なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
| 2003年07月25日(金) |
アイルランド北部で発掘した超越B&B |
先日の日記に書いた通り、私、アイルランド北部を2泊3日で旅行してきました。この時に考えられない超越B&B体験をしたのでそのお話です。
場所は例のオススメ国道56号線沿いとしか言えない。いえ、秘密にしてるわけじゃなくて標識全部が全部ゲーリックで書いてたし、しかも助手席のナビゲーターが任せておいたらイスカンダルにワープしてしまうような使えないやつでして…つまりは覚えてないんですわ。覚えているのはドネゴール空港から車でレタケニーに向かってたぶん30分くらい走ったかなあという場所。
ともあれ、昼ご飯を抜いていた私たちはお腹が空いて空いて仕方がないという状況でN56を走っていた。時刻は午後6時。たぶんレタケニーまではあと最低1時間はかかるだろうが、そこまで食事を我慢できる状況ではない。かくして、
私:「よし、次の村でB&Bを見つけて、見つかったらメシにしよう」
と決めた次第。
で、次の村というのがまた名もない村でして。村の規模としてはガソリンスタンドが1軒。銀行がAIBとBOIが各1軒。よく分からん店があり、B&Bは2軒。そんな村にもパブだけは4軒もあった。
で、B&B、村の中心に近いところのは外から見ても汚いしとても入る気にならない。で、もう1軒は、村の中心から少し離れており(と言っても100メートルくらい)あまり新しくなく、かつきれいでもなかったが、ま、いっかというわけで取り合えず中を見せてもらうことにした。前庭にはB&Bのマークはあるが、シャムロックのマークはなし(シャムロックのマークはアイルランドの政府が決めた基準を満たしているB&Bに発行される。つまり政府のお墨付きなわけね)。
前庭から入り、玄関のドアをノック。
無反応。
もう一度ノック。
無反応。
ドアノブに手をかけてみると…開いている。
ドアを開けて今度は大声で
「ごめんくださーい」
無反応。
もういちど
「ごめんくださーい」
…どうやらお留守のようです。そう、アイルランドのイナカは、未だに家の鍵をかけないところがあるのです。「鍵の数だけ不幸の数」という言い得て妙なことを誰かが言ってましたが(鍵ってのは他人が信用できないからつけるのであって、この世に善人しかいないなら鍵なんて必要ないでしょ?)そういう意味ではこの地域の人はシアワセな人のようです。
で、誰もいないので諦めて車に戻る。で、車を動かそうとすると、お、誰かが裏庭のガレージに入っていった。
で、もう一度車から降りると、イナカの素朴そうなばあちゃんがいた。
ばあちゃん:「部屋?空いてるよー」
考えてみると、あと1分ここを早く去っていれば以下の経験はできなかったのだが。
で、見せてもらった部屋は、なんというか狭くてダブルベッドと洋服ダンスをむりやり力ずくで入れた感じ。これで50ユーロは高い、他を探したかったが、何せ空腹で死にそうな私たち。部屋は諦めて妥協することに。
で、そのベッドルームはバストイレ付とかいうしゃれたものではなく、バス・トイレは共用。共用って言っても良く見ると、ここ以外の部屋は全部家族用。つまりひと部屋だけB&Bに使っているらしい。つまり、ここの家の家族と共用。
で、バスルームに行くと、そのおばあちゃんのセクシー下着が洗濯物のカゴの中に転がっているわ、洗面所の流しの上の棚にはおばあちゃんの水虫のクリームにいたるまで全部置きっぱなし。そう、イナカのおばあちゃんちに遊びに行ったらたぶんこんな感じだろうなあというのを想像してもらえばわかりやすいかと。
で、恐いもの見たさで洋服ダンスを開けてみると、案の定といえば案の定、洋服ダンスはおばあちゃんの素敵な冬物のコートとジャケットで一杯。
で、翌朝、朝ご飯を食べにキッチンに行くと、これがまたすごかった。私の座った場所からはキッチンの一部が見えたが、このおばあちゃんが出してきたアイリッシュブレックファーストはなんと冷凍もの!さすがにそれじゃ悪いと思ったのかどうかは知らんが、レンジで解凍したアイリッシュブレックファーストをわざわざ油たっぷりのフライパンの中でちょっと炒めてさらに油まみれにしてくれる。私は嬉しくて涙が出そうになる。
他方、私の連れはアイリッシュブレックファーストはパス。おばあちゃんは気にして
おばあちゃん:「スクランブルエッグでも作ろうか」
おお、いいとこあるじゃんばあちゃんと思った私はバカだった。私をして目を真ん丸にさせたこと。このばあちゃん、タマゴを3つばかし割ってかき混ぜたかと思うと、それをフライパンに入れるのではなくなんとそのままレンジでチン!頃合いを見計らって取り出してもう一度かき混ぜてさらにチン!あーら不思議、タマゴは見事にスクランブルエッグに。
わ、技だ!
呆れるやら驚くやらでした。
今日の教訓:スクランブルエッグはレンジでも作れる…じゃなくてB&Bはちゃんとシャムロックマーク輝くところに泊まりましょう。
ちなみに最初の日はドニゴールに泊まったのですが、この日は本当にきれいなB&Bだったのですが、隣りの部屋の中年夫婦がそりゃもうねっとりとした激しい交尾をされてまして(しかも長い間)、これはこれでうんざりしました。しかもオーナーの女性はすごく冷たかった。なかなか素敵なB&Bにたどり着くのは難しいようです。
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