なべて世はこともなし
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2003年04月14日(月) 大義名分の元に忘れ去られる弱者の論理

土曜日。Irish Independentを何気なく読んでいた。すると、紙面半ばに1ページの1/4を使って労働省が政府広報を出していた。いわく…


先週の月曜日(4/7)から就労許可証の発給基準が厳しくなりました。正規の手続きを経ずにアイルランド・ヨーロッパ以外からの人間を雇うと罰金および(または)禁固系に処されます。


で、社説を見るとそこには


「アイルランドおよび世界の景気が減速する中、就労許可証の発給の基準が厳しくなるのはやむを得ない」


といった旨のことが書いてあった。


そのとおりだと思う。アイルランド人が仕事がない!と言っている中でEU以外の人間が仕事を得ているという状況は冷静に考えてあまりまともな状況ではない。就労許可証の発給基準が厳しくなるのはまあやむを得ないと思う。


なんでも調査の結果、FAS(乱暴に言えば日本の職業安定所)に求職者がいる中でEU外の人間に就労許可証を発給していた例が多発していたそうな。ゆえに、以下の業種に関しては4月から7月までの間、就労許可証は交付されないそうな(以下訳すのが面倒くさかったので、政府の公式サイトからコピペしました)。

·Clerical and Administrative
·General Labourers and Builders
·Operator and Production Staff
·Sales Staff
Including retail sales, sales representatives and Management/Supervisory/ Specialist Sales
·Transport Staff
Including Drivers - Bus, Coach, Car, Taxi, Fork Lift, and HGV etc
·Childcare Workers
Including Nursery/ Crèche Workers, Child Minder/ Nanny
·Hotel Tourism and Catering
Reception staff and Barpersons
·Craft Workers (以下略)



…ん?待て待て。ということはなんですか?今までタクシー運転手だとかとび職にも就労許可証が発給されていたの?言われてみると、この前乗ったタクシーの運転手は中国人だったし、噂ではダブリンバスにも日本人の運転手さんがいるとかいないとか。まあ現在この小さな国に40000枚もの就労許可証が発給されている(うち16000枚は更新)となると、ある程度厳しくなるのはやむを得ないかなあ…という気もします。


しかし。これをアイルランドに住むガイジンのひとりとして個人レベルで考えるとろくなもんじゃないという気がします。例えば私の仕事。「日本語能力」というある意味での特殊技能(?)つきとはいえ、ありていに言えば事務職、つまりは上のリストの一番上にもろ抵触します。もし仮に


「この分野は人が余っているからあなたの就労許可証は更新されません。ゆえに今回の修了許可が切れる期限以内にアイルランドから退去してください」


なんて言われたら…そりゃ私はアイルランドに何の未練もないけど、でも実際問題困る。どこに行けというのか?「どこにでも行け。アイルランド政府の知ったことじゃあない」というのはあまりに冷酷だけれど、どうもこの先そういうことが起こってきそうな気配。…というか難民申請が認可されずにアイルランドを追い出された例などもすでにある。


この話はまるでイラクの戦争と同じレベルな気がする。つまり、「フセインは悪い奴だ。フセインを追い出すためには戦争もやむを得ない」という理論には確かに説得力があるものの、その大義名分の後ろに数千人とも言われる人が死んで行った事実は忘れられようとしている。


翻ってアイルランドでは「アイルランドの失業率が上がる傾向にある。この失業率を下げるためには外国人労働者を少しばかり追い出しても仕方がない」という説得力のある大義名分の元に、今までまじめに就労をし税金を払い駐車違反の一つもない善良な外国人労働者が追い出されそうな気配になっている。たぶん追い出される事態になると思う。


…なんだか昨日「ちんちん」と17回書き連ねた日記とは思えない固い内容ですが続けます。


さらに、アイルランド政府は「就労目的で入国した外国人には就労許可証は発給しない」と宣言してます。つまり、私のようにアイルランドに入国してそして仕事を探すという行為は今後は違法ということになります。で、これは私のところには直接やってきていませんが、複数の読者さんからの報告によると、アイルランド政府から一部の会社に以下のような内容の文書が届いたそうです。


「今後は就労許可証を保持して働いている社員がアイルランド外に出る場合は就労許可証の原本を持参し、入国時に入国審査官に提示しなければならない」


つまり、就労目的の人間は空港などの水際で追い出してしまおうというわけ。これ、何でもないことのように思えますが、A4サイズの紙を肌身離さず持っておけというのもなかなか大変な話です。私は旅行中に無くしたりするのがすごく怖いですが。そもそも何のために去年あたりから外国人にガイジン登録カードを発給しはじめたのかというのが疑問に思えてきますが。


残念なことですが、アイルランドでガイジンとして暮らすのは年々再々・時々刻々と息苦しくなっています。私もそろそろこの国を離れるべき頃かなあ…という気がしてきています。アイルランドご在住の方をはじめ、掲示板にて皆様のご意見をお待ちしております。弱者の論理は自身が弱者にならないと分からないのかなあ…。


注意 :今日の日記も内容には注意しておりますが、書かれた内容がすべて正しいかどうかは保証の限りではありません。ご興味のある方は右のホムペより内容を確認してみてください (http://www.entemp.ie/lfd/wp-announcement.htm)



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