てくてくミーハー道場
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2012年09月20日(木) |
宝塚歌劇団星組全国ツアー『琥珀色の雨にぬれて』『Celebrity』(大宮ソニックシティ大ホール) |
本日もがっつり真夏日となりましたが、おかげでどこもかしこも強冷房。
すっかり油断して真夏の装束で出かけたら、寒くて寒くて散々な目に遭いました(×_×;)もちろん外はムシムシ暑々(大汗)
時候の挨拶(?)はここまでにして、今回は久しぶりに大宮へ。
ここんとこ、歌舞伎とタカラヅカに関しては一時ほど全公演マストではないのですが、今の星組は観ておけるうちに観といた方が良さそうなので(縁起の悪いことを言うな!)、平日マチネですが、ちょいと遠出しました。
つっても、大宮なんて完全に都内通勤範囲内なんだよね。昔ちょっと書いたことがあるが、ぼくはかつて南浦和に住んで六本木に通っていたことがある。なので大宮にもなじみがあります。あんまり変わってなくて(それって良いこと?)懐かしかったです。
公演の話をしよう。
ミュージカル・ロマン『琥珀色の雨にぬれて』
柴田侑宏先生の王道ラブストーリーを、ラブストーリーの名手・正塚晴彦先生が演出。
えっ? タカラヅカって、全部がラブストーリーなんじゃないの? と思われる方も多いかもしれない。
ま、厳密に言えばそのとおりである。
だけど、タカラヅカって、全編惚れたハレたで、お菓子の国みたいな夢々しいワールドで好きだ好きだ言ってるもんだと思って食わず嫌いの人も多いかと思う(実は、昔のぼくがまさにそうでした)のだが、本当はそうじゃない。
実は、タカラヅカファンの主流である女性客って、「この愛に命を懸ける!」みたいな男なんて、本当は全然好きじゃないのだ。
むしろ、「俺の人生のエネルギーを、色恋になぞ費やしてられるか」みたいなツンツン君が、「でも、君だけは別だ」みたいにデレるのがどんな時代でも女たちの大好物なのである。
だから、演出家の中には、「お話の大部分は、トップを始めとする男役たちがいかにカッコいいかを見せるために構築すべきであって、最終的に主人公とヒロインが好き合ってれば良かんべ」ぐらいに考えて、艶事シーンはないがしろにしている先生もいらっさる。誰とは言わないが(←また棘!)
ところが、そんな中でも、一見めちゃめちゃハードボイルドな主人公が、女なんか見向きもせずに生きているように見えて、その実大変に綿密に「主人公同士がどうやって出会ってどうやって愛し合うようになるか」をとても丁寧に描くのが、正塚先生なのだ。
その正塚先生が、男の主人公をカッコよく描くことにかけては定評のある柴田先生の作品を演出(元々正塚先生は柴田先生の弟子だったはずなので別にびっくりするようなことではないのだが)
これは安心できる。
ところがどっこい、今作のクロードは、それこそまったく恋愛至上主義の典型のような男で、正直、ぼくにはとても魅力的には思えない、やぼったいおぼっちゃまなのである。
軍隊上がりのお貴族様なんだけど、お育ちが良すぎて、全然ハードボイルドじゃないのだ。
ワルの魅力0%なのだ。
ぼくは、ペイ(高汐巴)さんの初演は、テレビの『花の指定席』でダイジェスト版を視たことしかない。
再演のちゃり坊(匠ひびき)版も、確か彼女がサヨナラ公演だというのに東京公演をほぼ全休演しちゃったので、WOWOWかスカイステージで視たっきり。
実際に観たのはおさ(春野寿美礼)版を、東京公演と地方公演で各1回ずつだった。
で、甘美メロディの宝庫である寺田瀧雄先生の主題歌があまりにも名作なので、その印象しかない。
ストーリーを、あんまりちゃんと覚えていなかったのだ。
で、今回も途中まで観て、
「なんか、こういう主人公って、現代の客にはウケないよなぁ」
と思っていた。
何より、主人公クロードが、ヒロインのシャロンに一目ぼれするくだりが、観客置いてけぼりというか、
「え? 何でそんな急にホレるの?」
って感じなのである。
まあ、一目ぼれってそういうものなのかもしれないが、いくら貴族のボンボンとはいえ、軍隊上がりで修羅場をくぐってきたはずのいい大人が、ちょっと美人を目にしたぐらいで「森の妖精を見た」とか「彼女とぼくは、(周囲のやつらとは)違う星の人間なんだ」とか舞い上がるって、お前は童○(す、すみれコードッ!/慌)か!って感じなのだ。
で、中盤ぐらいまで「ダルい話だ(←お、おいっ/慌)」と思いながら観ていたのだが、いっぺんは別れたシャロンとクロードが一年後にばったり遇うシーンの、フランス映画はだしの名演出に、思わずうなってしまった。
ここは、セリフが一切なく、音楽も、もし某先生だったら(コラ)、いかにも「ジャジャーン!」みたいな判りやすい効果音を出すところだろうに、いわゆる“他所事浄瑠璃”的な、タンゴをその店の歌手が歌っている何気ないシーンになっている。
さすがだ。憎い。(←正塚贔屓、出ました)
このシーンあたりから、興味回復。
・・・のだが(おや?)、終わりまで観て、結局は「この主人公、やっぱダメ男だわ」という結論になりました。
ここまでだらしない(「女にだらしない男」というのは、あちこちの女に手を出す男のことではなく、むしろ、器用にあっちとこっちを両立させられず、結果ダメな方に一所懸命になってしまって、大事な方を守りきれない、情けない男のことを言うのだ)男主人公って、珍しいよな。
女(シャロン)の方が、よっぽど度胸が据わってて男らしいもんな。シャロンて確か、タカラヅカ作品の中でも一、二を争う「オトコマエ」キャラとして歴史に残ってるんだったよな。
そういう意味では、興味深い名作ではありました。
粋なチョイ悪兄さんを持ち役とするちえちゃん(柚希礼音)が、こういう主人公を演じることが、まず面白かった。
プロローグのコート姿(暑いのにご苦労様です)は普通に「男役トップ!」て感じだったのだが、森でシャロンと初めて出会うシーンでのやぼったいダブルの背広(まさしく「スーツ」じゃなくて、「せびろ!」って感じ)姿が秀逸。
よくまあこんだけダサくなれるもんだ(←感心してるのです)
トップさんてすげェ、と改めて思いましたです。
他の生徒さんに関して言うと、ねね姫はひたすら貫禄。
今回の座組から星組へ転入してきて今公演で実質二番手を担当していたまさこ様(十輝いりす)
デカい!(←今さら、そこ?)
ちえちゃんを見下ろすなんて!(いえ、決してけしからんと言ってるわけでは)
えとね、このルネという役は、なーちゃん(初演でルネを演じた大浦みずきさん)信者のぼくは、どうしても厳しい目で見てしまいますのよ。
セリフの端々に、なーちゃんだからこそだなーと思わせるような(ダンスの名手で云々)言葉があるので、しなくて良い苦労をしてしまう役だと思う。まさこ、がんばってた。
あとの子は・・・うん。(←あまり印象に残らなかったみたいです)
ショー・グルーヴ『Celebrity-セレブリティ-』
前回の本公演でやったショーの別キャストバージョン。
眠くなってきたから先を急ぐわけではないのですが、素直に申し上げまして、特に「おっ!」「次回の本公演で注目しよう!」と思わせるような生徒さんは発見できなかった(そういうのが全国ツアー公演の醍醐味なのに/寂)
もう、生徒覚えるの、限界だよぉ(T-T)
ま、ちえ&ねねが安定のスケールだったから、満足はしたんだけどさ。
特に、ラスト近くのデュエット「男と女」の、ねね姫のスカート裁きは迫力あったなぁ。カッコよかった。
で、本日は無謀にもダブルヘッダーだったので、大宮を満喫することもなく、即座に新大久保へと移動したのであった。アンニョン。(←いや新大久保と言っても、そっちに行ったわけではない)
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