なべて世はこともなし
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2003年03月05日(水) 超越上司に超越客とのやりとり。これが私の日常(2=完)

昨日の日記の続きです。これを読んで頂ければ、私の言う「忙しい」がどんなに説得力にかける空しいものかおわかり頂けると思います。


という訳で、Whingingさんに電話をすることに。私こういう電話大好き。何せ相手の勘違いなんだからこっちも話がしやすい。こういう時はこういうふうになるに違いない。


私:「私、さきほどお話させて頂きましたSnigelと申します。先ほどの件なんですが、担当者とお調べいたしました。確認の意味を込めて一から説明させていただきますね。お客様から御返金のご依頼があったのが9月1日。そして、御返金の小切手を送らせていただいたのが4日。が、名前違いということで再発行のご依頼をいただいたのが10日。そして私もが再発行しようとしたところ、お客様の方ですでに最初の小切手を現金化されておりまして、再発行ができませんでした。」

おばさん:「…」

そう、私はこの沈黙が大好き。相手が「あっちゃー」と思っているのを電話線を通じて感じるのが大好き。で、


おばさん:「あら、そうだったの。私が悪かったわ。ホホホホホ」


となり


一件落着天下泰平


となるわけで。


こんなふうに妄想を膨らませている暇はないから、私は受話器を取りWhingingさん宅に電話。Whingingさんはコール3回で出た。


私:「私、さきほどお話させて頂きましたSnigelと申します。先ほどの件なんですが、担当者とお調べいたしました。確認の意味を込めて一から説明させていただきますね。お客様から御返金のご依頼があったのが9月1日。そして、御返金の小切手を送らせていただいたのが4日。が、名前違いということで再発行のご依頼をいただいたのが10日。そして私もが再発行しようとしたところ、お客様の方ですでに最初の小切手を現金化されておりまして、再発行ができませんでした。」


言っちゃったよ。言っちゃったよ。さー、どんな反応をしてくるか。わくわく。


おばさんは、落ち着いた感情を殺した声で


おばさん:「何を言ってるの。あなた?」
私:「は?」
おばさん:「小切手を現金化なんかしてないわよ!じゃあ、今私の手元にあるこれは何?!」
私:「は?まさか、小切手をお持ちで?」
おばさん:「そうよ。ン万円の小切手、今、私の目の前のテーブルの上にあるわ!」
私: 「…」


なんと、思い切りKO級のパンチを繰り出したつもりが、何のことはない、殴り返されてこっちがKOされてしまいました。


おばさん:「あなたか担当者かがウソを言ってるのね。おもしろいわねえ。ホホホホホ(←もろ皮肉笑い)」
私:「ええ、あの、その、お手近にファクスなんてあります?」
おばさん:「あるわよ」
私:「申し訳ないけど、その小切手のコピー、ファクスで送っていただけますか?」



ほうほうの体で電話を切った私。数分後にファクス到着。まあ厳密に言えば相手が小切手のコピーを取っておいてそれを送ってきた可能性も否定できないが、「小切手を郵送で送り返してもらいそれから対応」なんて悠長な対応はもうできないと判断したわけ。で、ファクスを持ってそのままさっきののほほんとした担当者の机へ。


>私:「お前、さっきのWhingingさんの件、ちゃんと調べたのか?」
同僚: 「調べたよ。9月8日に小切手は現金化されてたよ」
私:「じゃあ、ここにあるファクスはなんじゃい!」
同僚:「どういうこと?」
私:「こっちが聞きたいわい!おかげで恥かいたやんか!」
同僚:「ちょっと調べてみるわ」
私:「今、すぐ、この場でやれ!」



で、私の机には他の仕事が山積。私は機械のように仕事を片づけ、昼ご飯を流し込みに台所へ、15分後に戻ってみるとコンピューターのキーボードの上にメモが。


Snigel:Whingingさんから電話あり。至急折り返し電話されたし。内容は直接話したいとのこと。


…何だ?さらに私を痛めつけるネタでも見つけたか?


重い気持ちで、Whingingさんに電話。今度はどういじめられるやら。彼女の皮肉な笑いを聞かされるのかなあ。


私:「ああ、何度もすいません。XX社のSnigelです」

おばさん、さっきとは正反対の陽気な声で、


おばさん:「あーら、Snigelさん、わざわざ電話してくれてありがとうね」


…お前が電話してこいといったんだろうが。…とかいう前に何?その明るい声?何を企んでいるの?ガタガタブルブル((((゚Д゚;))))ガタガタブルブル(←こういうのを使うなよ>自分)

この手のひらを返したかのような明るい陽気な声。さっきと同一人物とは思えない。結婚20年目でここ数ヶ月ろくに口をきいていないような冷め切った夫婦関係のニョーボが、突然玄関先で新婚のとき以来聞いたことのないような優しい声で


「あーら、あなた、おかえりなさーい。おいしいごはんできてるわよ」


なんて迎えに来てくれた感じ。こうなるとご飯の中に砒素でも入っているか、それとも先日の自分の人間ドックの結果がニョーボにだけ届いたかと疑う方が自然というもの。この気持ち、わかっていただけたでしょうか?(え?わかんない?)


話は私に戻る。


私:「いえいえ、こちらこそ食事に行っておりまして失礼しました。あんたらのおかげで15分しか取れなかったけどさ
おばさん:「いいのよ。いいのよ。そんなこと」


何なの?手投弾を投げてくるなら早く投げてくれ。


おばさん:「それでねえ、あなたさっき、9月10日に私が再発行の依頼をどうのこうのっておっしゃってたわよね」


きたきたきた。で、私らがどういうミスをしたことに気がついたんですか?


私:「はい。確かにそう申し上げました」
おばさん:「それで思い出したんだけどね…」


おばさん:「えへ、私、銀行に小切手持って行って現金化したわ」


私:「ハァ?」


おばさん:「いやね、私ったら。娘に銀行に行くように頼んで、娘が間違って普通預金ではなく定期預金口座の方に入れたの忘れてたわ。お騒がせしてごめんね」

私:「…」


本日2度目のKOパンチを受け悶絶。


私:「ええと、その、あの、そうなると、いかにしてお客様は現在、小切手をお手元にお持ちなんですか?」
おばさん:「それがどうも再発行されたやつみたいなのよ」



そう、結局私の同僚もミスを犯している。さっきは「小切手は再発行してない」と言っていたが、実は再発行されている。そして再発行された小切手はWhingingさんの手許にある。


私は電話を切るなり、さっきの担当者のところに走る。


私:「おい!さっきのWhingingさんあての小切手、今現在発行して現金化されてないやつ、今すぐ支払い停止しろ!」

はい、私の毎日、こんなくだらないことに浪費されております。そう、このWhingingさんのために費やした1時間は全く無為な1時間だったわけで。


で、その後私が再び機械になって仕事をしていると電話が鳴る。おばさんはドイツ語で…


おばさん:「XX課のMuttermannさんいらっしゃる?」


Muttermann?そんなドイツ人聞いたことないぞ。同僚に確認し、イントラネットの名簿にも目を走らせるが該当者なし。


私: (もちろん英語で)「Muttermannですか?そのようなものはここにはおりませんが。」
おばさん:(やはりドイツ語)「ええ?ここXX社じゃないの?」
私:(当然英語)「はい。ここはXX社のダブリンオフィスですが」
おばさん:「え?ハンブルグオフィスじゃないの?」


…おばさん、どこをどう間違ったら、ハンブルグとダブリンを間違えるねん。


そんなこんなで仕事をしていると、今度は私のスーパーバイザーがやってきた。私はいすの上にあぐらをかき、心底疲れ果てた声で、


私:「なーーーにーーーー?」


と顔も上げずに言う。すると、スーパーバイザーは…


スーパーバイザー:「こちらがあなたの担当の新規のクライアントになるOO社のAさんとBさん。今日はロンドンからお越しで…」

あたふたあたふた。なんでそんな人が来るなら事前に一言言ってくれないのよ?慌てて机の下で靴を履き立ち上がり、マクドナルドの店員以上の作り笑顔でそのふたりを迎えたが第一印象は最悪だろうなあ。ちゃんと契約取れるんだろうか。

このような毎日を過ごしております。…疲れました。



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