なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
| 2003年08月21日(木) |
ダブリンで頑張る同じアジア人の同胞...なのか?こんな中国人のお話 |
冷蔵庫の中に何もなかったので、やむなく買い物に。金のない私はとにかく値段で勝負のLIDLに行く。
LIDLのレジ。私の知る限りでは全店のレジっ娘(大学時代にバイトをしていた某店ではレジ担当者をこう呼んでました)のうち8割以上は中国人。人件費が安いからなんだろうけど、レジにずらっと並ぶ中国人を見ると自分がどこにいるかを忘れさせてくれます。
で、この日行った某所のLIDL。この日もまたレジっ娘はひとりを除いてみんな中国人でして。で、当然の帰結として私が並んだレジの担当も中国人。並んだ瞬間私は後悔する。
…動きがとろいんだわ。
日本の常識からは考えられませんが、アイルランドの(あるいは知る限りではヨーロッパ全体の)レジっ娘はみんな椅子に座って仕事をしています。ゆえに動きがとろい。例外的にドイツ系スーパーのLIDLとALDIのレジっ娘の動きは驚くほど素早いのですが、彼女は例外。トロい。要領が悪い。
なんとなく過去日記に書いた記憶があるけど、例えば同じ商品が3つあった場合。レジで 3xと打ってからひとつの商品をスキャンするか、ひとつの商品をスキャンしてリピートキーを2回打てば、同じ商品を3回スキャンするよりもはるかに早い。ま、(私も含めて)レジっ娘の経験のある人に言わせれば常識ですな。なのにこの新人と思われる中国人はひとつひとつレジを打つ。
しかもバーコードのついていない商品(例えば野菜など)のコードを覚えていないものだから、いちいちとなりのレジっ娘に「ウルラリラ?」(推定訳:「キャベツの部門コードって何番?」)と聞いている。誰にでも初めてがあるから仕方ないけど、でもその初めてに私がつきあう義務はないわけで。結構多くの人が同じことを考えているような気もするけど、いつも私はスーパーのレジで一番遅いとこに並ぶような気がする。
で、えらく長い時間待たされてようやく、私の番が来る。私の顔を見るなり、
レジっ娘:「あなた韓国人?」 私:「日本人だけど」 レジっ娘:(中国語で)「ウルラリラ!」 私:「だから日本人なんだって。人の話聞いてよ」
すると彼女は手を止めて、じっと考え込んでいる。で、ひとこと。
レジっ娘:(日本語で)「ありがとうございます」
…手を動かそうね。口はいいから(←子供の頃によく言われていた言葉)。
で、会社の近所にSPARがあるのですが、ここにたまにやむなく昼ご飯を買いに行きます。やむを得ないときとは例えば前日冷蔵庫が空でお昼ご飯を作れなかったとか、お昼ご飯を作ったのに朝慌てていて忘れたときなど。白状すると、今日もご飯をせっかく作ったのに忘れてしまいSPARに行く羽目に。何だかんだでたぶん週に1回はSPARに行っていると思われる。
で、ここのSPARもご多分に漏れずやはり中国人の店員さんがいる。ここではレジっ娘ではなくてサンドイッチなどを作ってくれるデリカウンターで働いている。色白でけっこう笑顔がかわいいと思う。私を見るといつもにこっと笑ってサンドイッチを作ってくれる。いい感じ。
ところが。彼女、会社内の同僚にすこぶる評判が悪い。数週間前のこと。この日も私は彼女が作ってくれたサンドイッチを食べていた。
同僚:「見て、私のサンドイッチ。こんなちっちゃいのに4.3ユーロも取るのよ。サギだわ」
他もたいがいそうですが、サンドイッチ、肉(チキンとかハムとか)に野菜(サラダなど)で、2.8ユーロ。で、野菜のトッピングひとつにつき50セントとかそんな感じ。で、同僚が頼んだサンドイッチは、ホワイトブレッド(早い話が8枚切りくらいの食パンを思い浮かべてね)に薄っぺらいハム、チーズ、コーススローにミックスサラダ。つまり、基本の2.8ユーロに2つのエクストラトッピングで4.3ユーロなり。つまり計算自体は正しい。だけど、ほんの気持ちしか入っていないコールスローに50セントはあんまりという気もする。
私:「オレの2.8ユーロだったよ」
翻って、私のサンドイッチ、チキンチッカにコールスローにレッドオニオン。これ、私がいつも食べている定番サンドイッチ(「マヨネーズべちょべちょやな」とかいうツッコミ不要)。ベースのパンは普通のホワイトブレッドではなくバゲット(アイルランドではなぜか「ロール」と呼ばれている早い話がフランスパン)。
こちらの方がパンがはるかにでかいのでお腹が空いているときにはこちらの方が得。ゆえにバケットは50セント増しという店もけっこうある。だけどなぜか会社の近所のSPARはホワイトブレッドもバケットも値段は同じ。あれ、肉+2トッピングで3.3ユーロのはずなのになぜか2.8ユーロしか取られていないぞ。しかも中身の量が半端じゃないくらい多い。客観的に見て、同僚のサンドイッチより私のサンドイッチの方がはるかにボリュームがあって私のやつの方が高そうに見える。同僚のサンドイッチ、中身のボリュームが妙に少ない気がする。
同僚:「あのSPARの中国人の店員が作るといつも小さいのよね。中身をケチって。しかも愛想も悪いし」
え?私とまったく逆意見だぞ。私は中国人の店員にあたるとすごく嬉しい。何せ中身がはちきれんばかりのサンドイッチを作ってくれるから。しかも値段を間違えたのか50セント安かったし。
私:「ええ?あの中国人の店員ってすごくサービスよくない?いつもにこにこしているし」
このあと私は他の同僚から集中砲火を浴びたのでした。あの中国人はけちだなんだって。私のせいじゃないのに。
で、この日以来、私は気をつけてみていたのですが、彼女がサンドイッチを作ってくれると、なぜか50セント安いし、しかも(なんかのカレーじゃないけど)具が大きい。で、彼女は私にはちきれんばかりの笑顔をくれるものだから、私も思いきり笑顔で「ありがとう」なんて自然に言ってしまう。
うーん、彼女、私のことを中国人と思っているのか、それとも日本人と分かっていても「ダブリンで頑張る同胞アジア人」としてサービスしてくれているのかな。まあ、いつもアイリッシュにいじめられてるんだからこれくらい逆ひいきがあってもいいよね…などと思いながら今日も彼女が作ってくれたサンドイッチを平らげたのでした。
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