眠る金

【 とうち 】 << >> read from the beginning new contact   

温かいおそばについて

●2011年11月17日(木)

生来の猫舌なので、冷たい食べ物が好きだ。
温かいつゆにつかった食べ物や温かい飲み物を自ら積極的に摂るのは、年の3分の1くらいである。

ようやく本気を出した冬の日の今日、職場近くのラーメン屋で、新メニューの「ごま味噌ラーメン」を自ら頼み、温かなそれを一口くちに含んだ時、今年もその3分の1の季節がやってきたことを実感した。

味噌に大好きな胡麻の風味が加わったスープ、それに合わせたと思われる太麺と、とろりとした叉焼と、月替わりの新鮮な野菜やら細昆布、糸とうがらしの乗ったラーメン。

うあー、うまい、うあー、うまいと堪能した。
じんわりと、胃の中から身体が温まった。

味噌ラーメンは何故、醤油や塩に比べて、あんなに胃の中からぽかぽかと温まるのだろう。

-------

温かな麺といえば、かつて卒業論文を提出した日に食べた立ち食いそばを思い出す。

私の所属していた学部の卒業論文提出期限日は決まって毎年12月25日(の正午)で、私は数年間のドロップアウトを経て、多方面に迷惑をかけつつ、ボロボロになりながら、なんとかその日、提出を終えたのだ。

未だに奇跡的な出来事だと思う。

提出まもなく、大学をよろよろと離れるも、消耗のあまり呆然としていて、大学を卒業できるという感慨や喜びなどひときれも実感できない。
電車で大学から2時間ほどかかる家に帰る前に、少し外れた場所にあるアルバイト先に向かっていた。
よく覚えていないが、仕事の日ではなく、何かちょっとだけ寄る用事があったのだと思う。

とにかく寒い日だった。体調の悪さも手伝って、凍えていた。

何も食事を取っていなかったので、その途中の秋葉原駅で、立ち食いそばやにはいった。
たぶん昼時で、背広姿の男性が入れ代わり立ち代わり、素早く食事を終えていた。


いつもだったら、うどんを頼むはずのところだ。
私はそばが大好きだが、そばといえばせいろ、で、温かいつゆにひたひたとつかったそばは大嫌いだからだ。


でもその時はなぜかふらふらと温かいつゆそばを頼んでいた。

素のかけそばではなくて、何か具が入っていたかと思うが、それも全く覚えていない。

熱くて甘いつゆにつかった、立ち食いならではの味の濃いそばを、慎重にふーふーとふきながら食べた時、甘さと温かさが凍えた身体にじんわりと染みてきた。
あ、こんなものがそういえばあったんだっけ。と思った。


「心も体も」という言い回しがあるが、あの時ほど、足の先、手の指の先まで、寒さ、そして温かさがその両方に染み込んだ日はない。

何もかも、もう終わったんだと教えてくれたのは何よりもあの立ち食いそばである。

あれ以来、やはりそばはせいろでいただくものであり、温かいつゆそばは一度しか食べていない。

その一度にしても、職場の人といった店でうっかりおすすめの品を頼んだらそれがつゆそばで、案の定舌を火傷しながら難儀して食べたのだ。

秋葉原の立ち食いそばやよりか、よっぽど旨い店で、実際そのおそばもおいしかったのだが、やはり私には、つゆそばはあのひの秋葉原駅で食べた甘い味の濃いおそばが一番美味しかった。
あれが最初の最後でいいや、と実感した。


秋葉原駅はその後再開発ですっかり様子を変えたようだ。
あの立ち食いそばやがまだあるといいのだけど。

------
ELLEGARDEN 『高架線』にも救われた。あの傑作PVはもう観られないのかな?


浮。

●2011年11月16日(水)

先日私が引退を憂いたその方は、なんのことはないとっくのとうに、気持ちを切り替えて新たな場所を切り開いていた。

どれだけ高くに到達するかということばかり執着せず、のんびりのびのびと、悪戯っ気たっぷりに今日を愉しもう、という様子に安堵した次第。
私も時々は一緒に楽しませていただこう。


本文とは一切関係ないが、最近お気に入りのオーロラ。



●2011年11月14日(月)

今日、とてもお世話になった方が、その役割を辞することになったようだ。

一見堅物そうな肩書きや見た目に反して、意表をつく登場の仕方、軽妙なやり取り、破天荒さ。
背後の計算も含めて、優秀かつ親しみやすい方だった。

ただ、同じような役割にいて、同じようにチャレンジャーな他の人に比べても、その方は周りからの風当たりが一際強かったようだ。大きすぎる母体のクレームを一身に受け、次第次第に、当初の精彩が目に見えて褪せていった。

誰に守られることなく守るばかりで、時に理不尽な言動にも対応する理由が義務感だけになってしまったら、それは続かないだろうな。

今日の日が来ることはすでにずっとずっと前から予想できていたことだから、驚きはなかった。
おつかれさまでした。


こうして人柱を海に沈めて、束の間の満足を得た人は、その存在をきっと一瞬にして忘れるのだろう。


本文とは一切関係ないスカイツリー

 


<< >> read from the beginning new contact