なべて世はこともなし
日記アーカイブ(インデックス)へ前日の日記はこちら翌日の日記はこちらアイルランド真実紀行へ


2003年09月19日(金) ダブリン家がある(4)

続き物です。(1) (2) (3)をお読みでない方はそちらから。


と、Beaumont Woodの美しい家に後ろ髪を引かれつつ次へ。次のアポイントは午後7時30分で時間に若干の余裕がある。どうしようかと思っていると絶妙のタイミングでケータイに電話がかかってくる。


相手:「Johnだけど、今なら家を見に来れるけど来るかい?」


…どのJohnだ。こら!と思いつつも平静を装い…


私:「ハローJohn、えーっと、正確な住所を教えて」(←やたらと友好的な声)

…とあたかもJohnからの電話を心待ちにしていたような雰囲気を醸し出すよう努力して住所を聞き出す。なんのことはない。Beaumont Woodの目と鼻の先。行ってみるとガテン系の妙に威勢のいいオッサンが待っていた。





家の中は何の変哲もない4ベッドルーム。特に古くもないかわりきれいと言うわけでもない。キッチンはわりにでかいが殺風景。3年前なら「まだ空いてるの?ここにしよう!」と自分を見失って叫んでいたところだが、だんだん目が肥えてきた私にはどうにも魅力的には映らない。家賃が最初のリフォーム中の家と同じ1400ユーロというのも気に入らない。だったらあっちの家のほうが広そうだし、採光も良さそうだし、ついでに日本でコンビニに行く感覚の距離にスーパーもあるし…いまいちだなあ。


で、この家の致命的な欠陥は表通りに面していること。目の前は信号つきのバスも曲がる交差点。家から徒歩50歩ぐらいでバス停に着くという魅力はあるが、なにせうるさい。で、窓も防音にこだわっているというわけではなくフツーの古そうな窓でうるさいだけでなく冬寒そう。


アイルランドで家や部屋を探す方に私がひとこと助言するとすると、窓をよく見たほうがいいです。一部のアイルランドの家は悲しいくらいに隙間風が入って来ます。今の家も外から見ると結構いい感じの家なのですが、実は隙間風が多い。窓辺に近寄ると窓をしっかり閉めていても風の流れを感じます。…ま平たく言えば冬に暖房が効かないんですわ。まあ風の流れがあるということはガス中毒で死ねないというメリットも確かにありますが。


そして午後7時30分のアポはそこから徒歩2分。車で30秒のところ。


この家、見た瞬間に「いまいちだな」という印象を受ける。




今度は裏通りなので静かなのだが、まず間口が狭い。ということはきっと中も狭いだろうと思いつつ中に入ると…やはり狭い。リビングルームのソファーもソファーではなくアームチェア(肘掛けが木製の椅子。つまりソファーじゃないのねん)。ベッドルームも余り広くなくキッチンが4畳半程度しかなく致命的に狭い。で家賃はやはり1400ユーロ。ここまでそろいも揃って1400ユーロという値段を提示されるとこの辺には「大家組合」だかなんだかがあって、そこで家賃を談合して決めているのではないかという気すらして来る。


ともあれ。この家には、とんでもない特長があった。



庭が広い。


広いなんてもんじゃない。家の床面積の軽く4倍はあるのではないだろうか。


のみならず、ここの大家のじいちゃんがとんでもなくいい人なのだ。なんでもこのスーツに身を包んだじいちゃんいわく、前の住人はフィリピン人の目の前の病院で働く看護婦さんたちだったそうで、彼女たちが「寒い」と文句を言うからとなんと窓枠を全部二重窓に変えたそうな。それからもし私たちが希望すれば階段下の倉庫(ちょうどハリーポッターの最初の映画でハリーが寝ていたあそこ)もトイレに作り替えても構わないという。つまりなんでも喜んでやってくれそうな大家さん。


うーん、家自体にはまったくといっていいほど魅力はないが、広い庭と優しそうな大家さんがそのマイナスポイントを見事なまでに打ち消している。うーん、心が動く。


とか何とか言っているうちに次のアポの時間(午後8時)に。本日最後。で、ここに関しては「ちょっと見てみるだけ」というあまり期待していない状況。なぜならここの家賃、1600ユーロと他のところと比べて200ユーロほど高いのだ。

(続く)

日記才人の投票ボタンです(ご協力感謝)




Snigel |MAILアイルランド真実紀行へ掲示板へ