外に出ると おもいっきりイイ天気だった。
まぶしい光に、目がついていかれなくて 思わず目をつむる。 それでも、そこに彼がいることには ちゃんと気付いていた。 そしてひとりではないことも。
たとえ、2人になれなくても あの場所で、待っている時間の長いことを考えれば 先に来ていてくれる方が ずっといいかもしれない。
今週は2回目の一緒の休憩は、 最後の金曜日。
飲み会の話をしていた。 来週、社内の飲み会があるらしい。 けっこう大きな会なのかもしれない。 幹事をしているらしい後輩君に、彼が 私も誘えばいい、と言った。
そして彼に はなさんも、おいでよ。 といわれた。
後輩君は、 誘おうと思ったんだけど、他の人と接点がないからやめたんだ と言っていた。
どっちでもいい事。 さそってくれなかった理由を聞かなくても なんとも思わない位、普段付き合いのない人との 飲み会は 気が乗らない。
ただ、今まで彼から 飲みに行こうなどと、言われたことがなかったので 正直少し驚いた。 絶対に行かない事をわかって聞いているときは あったけれど なんとなく、今日のはそうではナイ気がした。 来ればいいじゃん、というノリ。
返事はしなかった。
彼が、昨年同僚をある言葉で傷つけてしまったという 話題でそのあと盛り上がった。 何を言ったのかは分からなかったけど そんな話初めて聞いたし、 その後彼が、その同僚と暫く口を聞かなかったことも 気が付かなかった。 彼の仕事の担当者同士は、とても仲が良く 彼もその事をときどき話してくれていたから。
その内容は とても酷い事だったと、後輩君は言い 直接彼の口から同僚に伝わったのではなく 他の人に言った事を、告げられてしまったという。
影で何言われているか、わからないね〜
と冗談のつもりで言ったら 彼はちょっと怒った顔をした。
陰口は、オレのポリシーじゃないんだ。 はっきり本人に言うようにしているんだ、と。
彼らしくなく、強い口調で言った。
そのときも、影口のつもりではなく 他の人を取り成す為の、話の一つだったらしい。
だから彼にそう非はない気がする。 私だって彼がそんな人だとは まったく思わないけれど、 それはコトバの彪のようなもので。
でも 彼はそう思わなかったらしい。
ポリシーなんてものがあるなんて 羨ましい。 私にはまったくないよ。 いつも人の顔色をうかがって ビクビクしていて それでいて自分を守る為の言い訳なら いくらでも出てくる。
言い訳なんてしたくないのに 無意識にそんなコトバを話してしまう。
人の噂話だって 嫌いじゃないし・・・。
彼の見た事のない一面を見た日だったと思う。 2人のときの彼からは 想像も出来ない彼の姿を 少し垣間見たきがする。
悪い意味ではなくて ドキドキした。
こういう人だ、と印象をある程度もっている人の 意外な一面に どきどきしてしまうもの。
ちょこっと怒らせてしまったかもしれないのに 大して気にしていないのは そんな事で彼は私に対して 悪印象をいだくほど興味ももっていないから。 それと、小さな事を気にしない人だから。
ほんっと。 いつも小さなちょっとしたことで クヨクヨしているのは わたし。
こんな彼も嫌いじゃないけど
それは社内では 見せてくれない、会社のほかの人は おそらく知らないであろう 私の好きな彼。
彼女には、敵わないんだけど。
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