家の側に川が流れています。 川、なんて言っていいのかしら。 俗に言う「ドブ川」、かな。
私の棲んでいる地区では、生活排水は完全に下水道化されていて、 そのドブ川に流れていることはないのだろうけど、けれどどこから か水は流れ続けて、絶えることはありません。 出どころのわからない水なんて、怖いですが。
最後には、西に位置する河へ合流していくドブ川なのですが。
水が澄むんです。 本当に、水が澄むんです。梅雨の晴れ間頃から。 「ドブ川」なので、ずうっと濁ってそうな印象を持つのですが、 澄むんです。 驚くほど透き通ります。
透き通るといろんなものが見えます。 膝くらいの深さ。 そこに山ほどコイが見えます。 朝の綺羅綺羅しい光の降る時間には、何匹もが群れて、泳いでいます。 ぱく、と空気を呑んではゆらゆらりと泳いでいます。 時折、水面を跳ねて、思いの他大きな水音をたてたりもします。
昼ごろには、水底から顔を出す岩だか、ゴミの山だかの上で、とっても 大きくなったミドリガメらしき子が甲羅を干しています。 ぴかっと光が水面に反射します。
これが夏の風景。
秋の満月の頃は、丁度真西に沈むのかしら。 月の入りの頃にふらふらとその川の側を歩いていたんです。 藍(あお)い水面に、ぽかりと月が浮かんでいました、くっきりと。
これが秋の風景。
なんとなく、水には無条件に惹かれます。 それにまつわる情景は深く記憶に刻まれれる。
水があればそれでいい。
……の、かも知れません。
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