、ホントに特別に入会金おふたりで35ユーロ、年会費720ユーロで結構です。あ、今、すぐ、決めてくださるならですよー」


…ちゅうか、こんな商売熱心なアイルランド人に今まで出会ったことがないよ。もしかしたら歩合制なのかもしれないが、ある意味新鮮な体験だわ。


ともあれ、私をバカにしちゃいけません。某大手カメラ店などでの勤務でセールストークを鍛えた私、ここからが出番です。


私:「いや、実はね、別のジムで年会費450ユーロって聞いてきたんだよね。年会費720ユーロなんて論外だわ。だから、申し訳ないけど、別のジムに行くわ」
女性:「ちょ、ちょ、ちょっとお待ち下さい」
私:「え?」
女性:「申し訳ないですが、年間450ユーロは無理です。ですが、もし、今、決めてくださるなら、できるだけ近い値段をお出しします。今、マネージャーに電話して聞いてきます」



…ますます車のセールスだよ。


数分後、戻ってきた彼女…


彼女:「マネージャーとは連絡つきませんでした。だけどホントに特別ですよ。私の責任で月々49ユーロ、年間588ユーロで結構です。その代わり入会金はおひとり35ユーロづついただきます」


…おーい、一気に一人あたま132ユーロ下がったよ。言ってはみるもんだな。とか言っているうちにも、この女夏木ゆたかは話し続けます。


彼女:「もしかしたら私、こんな値段を出してクビになるかもしれないわ」


…お前、実はマネージャーになんか電話してなかったろう。天気予報でも聞いてたんじゃねえのか?


そうは言っても月々49ユーロはかなりお得。数年前に払っていた金額と同じ。何せ、年間5パーセントのインフレが起こっている国。数年前と同じ値段が出たというのは戦果だわ。確かに別のジムのほうが安いとはいえ、やはりジムまで歩いていけるというのはおいしい話。こーゆー話は、引き際も肝心。よろしい、まとめましょう。


女性:「ありがとう。じゃ、お名前を教えていただけますか。はい、MausiさんとSnigelさんね。Mausiさん、お誕生日は?ええ?さんじゅうンさい?えええ?お若く見えますね。23歳くらいかと思いましたよ。えええ?Snigelさんは32歳?いやー、ホントにお若いカップルだと思いましたよ」


…本性見たり。27-28歳と言われればちょっと気を良くした可能性はあるけど、23歳はないでしょう。23歳は!


その後、形から入る私はスポーツ用品店へ。投げ売りジャージとシャワーで使うサンダルついでに事務用のリュックサックを買う。


サンダルで投げ売り品を発見。半額の7.5ユーロ。よし、これにしようとレジに持って行く。


レジ:「このサンダルの部門コードがわからないわ。ちょっと待ってて」


で、別の係を読んでコードを訊ねるが見つからず。少々お待ち下さいと言って裏に消える。数分後…


係:「マネージャーが部門コードが見つからないからXXと同じコードでいいって」


と言って打ち込んだコードから出てきた値段は1.5ユーロ。レジ係は別段驚いた様子もなくその値段で売ってくれた。…得した気分。てか、いつものことながら、ビバ、いい加減王国。


その後、ジムに戻って運動をする。いやー、久しぶりに体を動かして、自分の身体がオッサン体になっていることに気がつかされました。こりゃがんばって運動しないと。





ただいまアイルランドは朝の5時。眠れないSnigel(しかもなぜか知らんが、ひでかすまでのそのそと起きてきた!)に愛のメッセージあるいはご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。




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