てくてくミーハー道場

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2007年06月23日(土) 『御浜御殿綱豊卿』(歌舞伎座)

もう六月木挽町が楽間近!

ヤヴァい。

とにかく金曜日午前中締め切りのお仕事を力技で仕上げ、おかわり(次のお仕事)をもらって帰ってきて、昼間っから就寝。

土曜日の昼すぎに目覚めると、またもや全身の筋肉がバリバリに固まっており、「週末頭痛」絶好調(−−。)でございます。

でもめげないぞこんなことで。←健気というより莫迦

仁左サマにお会いするためなら、頭痛生理痛歯痛(は、ないが)なんのその。←やはり莫迦

いさんで木挽町へ。






「御浜御殿綱豊卿」

昼夜に重たいこってりとした狂言が並んだ今月の木挽町ですが、特にこの青果ものは、義太夫狂言以上に、役者次第では確実に寝る! という難物(?)

そこはさすがに仁左サマ。

寝るどころか、もー、終始大感動。

なんて、なんてっ、なんてステキな綱豊卿!(v▽v)

新井白石に向かって言う、

(赤穂浪士に吉良を)「討たせたいのぅ〜」

というセリフや、去り際助右衛門に、

「忘れるな。そちは余に、憎い口をききおったぞ」

というセリフなどの滋味が、もう、何と表現したらよいのか(T_T)泣くばかり

青果ものは、ひたすらセリフ、セリフ、セリフの応酬なのだが、しかもそのセリフは説明台詞じゃなくて、二重三重に「裏の意味」「そして裏の裏の意味」「はたまた裏の裏の裏の意味」(←いーかげんにしろ!)という、腹の探り合い=頭脳プレイが大好きなニッポン人の琴線をくすぐりまくるのである。

ある意味疲れる(←コラ)

でも、良い役者に当たった時は。

疲れるどころか、寝起きに朝湯へ飛び込んだような良い心持ちになれるのである(←あのー、芝居が違います)

綱豊と助右衛門が大石内蔵助のことをそれぞれに評価(ヘンな言い方だが)し合うところがあるのですが、仁左サマが話してると、その、セリフの中にしか出てこない「大石」という人物の輪郭が、実にくっきりと観客の前に姿を現すのである。

「優れた表現者」とは、まさにこのことだと実感する。

さらに綱豊卿自身、犬公方綱吉の後を継いで六代将軍家宣となり、その悪政を一つ一つ改めて行ったこともあって江戸っ子に人気のあった人だそうだが、ホントか嘘か、鼻筋の通った美男子だったと伝えられる。


仁左サマそのものじゃん!←幸せな21世紀の観客




で、えーと、他のヒトタチなんですが。(もうどうでも良さそうだな)

ソメソメ、頑張ってたけどいまいち。

これは、「仁左サマと比べたら、誰だってダメじゃん」てことじゃなく、過去ぼくが観た助右衛門=トミー(天王寺屋)、なかむら屋、段四郎丈、勘太郎(←なんでデカいの?)と、全ての皆さんがとても素晴らしい助右衛門だったので、その人たちと比べていまいちってことです。

秀太郎丈、歌六丈、芝雀丈、萬次郎丈、手堅い。(←ひとからげ・・・?)

下田澪夏ちゃんの巡礼が可愛かった(^^)←細かい


2007年06月17日(日) 三井住友VISAミュージカル『エリザベート〜愛と死の輪舞〜』(宝塚大劇場)

遊びすぎちゃうか?・・・と責められるのは覚悟の上です。

でも行っちゃいました兵庫県。

だって『エリザベート』ですから。←説得力あり(断言)

宝塚歌劇団だけでも今回で6回目の再演。全組一巡してまた戻りました。

そんなに儲かるのか?(おい)

儲かるんです。←またもや断言

前楽だったせいだけでもないと思いますが、大劇場には珍しく立ち見がずらーり。

東京のチケットを手に入れるのは『ベルばら』以上に大変と言われておりますし。




前置きはこんぐらいにして、公演の感想を端的に申します。


正直、想像以上でも以下でもなかった。


ちょっと寂しい感想になっちゃいますが、仕方ないかな。

これが、ずっとタカラヅカだけで上演されてきてるんならそうは思わなかったと思う。他の組と比べて、あそこが良かったの、ここはあっちの組が良かったの、と、「個性の違い」を楽しく感じていればよかった。

でも、東宝版はともかく、引っ越しバージョンとはいえウィーン版を観てしまった後では、もうどうにもならん(哀)

「音楽的な部分には、期待しちゃいかん」と自分に言い聞かせて行ったんですが、そのとおりの出来映えでした(寂しい)

あのね、出演者の歌唱力に関してはある程度諦めがついてます(逆に、ビジュアルとかを含めた総合点を考えれば、全然劣ってない! と胸をはれる人もいる)

これは花組のとき(つまり、東宝版を観てしまってから以降)からずっと思ってるんだけど、どうにも仕方のないことなんだけど、プロローグの音の厚みが、全然違う。

これは、歌劇団版ではキーを変えざるをえないから仕方ない部分もある。でも、これは本当に何とかしてほしいんだけど、オーケストラの技術力の差もすんごく大きいのである。

今回、特にそう思った(ウィーン版の直後だからか?)

いっちばん肝心な時に「プァー・・・」とカマすのを何とかしてはくれまいか!(怒)

あのね、日本ミュージカル界の三大不思議(あとの二つは知らん/無責任)なんですが、90年以上の歴史のある劇団の専属オーケストラの技術力が、こんなに低いってのはどうしてなんでしょうか?

他のどんなミュージカルに行っても、「肝心なとこでラッパがカマした」とか「弦がよれた」とか体験したことはないですよぼくは(怒りふつふつ)

ここでさらにもっと不思議なことを申しますと、東京でのオーケストラは歌劇団専属ではなく、公演のたびにメンバーが集められるのです(まぁ、ほぼセミレギュラーな人たちですが)。だが、このミュージシャンたちの方が、専属オーケストラよりもはるかに“まし”なのです。


そんなわけで、今回もそういう場面が2、3ヶ所ありまして、思わずがっかりしてしまったわけですが、愚痴っててもしょうがないので出演者のお話をしましょう。

花組のおさと同様、トートでトップお披露目となったミズしぇん。

彼女のトップ就任は、もう花組時代から「当然いずれは」とみんな思っていたので、「やっとだね」という感じなのですが、よりによって(おい)トートかよ、みたいな気がせんでもなかった。

・・・いやそうでもないかな。

確かにミズしぇんは、ダンス>>>>>>>(越えがたい壁)>>歌、という評価の人ではある。

でも、「黒くて冷たくてスタイリッシュな役」がすごく似合う、という評価の人でもある。

つまり「(見た目だけなら)今タカラヅカで(ということは日本でいや世界で)一番トートが似合う人」なのである(いつものことですが、褒め方が失礼ですねておどるさん)

問題の歌の方も、さえこトートを許容できたので大丈夫だろう、と思って観劇に臨みました。

その通りでした。

時々「・・・う」と思うフレーズがあったりしたけれども、そのダークな美貌の前にはなんら問題なし。

登場シーンで思わず、

「等身大三次元セフィロス?!」

と思ってしまったことをしょこたんに捧げる(笑)

そして、「笑顔が怖い」(褒めてるのです!)(^^ゞ

まぎれもなくトートだった。(何だその感想)

それと、今回けっこう話題になってたらしいのだが、タカラヅカの一幕ラストは、舞台上のエリザベートとフランツを、トートは銀橋から見つめている、という構図になるのですが、その銀橋に登場するとき、ミズしぇんは最初ベタッと銀橋にはりついているのだ(今までの人は、出てきてすぐに立て膝で座ってた)。エリザベートの登場シーンを客席から隠さないようにとの配慮なのだろうが、これがなんかヤモリみたいで☆\(−−;)・・・い、いや言いたいのはそういうことじゃなくて、この寝そべってる姿には照明が当たってなくて本当は見られたくない姿なのかもしれないが、何かそのシルエットがすごく妖艶でぼくは惚れてしまいました(*^^*)←感性が変だぞ




ああいかん、まただらだら書いてると夜が明けてしまう・・・。

続いてシシィのとなみん(白羽ゆり)

星組でわたる君の相手役という大役を立派に勤め上げて、古巣の雪組へ凱旋。

同郷という身びいきもあるが、となみんがこんなに出世(?)することは一時期危ぶまれていただけに(ぼくだけ? そう思ってたのは)嬉しくてなりません(T_T)

だがしかし、さすが大役エリザベート。

大型娘役だからって、そう簡単にモノにはできないのです。

前半ははっきり言って苦労してました(どうにも花總のモノマネっぽいところが散見。個性が違うのに・・・)

大型娘役だからこそかもしれない。なんかどうも子供時代に違和感がある。

もともととなみんは、「かわいく」しようとすると、単に「ぶりっこ」になってしまいがちというのもあるし。

「私だけに」も、ぼくが観た日だけかもしれないが、あんまり声が伸びてなかったし。

一幕のラストからやっと調子が出てきて、精神病院(タカラヅカでは「総合病院」てことになってる)のシーンぐらいから、本来のとなみんの良さが発揮できてたと感じた。

このシーンでは、どの組の時も「娘役で一番使える人」(言い方が失礼ですよ!)がヴィンディッシュ嬢を演ることになっていて、今回もいづるん(天勢いづる)が気持ちよいほどの出来。この人は娘役になって本当に良かったと思いました。




初演から出ていて、これが三回目という『エリザベートの申し子』みたいなゆみこ(彩吹真央)

黒天使→ルドルフ→フランツ=ヨーゼフという出世魚ぶり(?)も祝着至極。

ルドルフからフランツに出世した人はゆみこで三人目ですが、そういう人に限らず、フランツの登場シーン(執務室)では、どうにもルドルフと区別がつかない人が多いです。

まぁ、ジェンヌが軍服着てヨーロッパ人のメイクをすると皆似てしまうのはしょうがないのだし、「父子なのだから、似てて良い」という考え方もあります。

でも今回ゆみこのフランツ(若い時)に関して思ったのは、「感情がなくてお人形みたい」というところ。

ここはゆみこの役づくりが深い、と感心しました。

ゾフィの言いなりになって、というのか、「皇帝は自分の〜ためにあらずー♪」というのが身に付いてしまっているのか、とにかく「なんて無表情なフランツなんだろう」と感じました。

それが感情を露にし始めるのが、フランツの持ち歌「エーリーザベー♪ 開けておくれ〜」以降。

ここから「霊魂」を脱出して動き始める・・・というのがはっきり判って(あんまりはっきりしすぎるのは良くないのかもしれないが)、『エリザベート』という作品には「霊魂が証言している」という一つの大きな枠があることをきちんと把握して動いているのだな、と感心してしまったのであります。

さすが「申し子」(^^ゞ

歌は上手い子なので何の心配もしてなかったんですが、フランツって多分キーが一番低いんだよね。低音部に苦労してたみたいでした(今までフランツの低音部をラクに出せてた人って、ノルぐらいじゃないかと思う)

辛抱役だし、けっこう感情移入してもらいにくい役なのに(フランツはシシィにとってもルドルフにとっても、トートにとっても「敵対する人」だし/苦笑)大変な技術力も要るし、フランツって損な役かも(役に「損」も「得」もないが)




ルドルフ(凰稀かなめ)

いよいよ、「おめぇいつ歌劇団に入ったんだ?」の世代の人だよぅ(アンタが年とったんでしょ)

研8か・・・。そういや去年まで新公やってたんだよなぁ。『堕天使の涙』のルシファーの格好してるのを見て、すげぇベッピンな子だなあと思った覚えがある。

で、この子は踊りが得意なの? 歌が得意なの? と、それすら知らずに観てしまった。

どっちもよろしかったデス(*^^*)

そしてつくづく。

タカラヅカ版の「闇が広がる」は、美しい!




ゾフィーのハマコ様(未来優希)および宮廷の5つの支配の皆様。(ひとからげ?)

けっこうでございました(そ、それだけ?)

すまん。夜も空けがちで急いでいる。


ルキーニ=音月桂


今作ベストワン!\(^^)/

(そうか、それが早く言いたかったのか)

事前に本人の普段のイメージで想像していたところでは、月組ルキーニのきりやんと似た感じで「悪童っぽいルキーニ」になるんだろうな、と思っていた。

ところがどっこい。

なんか、非常に嬉しい裏切りと言うか。

いや、100%完璧というわけではなかったんだけど、思ってたような「子供っぽさ」は全然なく。

本当に塚本高史くんのお姉さんじゃないの? と疑いたくなるほどそっくりなキムですが(どうやら他人のようです・・・でも親戚でもないんだろうか? そんぐらい似てます)、そんな美少年系の美貌は今回すっかりなりを潜めております。

考えてみればルキーニは犯行時、25歳の若僧だったので、オヤジっぽくする必要はないんだが。

そういうことよりも、ルキーニって場面場面で色んな役に変身するじゃないですか。バイエルン公爵家の下男とかカフェのおやじとか。そういう役にすっと違和感なく入っていってるのが巧かった。

それと、声の力強さ。

ルキーニとゾフィーの歌のシーンだけ、ウィーン版にひけをとらない満足感を味わえました。

ぼくはキムは実力派だってことを知らなかったわけじゃないんですが、それより見た目の可愛さの方がもっと勝ってるので、それを封じられるルキーニって役をあてがわれたことが、ちょっと不満だったんです。

「せめてルドルフじゃダメだったの?」と思ってなかったわけでもないんですが(ミズしぇんとの身長バランスもちょうど良いし)・・・いやー、ルキーニで良かったホントに(←付和雷同)

ヅカ版だけでなく、今までぼくが観た全ての『エリザベート』の中で、歴代2位のルキーニです(1位はイシちゃんで動かず)

ブラボーキム。雪組の未来は君にまかせた!(アンタがそういうこと言うと、まとぶんみたいに組み替えになるからヤメて←根拠なし)




このように『エリザベート』の話になるとエンドレスになってしまうので、今回は主要キャストへの感想だけで終わります。

東京公演のチケットがとれるかどうか分かんないけど(今回は人任せにせず、自分でも動けば良かった・・・)、また観られたら、また感想を書く予定。

でも、ミズしぇんのトップとしての本格的な評価は、やはり次作以降を観てからじゃないとできないな。

おっとその前に、全国ツアーの『星影の人』──これ良さそう〜! でも、チケ争奪戦の競争率も高そう〜!

がんばるぞ(それより仕事をがんばれ)


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