なべて世はこともなし
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2005年10月19日(水) 高名の木登りを体験するワイト島旅行記(4)

続きです。その(1)その(2)その(3)


とりあえず、4車線のうち1車線を塞いでいるというのは交通の迷惑になるということで、パイロン(工事現場にあるとんがりコーンの形をしたあれね)をどけて車を路肩に移動。




とりあえず記念撮影…してる場合か。



こんなアホな写真を撮りながら、私は頭の中で計算。あと30分くらいでケーサツが来て30分くらいで事故処理が終わるとして残り1時間。ま、ヒコーキには十分間に合うな。ちなみに、写真では良く見えないですが、車の左側面、かなり派手にこすってます。


ところが。待てど暮らせどケーサツが来ないのだ。


その間、相手の運転手と何とかコミュニケーションを取ろうとする。


私:「もしかして、ドイツ語話す?」
相手:「スロバキア語とスペイン語」



どういう取り合わせやねん!


相手は運転免許証を提示。とりあえず、ペンを借りて名前や住所を書き写す。それが終わるとやることがない。高速道路の路肩に車を停めた場合は後ろから追突されたときのために車外、ガードレールの向こうで待つのが鉄則だが、後ろには大型トレーラーが停まっているので追突される可能性はない。というわけで車内でぼーっと待つ。


待っている間に気がついたのだが、このスロバキア登録のトラックは当然左ハンドル。左ハンドルの車が左側通行をすると、死角が多くなるのではないだろうか。シロート考えにも、私がこのトラックの死角に入っていたんだろうなあと分かる。


閑話休題。待つこと1時間。痺れを切らせて私はもういちど999に電話。


オペレーター:「ケーサツですか。救急ですか。消防ですか」
私:「ケーサツ」
警察:「どうしました」
私:「M25の事故処理を待ってるんだけど」



警察が言うには、最寄りの警察署の担当者が向かわせているとのこと。ただし、人命や人の財産に関わる問題のほうが優先だから、もし他の問題があればそちらが優先されるとのこと。ゆえに、いつ警察が来るかは約束できないができるだけ早くするとのこと。


で、そのまま、bmiに電話してみる。


私:「かくかくしかじかで乗り遅れそうなんだけど」
bmi:「25ユーロと運賃差額で翌日のフライトに変更できますよ」
私:「結局いくらになるの」
bmi:「少々お待ちを(待つこと数分)全部で(ひとり)380ユーロ(52000円)ですね」



…新しいチケットを買った方が安いわ。アフォ。


それにしても何たる皮肉。滑走路はもうすぐそこ。目の前をひっきりなしに飛行機が離陸していく(どうやら離陸用に振り向けられた滑走路のすぐ脇に私たちはいるらしい)。空港まであと2キロという地点で事故を起こすという運の悪さ。あるいは9/11にヒコーキに乗ろうとした私への天罰か。


1時間30分後。こりゃヒコーキに乗り遅れるかも…と思いはじめる。少なくとも、Mausi(私の奇特な彼女ねん)だけでも空港に送りたいが、高速道路の上、タクシーを捕まえることもできない。


突如私たちの前に車が停まった。待ちに待ったケーサツ…ではなく、なぜかレッカー車。どうやらケーサツが差し向けたらしい。あるいは、アイルランド式に考えると、ここ、工事現場だから、工事現場内で起こった故障車は工事の施工者の責任になるのかも。で、降りてきたのは、まだ20にもなっていないだろうという兄ちゃん。


兄ちゃん:「車動くの。アイッ」


うわっ!初めて聞くよ。ここまで強いコックニーアクセント(よーは知らんがロンドンの労働者階級アクセント…なのか?)。なぜかyesはaiになるし。言ってることは理解できるけど、こりゃおもしれー。


兄ちゃん:「車は動くのね。アイッ。じゃあお呼びじゃないのね。アイッ。ほらほら、車のドア閉めなきゃ駄目でしょ。アイッ」
私:「大丈夫」



立ち去ろうとする兄ちゃんに私は…


私:「あのー、彼女、ヒコーキ乗り遅れそうなのよねん。悪いんだけど、彼女をタクシーが捕まえられるとこまでのっけて行ってくんない?」


良きにつけ悪しきにつけ、私はアイルランドに6年住んでます。つまり、アイルランドの常識でものごとを考えることが多いです(自分で書いて気がついたがそれってやばくないか?)。むろん、日本人である以上日本の常識も重要な尺度になってますが。


何が言いたいかというと、アイルランドでこういうお願いをした場合、私の常識では


兄ちゃん:「ああ、いいよ」


となり、この兄ちゃんがいい人なら、


兄ちゃん:「ああいいよ。空港まで近いし乗っけて行ってあげるよ」


となるわけ。私なら空港まで乗っけていきますね。ともあれ、このアイルランドの尺度を使った私はとことん甘かった。


兄ちゃん:「ええ?ちょっと待ちいや。責任者に電話して聞いてみるから」


数分後…


兄ちゃん:「30ポンド(6000円)で空港まで乗っけて行っていいって。アイッ」


………………。


(・∀・)カエレ!アイッ!


私が中指を立てつつこのレッカー車を見送ったことは想像に難くないかと(注:心の中で立てつつもホントには立ててませんよ)。


この先私たちの運命はいかに。次回。トホホの結末。




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