なべて世はこともなし
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2005年10月30日(日) 体験、ドイツのハードコアサウナ

ご無沙汰なので日ごろの3−4倍の分量です。情景を想像してもらえるように状況説明に力を入れて書いてますので、状況を想像しながら読んでいただけるとうれしいです。


ごぶさたしてます。ただいま私はドイツ国鉄が誇る特急ICEの中です。素朴にほめてもいいと思うことは、この特急電車、テーブル席(3−4人がけで真ん中にテーブルのある席)はコンピュータ用の電源がついてるんですよね。というわけで、バッテリー残量を気にしなくてこうやって日記の更新なんぞができるわけです(って実はこの原稿の半分以上は結局自宅で書いたんだけど)。


まあいつものことなんですが、このドイツ国鉄には泣かされます。誰が言ったかドイツ国鉄は時間に正確。これ、まったくのウソだと私はここに言って憚らないわけです。Mausi宅近所の無人駅からいつも列車に乗るのですが、こいつが10分遅れました。ハノーバー駅でののりかえ時間は9分。つまり間に合わないわけですよ。


で、列車は2分遅れを取り戻しまして、ハノーバー駅に8分遅れで到着。私はこのラップトップを含む荷物を持って1分で階段を駆け下り、コンコースを走り、階段を駆け上がり特急の待つホームに行き、さらにこの特急は途中で分割されるもんだからホームを走って列車に乗り込みましたよ。


結果、特急は5分遅れてまったく走る必要はなかったとさ。






そんなことはどーだっていいんです。本日のお題はドイツの誇る(?)ハードコアサウナについてです。


Mausiの住む村の村外れにあやしいフェンスに囲まれた「スポーツプラザ」があります。ここ、森の奥にあるようで通りからは中をうかがい知ることができず、ありていに言ってフツーの運動公園の趣ではありません。よく見ると看板にはFKK Sportsplatzと書いてます。ふむ、このFKKとやらがキーワードに違いない。


Mausi:「ああ、それ、ヌーディストクラブの運動公園よ」


なんですと?


そう。FKKとはヌーディストクラブのこと。そういうもんが存在することは確かに知ってましたよ。でも、こんなに身近にあるとは夢にも思わなんだ。


(FKKのオフィシャルサイトにリンクを貼ろうかと思ったけど、ドイツ語だしどきつくないにせよ裸の写真も出てくるのでやめときます。興味のある方はFKKでググると一番上に出てきます)。


で、ここまではだいぶ前の話になります。で、今回Mausiが突然


Mausi:「サウナに行こう」


と言い出した。


サウナねえ。決して好きなことじゃあないけど嫌いなことでもない。でも、サウナ、男女別なんでしょ?


Mausi:「いや、毎週月曜日と水曜日は混浴よ」


なんですと?


何でも日によって、男性専用・女性専用になったり、男女混浴になるんだそうな。


ふーむ。男女混浴ねえ。まあ、どうせ、ジイ様とバア様しかいないだろうからいいんだけど、それにしてもどういう文化やねん。ま、行ってみましょうとなったわけ。それにしても、近所のヌーディスト運動公園といい、男女混浴サウナといい、この国はいったいどーなってんだ?


かくして、ある日の昼下がり、Mausiと私は某街にあるサウナの前に立つ。多分学校の体育館の6つくらいはあるのではないかという広大な建物。ここ、プールも併設(正確には逆でプールにサウナが併設されている)らしく、チューブ型の滑り台やプールもあり子供たちの歓声であふれている。


私たちは12ユーロ払ってサウナとプールが両方使える一日券を購入。で、「サウナ入り口」と書かれたドアーを開けるとそこは更衣室。あれ、男性更衣室と女性更衣室の入り口がなくていきなり更衣室の中に入ったけど、これって男性用、女性用どっちの更衣室なの?


Mausi:「何言ってるの?更衣室も共用よ」


(・д・)キョトーン。


じゃあなんですか?老若男女みーんな仲良くここで着替えるんですかね?いくらサウナは混浴でも、更衣室くらいはなどと思っていた私の前をオッサンが恥じらいもなく全裸で通過。


♪たんたんたぬきの(自主規制)はー、かーぜもないのにぶーらぶらー


早くもぎょっとした気分を切り替えて、とりあえず、受付で借りたバスローブに着替える。あ、ちなみにフツーの人はマイバスローブ持参か、そんなものは使わないらしい。ちなみにバスローブの使用は無料だけど20ユーロのデポジットが必要。


で、どこか日本の温泉を思わせる、リストバンドになった鍵を腕につけ、ロッカーの鍵を閉めようとすると、


Mausi:「ダメよかばんは持ってくのよ」


はあ。じゃあ、何のためのロッカーなんだか。財布は別の貴重品箱に入れたし。ちなみに、このバッグを持っていった理由は中にタオルが数枚入っているから。一枚は腰に巻く用、もう一枚は体を拭く用、もう一枚は最後に足を拭く用、そして休憩室で足を冷やさないように巻くようなんだそうな。なんでもサウナに入った後は足を暖かくしなきゃいけないんだと(真偽のほどは知りません)。


というわけで、更衣室の奥のサウナへ…と思ったら、そこにあるのはロビー。日本の「スーパー銭湯」と呼ばれている施設のロビーに近い感じ。フツーのサウナにミストサウナ、低温サウナなどのサウナはあるわ、レストランはあるは、足湯はあるは、ないのは風呂だけ(水風呂はある)。


さらにはレストランの奥は屋外につながっており、外にも数種類のサウナがあるとのこと。施設は近代的で清潔感もあり、とてもいい感じ。そう、繰り返すけど、きれいなスーパー銭湯から湯船を取っ払った感じなのだ。


湯船以外にも日本のスーパー銭湯との大きな違いが。つまり…


男女の別を問わず皆様平気で全裸で歩かれてますが…。


人によってはバスローブを着てたり、人によってはバスタオルを巻いてたりする。だけど、全裸で平気で歩いている人も多いのだ。当然、そこには女性もいる。だけど、その前を無神経でたんたんたぬきが歩いていく。それに対し、女性は顔色一つ変えないどころかきわめて平気。…信じられん。


で、6畳くらいはありそうなけっこう広いサウナに入る。サウナの中ではバスローブを着ていけないから、バスローブを外にあるハンガーにかけタオルを腰に巻いてはいる(このへん、写真付で解説したかったけど、このサウナの中で写真をとってたらそりゃケーサツ沙汰になりそうな気がするし無理なので何とか情景を想像してくだされ)。


で、サウナの中には数人の人。日本と同じく3段のひな壇になっており、そこに数人の男女が横たわっている。それはいいんだけど、全員タオルを床にひいているので完全全裸。女性の胸も太ももも、男性の♪たんたんたぬきもあけすけに見えてます。これで横に威勢のいい兄ちゃんがセリをやってたら、築地のマグロ市場といった感じにも見えてしまいそう。


この情景のおかげでサウナに入った瞬間にくらくらする私。


バスタオルを腰に巻いたまま座る私。


Mausi:「あれ、(腰に巻いたタオルをしいて)横にならないの?」


なるか、アフォ!


Mausi:「Snigelって意外とシャイね」


話の次元が違いすぎる。


このサウナの中で満員の混雑した電車で痴漢と間違われるんじゃないか…そんな不安を持っている人の気分が判った気がした。何せ、あっちを向いても全裸!こっちを向いても全裸!どこを見ても裸が目に入ってくる。目を閉じるしかない。


で、別のサウナに行ってみる。こちらも6畳くらいの広さで結構混んでいる。とりあえず座る。すると、人がぞろぞろ入ってくるのだ。ついに、座るスペースがないの混み具合になる。後から入ってきた人はあきらめて出て行く。


Mausi:「今から、サウナに水を足すのよ」


それがどーしたというのだ?


そう思っていると、バスタオルと、水桶を持ったふくよかなおばさん(古いが「めぞん一刻の一の瀬さん」の体型)が登場。なんだなんだと思っていると、入り口のドアを開け放ち、手に持ったバスタオルをドアのところで振り回し始める。ちょうど、野球少年が三塁のところで味方の選手に「まわれまわれ」とジェスチャーしてる感じ。あれをバスタオルを持たせてやらせた感じ。中に外からの涼しい風が入ってくる。


で、ドアを閉めて、外に、「立ち入り禁止」の札が出される。で、おもむろにひしゃくで水を差し入れ、今度はストーブの上でタオルを横方向に振り回す。すでに、ふくよかなおばさんは汗びっしょり。タオルを振るたび三段に見事に割れたお腹が揺れる。


…ちゅうかあんたこんな仕事をしてて何で痩せないのよ?


で、どこから取り出したか、今度は巨大な扇子をひな壇に座った私たちに向かってあおぎ始める。熱風がやってくる。ふと見ると、中にいる人のほとんど全員が目を閉じてやってくる熱風を心地よさそうに受けている。はっきり言ってかなりキモい。ありていに言ってイキ顔をされているわけですな。


で、もう一度水をまき、タオルで仰ぎ、扇子で扇いで終了。所要15分。おばさんは拍手で送られる。


うーん、これってドイツ版の茶道なのか?(ちがう)。


その後プールに泳ぎに行ったり(こちらは水着着用)、仮眠室で昼寝したりして半日過ごす。後のほうになると、全裸の人を見ても無視してしまえるようになるから不思議。所詮は裸じゃないか!という開き直り。とはいえ、まだまだ自分を捨てきれない未熟な自分自身はとても♪たんたんたぬき状態で歩けるようにはならなかったけどね。


このハードコアサウナ、行ったことはないけど、北欧系の国にも割とフツーにあるようです。ドイツ国内どこにでもあります。若い(男)女性もいます。だけど、その多くは♪あのころ君は若かったお昼のお兄様・お嬢様です。しかも、若い(男)女性はちゃんとタオルを巻いてたりしてます。それに対し、年をとればとるほどあけすけになっていきます。つまり、


見たくない人ほどよく見える、見えすぎちゃって困るわマスプロアンテナ!


というドイツハードコアサウナの法則が成り立つわけです。


で、あとでMausiに聞いてみました。


私:「スケベそうな目で見る奴とか、変態っぽいのっていないの?」
Mausi:「たまにいる。だから、ふだん私は女性専用のときしか来ない。やっぱり更衣室なんかも男女共用だといい感じはしない」



そうですか。それにしては(見つかると殺されるので自主規制)でしたがねえ。そういえば、私の昔の北欧系の彼女といい、まったく山本晋也カントクが提唱する(のか?)チラリズムがわかってない奴ばかりと思いましたが、そっかー、サウナで見知らぬ人の前で裸になれるくらいだもん、プライベートな空間でチラリズムなんか提唱するだけ無駄なのね。


で、まあ、こんなあけっぴろげな社会だから、最初のヌーディストの運動公園なんかも村はずれに何気なく存在できたりするわけなのだな…と変に納得。ちなみにこのFKK、現在新規会員募集中だそうです。…好き好んで裸でスポーツしようなんて思わないので私は遠慮しときますが。


最後に、私がにわかには信じられなかった光景をひとつ。


ロビーに高校生くらいの男の子ふたりが歩いてました(バスタオルを腰に巻いてね)。そこに反対側からやってきたのは同い年くらいの骨太の女の子(こちらも胸からバスタオル巻いてね)。すると


男:「あ、Aliceひさしぶりじゃん」
女:「Alex、元気?」



…お知り合いですか。いやー、俺が高校生だったら、同性ならまだしも異性の同級生に会う可能性とか考えると決して混浴サウナに行こうとか思わないけどなあ。いや待て、高校生ならずとも、♪たんたんたぬきしてるところで知り合いに会うなんて嫌だ。


郷に入れば郷に従え…とは言いますが、この文化だけは私にはついていけないと正直思いました。





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