ヒルカニヤの虎



 夜2時15分の待ち合わせ

3日は朝から神保町。神保町という街に足を踏み入れるのはゆうに5年ぶりです。御茶ノ水から明大通りをてくてく歩き、伯刺西爾で唸るほどうまい珈琲を飲む。飲みつつ2日の観笑記録を忘れないうちにメモ。最近もの忘れがひどくてねえ。
12時過ぎ、「ムネリンピック」前にお昼でも食べようと外に出ると3冊500円の古本ガレージセールが開催されており、そのまま14:00の開演まで古本を漁っていました。キッチン南海でカツカレー食べたかったのに!神保町はおそろしい街やで。大阪梅田のかっぱ横丁は高尚な稀少本ばっかりで叩き売りがないのです。ザツな本や雑誌の中に時代の匂いをかぎとるのが楽しい。

そんなわけでヨーロッパ企画永野宗典脚本/演出「ムネリンピック」、出演はカリカと犬の心。およそ不安要素のみつからない演劇なので、見てきました。前日に「神保町花月の椅子はヨシモトでいちばん座り心地のわるい椅子です」と教えられたとおり、途中2回くらい空気椅子で乗り切った。なんだあの謎な椅子の構造は。


■神保町花月‘ムネリンピック’2010/05/03/Mon_14:00-@神保町花月

この日の日替わりゲストはグランジのごめたんと大さん。ちまい永野さんとの暴力的なまでの身長差よ。永野さんは途中「小さい右翼」といじられていましたが、場所・時期ともにとても危険です。そういえばカテコでも「よくこの身長でこの台本が書けたね」「ジャンプして入力キー押すの大変だったでしょ?」等いじられたおしていたなあ。おいしい。公演中京都に帰りたくてしかたなかった角田さん。これもおいしい。

「ハレとケのタペストリー・ムネリンピック」。それにつどう男たち。
演劇はほとんど見ないのでこういう劇を何というのかわからないのですが、メタにつぐメタ、そしてメタ。でも芸人の個性をうまく活かしきっていて、最後には手堅く永劫回帰で締めた。「ガチに見せる演技」を客にガチかどうかわからないほどのテンションで演じるにはそうとうな演技力がいると思う。けどそこはそれ、カリカと犬の心なので安心して見ていられる。大喜利っぽいムネリンピック種目はアドリブだったのかなあ(無名塾の仲代写真de大喜利はもう二度と見れないにちがいない)。それ以外はとてもよく練られた心理実験劇でした。役と素のはざまで揺れ動く山田こと家城さんの演技がよくてねえ。あ、でもおとしどころとしての「虚」っていう要素はいらなかったかもしれない。私は同時代としてのそういう集合意識にどうにも共感が薄いので、弱る。

最後に永野さんがこの劇の意図を「演劇というツールで芸人を殴る」と語っていましたが、どちらかというと演劇人が芸人というツールでお笑い客を殴ったんではないかと。いやな殴られ方ではなかったけれど。気が向いたらストーリーや構造等の内容詳細を書くかもしれませんが、しばらくは忘れないと思うので今はいいや。※このパターンで感想を書き損ね続けているのが1月シュール5の田所仁プロデュース公演。
あ、あと関係ないけど大地震による建物崩壊という事象で笑うことができない自分にびっくりした。おもしろくないのではなくて、自分のなかに変な規制がまだある。笑うためには不自由だなあ。

個人的には、家城さん朗読の遺言詩がよかったです。

2010年05月03日(月)



 水色のキャンディがへばりついたまま

■ラ・ゴリスターズvs東京シュール5vsキュートン キュートン撲滅2010/05/02/Sun_16:30-@浅草公会堂

10分くらい押して始まったのかな?ギリギリまでオレンジ通りの喫茶店で茶をしばいていたので助かりました。撲滅は前から4列目のど真ん中、ムダにいい席。マイク通さなくてもナマ声が聞こえるので、参入よりずっと聞きやすかった。
またしてもかたつむり林の影マイクでOP。なぜか最後に蝸林「はやし―!」客「だいすき――!」と叫ばされるオーディエンス。まあ好きなんで大いに叫びましたけど。
まずは各コンビの紹介Vからラゴリ、なぜかノブコブ吉村がいない。続いてシュール、なぜかしずる池田がいない。そしてシャツイン&ハイウェスト&ムキムキポーズの阿部・押見・そして林さん。本当にシュールさのないシュール5。キュートンは参入でお客様を刀で切り刻んでしまったので、おとなしく舞台から登場。
結局遅れた吉村さんと池田は2階席・3階席で愛想を振りまいていたようです。前列から見るのは首痛い。3階の吉村さんへの家城さんムチャぶり「落ちるなよ吉村!落ちるなよ!!」さすがにそれはできなかった破天荒。
OPの映像が微妙に参入と違っていた。

ラゴリプレゼン「王様ゲーム」王様をお客様にして、壇上のお客相手に繰り広げられるサービスの数々。ラゴリって衒いがなくてすごいなあ。2人目の女性が「告白されたい芸人」にまさかのポイズン阿部ちゃんを選んで好感度がウナギ登りました。しかしそれを聞くや股間にくじ引きの割り箸をあてがい、おっ立てはじめたポイズン阿部ちゃんが最低すぎた。さらに企画を終えて舞台をおりる間際、その女性にお部屋の鍵を手渡した阿部ちゃんはもう芸人でしかないと思いました。ここではしんじの引きが強く、独壇場。

ネタ
ハイキングウォーキング:トランプの新しいルール。ポップ…!私ごときに語れることはなにもないです。
カリカ:弁慶と牛若丸から入る能の「夜空ノムコウ」バージョン。このバージョン初めて見たわ〜。今更ですがカリカのセンスはズバ抜けている。
椿鬼奴:漫談。38歳の奴ねえさん、生まれたのはあさま山荘の年。あの巨大鉄球が突き破ったとき臨月だった(これ若い娘さん通じてなかったな…)。桃井かおり、おしゃべりクッキングの上沼恵美子のものまねをやってくれた。奴ねえさんの笑いは上品でがっついてなくていいなあ。

シュールプレゼン「アドリブコント」悪意どっきり電話。しずる地獄五景のときのだよねこれ。今回は綾部さんとくまだまさしが犠牲。設定は学園祭後の高校生男女グループのカラオケ。綾部チームは男子学生が池谷さん・関町、女子学生がかたつむり林と村上。村上がすさまじいパンチラをかましていました。貪欲な姿勢がえらい。カラオケは関町の絶唱、その後「どうする?帰る?このままどっか泊まる?」で「綾部、泊まってくって親に電話しろよ!」と逃げ道をふさがれた綾部さん、実家に電話をかけさせられる。わけわかってない母親とのほのぼの会話を全部客に聞かれるという苦行です。でもなんとか外泊OKをもらってコント終了。
くまだまさしチームは男子学生が家城さん、押見さん。女子学生が池田と田所仁。田所さん存外違和感ない。カラオケは池田のラブサイケデリコ。で例のごとく「泊まってく?」で田所さん追い打ち「うちSMの道具とかあるよ」ということで、妻帯者で子どももいるくまださんは猛烈にてんぱりつつ電話。結局くまださんは嫁ではなく娘さん(2歳9ヵ月)に電話をかわってもらい、「パパ今日うち帰んなくてもいい?」「SMの道具があるおうちに泊まるからね」と伝える。そのうえで奥さんに「詳しくは○○ちゃんに聞いて」で通話切って終了。任務を遂行できなかったので、これはキュートンチームの負け。

ネタ
POISON GIRL BAND:作詞漫才。阿部ちゃんが作った詩がことごとく既存の有名な歌、というもの。阿部ちゃんの空気感がすごすぎる。夏のお嬢さんで爆笑。ポイズンの漫才は面白いなあ。
増谷キートン:ムード歌謡の世界。コモエスタキートンが初めてのデュエットを、ということで舞台袖からキリキリと釣り糸を引っ張ってくる。曲が始まるとキートンさんの手元めがけて首だけのマネキンがスーッと!会場悲鳴&爆笑。生首を台の上に置き、デュエット曲を歌い上げるキートンさん。はじめは歌わないマネキンが歌いだし、クライマックスの合唱でなんとマネキンの首が高速回転、悲鳴と爆笑のカオス。ラゴリとしずるファンにはなかなかのトラウマです。キートンさんお得意の全裸こそなかったものの、非常におもしろかった。私はつくづくこの手の衝撃がほしい。
平成ノブシコブシ:猿蟹合戦の漫才。よくぞキートンさん後の空気感でがんばったと思う!中盤からだいぶ盛り返していました。

キュートン企画「キュートンルーレット」当たりだと美女とキスができるけど、どんなタイミングで押しても必ずしんじになってしまうルーレット。Qちゃん→かたつむり林→又吉の順でしんじの餌食になりました。しんじすごい活躍。最後はしずるの強制コンビキスであほほどボルテージが上がる客席。前から4列目ど真ん中で苦虫かみつぶしてて申し訳なかったよ。しずるには何の蟠りもないし流れ的にも仕方ないのですが(終演後、いつもお相手していただくIさんに開口一番「しずるかわいそう!」と訴えた)、この安易に流れまくりの風潮を何とかしてほしい。だっておもしろいか?お笑いのオチとしてキスは本当におもしろいのか?客が喜ぶから芸人サイドだって楽な落としどころで濫用しちゃうんでしょ。なんだか最後にヤなものを見たなあ。残念です。ああいう消費のありかたは生理的にダメなんだよ。1000人からの巨大な欲望が一つに向かってしまうのはなんだかすごく怖い。
お笑いとして正しかったのは唯一、リンカーンのダウンタウンパイ投げのあれだけだと今でも思っている。

エンディングは惜しげないキュートン演舞からの光線炸裂=撲滅!で舞台上に6本並ぶ十字架。死んだんかい!めいめい花を手向けるラゴリとシュール。最後に家城さんがマネキン生首を墓前に置く、しめやかな追悼の儀です。でもキュートンを撲滅したのはラゴリとシュールだけどな。またこれからも新しいユニットが出てくれば対決して潰すとのこと。
すすり泣きながら告知などするシュールの無駄な演技力ににやにやしました。※特に家城さんと押見さん。


終演後、念願の神谷バーで電気ブランと洋食をたんまり食らう。Iさんいつもお付き合いくださってありがとうございます。カリカのハイセンスとキートンのすごさと、ライスが足りなかったことなどについて議論。ライスはなんでネタやらなかったの!?

2010年05月02日(日)



 焼け落ちた夢のカケラがメシの種

5月2日昼前、大阪から東京まで空の旅。
浅草公会堂は京急1本&スーパー早割は8,900円也でとにかく早い安いうまい。ありがたいことです。GWは今年も東京でお笑いざんまい。去年はライセンス単独があったんだよねえ。そう思うと1年は短いようで長い。

3日の「ムネリンピック」前に神保町のワゴンセールにて夢中で本を漁っていると、バタイユ「非−知」が二束三文で叩き売られていました。ぱらぱら立ち読んでたらこんな一文。
「笑いの中にある最も不可解な謎は、生の均衡を危険にさらすような何かを人が喜ぶという事態に関係しています。そんな場合に人は最も強烈に喜びさえするのです」
これは「非−知」のメインテーマ「涙」につなぐ導入ですが、「笑いと同じように涙も未知のものの侵入に関連している」とバタイユは続けて書く。その前段階としてバタイユは、笑いをふつうの愉快な笑いと、未知のものの侵入・生の均衡を危険にさらす笑いとに大別している。
ラ・ゴリスターズと東京シュール5とキュートンを5時間見てずっと悶々していたわたくしは、なるほどなるほどと膝を打ったのでした。そう、そういうことなんだよね。所詮わたしはしんじの「人間が喰いたーい!」に何がしかの喜びを覚えてしまうほうの人間なんだよ。
たまには本読まないとだめだな。


■ラ・ゴリスターズvs東京シュール5vsキュートン キュートン参入2010/05/02/Sun_14:00-@浅草公会堂

OPはかたつむり林の影マイク、例によって客席大盛り上がり。1階席−2階席−3階席の1000人超が即完売だったそうですが、拍手の感じではシュール5:ラゴリ4:キュートン1ぐらい?でもシュールの7割はしずる枠。なぜか女王様口調のかたつむり林「浅草公会堂まで歩いてきたら人が多くてびっくりしたねえ…ゴールデンウィークだからね!」M-1決勝のフットのSMタクシーみたいだ(笑)そして衝撃の告知「2階席・3階席からは見えない企画があります!」ええー!まあ1階なんでよかったですけど。
それぞれの紹介映像のあと、ラゴリ→シュール→キュートンの順で登場。ピンクTシャツでポップなラゴリチーム。音楽が鳴るとなんとなくリズムに乗って踊る人たち。主将のハイウォー松田さんは撲滅Tシャツだったのかな。次いでシュール5、ポイズン阿部ちゃんとライス関町がすさまじくシャツイン&ハイウェスト。「さっきまで舞台袖で相撲とってたから」なんなの。ユニット内で収入格差が拡大している紺Tのシュールチーム、しずるだけ名前を呼ばれず。ベタにコケる池田と村上「ちょっとおー!」。綾部「どこがシュールだよ!」まったくです。主将の林さんは参入Tシャツにスーツ。なんだろう、ワイシャツじゃないだけでものすごい違和感!人数が多いうえに基本だらだら慣れ合っているシュールの文化系度は時に目にあまる。キュートンのほうがよほどピシッとしていた。
そんなキュートンの登場は客席うしろからの乱入スタイル。全身ピンクタイツの増谷キートンの首は2つ生えており(双頭の額に「愛」の鉢巻き)、椿鬼奴はチャイナドレスに3本刀(暴れて何度も客の顔を切りつけてしまう)、しんじはパソコンおたく(足の骨折治ってよかったです)、アホマイルドとくまだまさしはふんどしとブリーフケツ出し。
舞台でおなじみキュートン演舞により倒されていくラゴリとシュール。やっぱり演舞は盛り上がるね!要するに殴りこみで、対決です。
OPの映像、全共闘の映像とか使ってたけどよかったのかなあ。あとワイプで爆笑してる浜ちょんは何だったんだろ(本映像は猪木の闘魂注入)(ワールドダウンタウン??)。

ラゴリ企画「触って触ってなんでしょね?」にあらかじめイグアナが入っています。巨大に育ってしまったイグアナの名前は綾部さんの名前「ユウジ」。MCなのに綾部はイグアナを異常に恐れている。キュートンは奴ねえさんとキートンさんでこんにゃくを当て、シュールは関町ひとりでかまぼこを当てる。どっちも不正解で引き分け。しかし無駄にイグアナを触りまくってしまっていた関町、捨て身で箱の中に顔面をつっこんだのにズルッと滑る。
ハイライトはなぜかイグアナを恐れないノブコブ吉村がユウジを鷲掴み、パニックになる芸人を舞台上で追い回し。2階・3階へのサービスかな?ユウジ胴体をうねらせて大暴れ。しずる村上に逃げ際おもいっきり手の指を踏まれたうえ逃げ遅れた押見さんが舞台上で吉村に全力土下座していました。おいしい。MC綾部はありえないほど舞台袖まで逃げ伸びていた。あいつへタレだぜ。

コンビ&ピンネタ。企画とネタが交互になるみたいです。出囃子はTMGEのブラックタンバリンとかCANDY HOUSEとか。
・イシバシハザマ:冒険がしたい漫才。気持ちいいくらいタイミング合うねえ。掴みに最適の間口の広い漫才。
・くまだまさし:おもろかった!なんだあれ超たのしい。浅草から世界にまで通用するすばらしいピン演芸。
・犬の心:ガムテープコント。大阪でやった19の犬のOP/EDコントとはオチが違ってた。押見さんが池谷さんにごろごろ転がされるこっちのほうが好き。

シュール企画「裏切り者クイズ」シュール5田所プロデュース名物の裏切り系。○×クイズをプレイヤーと裏切り者の半々に分けてやる利根川のアレ。「ゴミめら」は相変わらず言えてない。これはもうラゴリの驚くべきポップさ・素直さに唖然といたしました。誰も裏切り者を特定しようとせず、おのおの正解を主張するだけ!!いやもちろんラゴリが悪いんじゃない、むしろラゴリは皆いい人たちです。ハナから正解が何かなど考えようともしない腹黒シュールの面々じゃないとおもしろくなりようがないクイズルールだと痛感する。シュールの面々が裏切りクイズをやる場合、謀略知略が張り巡らされ、すさまじい腹の探り合いが展開され、仲間の思わぬ裏切り、信じたいという祈り、さらなる裏切り、心理戦のすえやがてあらわれる心の深淵、最後にはおのおのが人間不信に陥っていく。そのさまに客席は阿鼻叫喚するのです。あんな壮絶な心理ドラマはなかなかないのに…。シュール5の裏切りクイズを愛する人たちはみな、心に闇を抱えているのだと再確認した一幕でした。キュートンメンバーはまだしも心理戦を繰り広げていましたが、なぜか宗教じみてくるアホマイルドのクニさんとしんじがおもろい(笑)

ネタ
・しずる:怖い話コント。バナナマンの古典「Scare Story」とまったく同じセッティング。バナナマン好きのしずるがあのネタ知らないわけないと思うけどなあ。そこを度外視すればしずるらしいひねった切り口でしたが、客席の「キャー!」が半端なかった。おおお…シュールの本ネタ公演ではクスリとも湧かないのに…!客席は青春コントをこそ求めているのだろうなあ、と思う。
・アホマイルド:小技をいろいろと、スタンディングコメディ風。アホマイルドすごくおもしろいのに、どうして会場受けしないんだろう…?見た目?次の単独に行きたいぐらい好きだ。セロリとマヨネーズの相性。
・ピース:山姥と町役場役人の恋。コント、いや新喜劇かな?ピースのネタは初めてちゃんと見たけど、おもしろかった。ピースには物語へのつよい欲求があるので、もっと長い時間のネタならベタを超えて抒情に辿りつくと思う。

キュートン企画「鳥人間コンテスト」お客様が風になり、その動力で芸人が飛ぶ。抽象度が高すぎてようわかりませんが、要は家城さん着用のブリーフ局部にプロペラがついていたり、吉村さん着用のブリーフ局部にゴムパッチンがついていたりする。これを1階席の客が回したり引っ張ってはじいたりすることで芸人が前へ進み、リレーするわけです。他にポイズン阿部ちゃんの腹殴り、ハイウォー松田さんのキスなど。ああ家城さんのプロペラ回したかったなあ!席の位置によっては通路の芸人さんまで遠かったりするのですが、誰にもプロペラを回してもらえず泣いている家城さんのためにものすごい遠くから走って行った人がいて、その勇気に感動した。シュール5ファンにもあんな熱い人が…!

ED後、暗闇の中ややこしいところにややこしいものをくっつけたままの家城さんと吉村さんが踊り狂う姿がありました。何なんだろうあの人たちは。「参入」は随所にしんじ暴走→奴ねえさんによる捕獲&おぼつかない折檻などあり、とっちらかりつつも楽しく終了。

2010年05月01日(土)



 飛行機の高く飛べるを

ぜんぜん声出ない&耳聴こえてないぜ\(^o^)/※明日は通常出勤です

実に6年ぶりの渋さ知らズ、堂島リバーフォーラムにて楽しんできました。
ああ幸せ。こういうのを念願、いやさ悲願というのだ。ナーダムと本多工務店で無性に泣けた。
社会人になってはや5年、出張や会議で渋さに行くチャンスを潰されること3回。心斎橋と、松本と、去年の心斎橋クアトロだったかな。3回目に行けないとわかったときは「もうこの会社にいる間は行けないんじゃないか」と思ったけど、今回だって日曜京都出張→月曜東京出張→水曜浜松出張のコンボで心身ともに最悪(風邪)だったけど、無事に会場に辿りつけてほんとうに良かった。自転車で行ける距離なんですけどね。スタンディングのバーにかじりついてまるまる3時間、ビール3本のんでいい汗かいた。
ちなみに流れるようにおひとりさまで参戦。渋さ好きが知り合いにいない。

客は男7:女3くらいだったのかしら。会場の2割は何らかの薬物経験者であろうという雰囲気。年齢層もかなりばらばら、外国の方もずいぶん多かった。キュートンTシャツ(しんじ)着てる人いたな〜。

バンドとダンサーの登場は客席後ろの扉から、チンドン屋みたいにぞろぞろと練り歩く。わあ楽しい。モッシュに巻き込まれるのがイヤでやや後方にいたんですが、ステージに上がるまえにサックスとトランペットの音圧で耳の鼓膜がいい感じに麻痺。ふだんの日常生活でおよそ聴かないレベルの音だから、薄皮1枚はがれた感じがする。心臓あたりに音がびりびり共鳴して、あ、わたし生きてたと思う。

演奏が始まって、皆が揺れ出した瞬間にもわあっと柔道部の部室の匂い。くさい!でも懐かしい。
途中ワタベさんのMCで笑わせてもらいつつ(一泊四日の強行軍、心斎橋クアトロ誤報、えんやとっとからのリズム入り間違い→ヨーロッパでの思い出等)、休憩時にはステージを降りてめいめいビールを煽るバンドメンバーたち。客いっぱいの後方フロア、アルコール売り場で始まってしまう小編成の演奏にダンサーが乗っかって、まわりの客が踊り出して、という自由な流れ。休憩なのに何ひとつ休憩していない。後半は壇上からビールの注文が殺到していました。事前アナウンスによって喫煙と携帯使用と撮影と録音が禁止されたのですが、壇上のプレイヤーが堂々タバコ吸ってるし撮影してるし、不破さんはタバコもった手でケムリもくもく指揮してるし、相変わらずの治外法権です。
後半のハイライトでは今回のCD「渋夜旅」のモチーフであるところの漂海鷂魚(銀色の30mくらいある巨大なバルーンの奇怪生物)がうねうね空中を泳ぐ。みんな銀色の腹を見上げて、長い髭に触ろうと手を伸ばす。ただもう圧巻。ラストはもちろん「本多工務店のテーマ」。全員で大合唱&飛び跳ね。あれぐらいの広さがあればいいなあ。聴きたいときに聴けるし踊りたいときは踊れる。「ジャーン」のとこでギター弾く腕の振りができない会場はちょっとしんどい。男のほうがトランス入る人が多いなーと思う。でもモッシュは起きなかった模様。不破さんの合図でバンドがトーンダウンして、客の絶叫まじりのコーラス「ラーラーラーラーラララーラーラーラー」だけがホールに響く。最後はうねる音の渦の中、真空みたいでなんにも覚えてないや。
一部ストリーミングでネット配信されてたみたいです。

あと大阪だけなのかな、黒田征太郎=絵かきのおっちゃんがライブ中でっかい絵を即興で三枚描いてた。よく知らない人ですが。開演前に後ろのカウンターテーブルで談笑してた見るからに「文化人」なおっさんらグループは、あれは黒田さんの関係者なのだろうか。あのお年で3時間スタンディング&渋さの轟音はきつかろうに。でも結局ペロの踊りばっかり見ててあんまり絵に注目できなかった。ペロ大好きなんだよ。
あとはいつもの暗黒舞踊のダンサーさんたち。前半バナナ、後半しゃもじのおしゃもじ隊。今回はじめて見たおかっぱ&サングラスのすてきなおかまバレリーナが誰かに似ている...と考えていて、家帰ってからハローケイスケだ!と膝をうちました。


渋さの音はやっぱり圧倒的に楽しくて、喜びで、贈与で、交換です。繰り返し増幅していく薙ぎ倒されそうな音の波と、むきだしの興奮。すばらしいソロへの讃辞はもっとあっていいような。
終演後、出たとこの物販でまた小編成の演奏が始まっていました。惜しげなんて一切ない、なんというハレ。外に出るともう9時半で、祝日夜の堂島はほとんど人がいないから周りは渋さ帰りの客だらけ。みんな「すごかった」しか言えていない。しかも耳やられてるから声がでかい。めいめい「ラーラーラーラー」歌いながら駅へ散っていくだめな大人たち。
渋さ知らズほどライブ本位な音楽はないと思う。また遊びに行きます。
次からは必ず行けると思うんだ。

音楽のライブについて何か書くのは難しいですね。お笑いはことばにできるけど、音楽は「楽しかった!」で終わってしまう。私はどうやっても音楽を解釈することができない。それでいいと思ってる。


水分とって汗だくになったおかげか、風邪は治った気がします。
しかしうっすらと筋肉痛の兆候が…

2010年04月29日(木)



 Imagine All The People

ええもん見た!と叫びたいライブに思いがけなく当たる幸せ。
犬の心はこれまでユニット系のライブで単発のネタをいくつか見て、見込み違ってたかな?とひそかに思ったりもしました正直。でも違った。
犬の心はいいコント師です。ニコニコしちゃう。
爆笑系ではないけれど、好き嫌いはきっと分かれるけれど、
いずれも佳品と呼びたい粒揃いのコントが19本、みっちり2時間。ケツの骨が痛い以外はなんとも幸せな時間だった。
記憶を刻む場所が脳のどこかにあるならば、普通のお笑いの記憶よりすこし奥まったところにしまっておきたいコントたち。
でもどうしても1本だけ内容を思いだせないコントがある。押見さんがひたすらうっとうしくうざかったことしか覚えていない。

直前までライブがあること自体忘れてて、5時すぎに携帯のアラームで気付いて「このまま忘れてたことにしようかしら」とちらっと掠めたけど、重い腰あげて行ってよかった。
家から30分弱の距離に∞ホールがあってよかった。

カメラ等は入ってなかったようなので、ネタばれ気にせず備忘録です。


■犬の心コントライブ‘19の犬’ 2010/04/18/Sun_18:00-@ヨシモト∞ホール大阪

とりあえず順不同でセトリのみ。
コント名はてきとう、内容は後日に。1本抜けています。

ガムテープ
刑事
お湯
たけのこの里
ワンちゃんズ
密室にて
押見にとってコントとは?
爆発自転車
テレビが客席
市長独裁
池谷の好きな食べ物は?
弔辞
検索(池谷ピンネタ)
PS3(押見ピンネタ)
隠してるもの
泥棒
息子を殴る
ガムテープ再び
+押見さんがひたすらうっとうしかったことしか覚えてないコント

カテコ
アンケートが用意されておらず、驚き失望する2人。
感想は押見ブログにコメントしろとのことでしたが、そんなんできるわけないので自分ちの庭に書いておきます。
オールザッツでド滑り→月刊コントでややウケ→単独大ウケ、で味を占めた犬の心。大阪単独も視野に入れてくれるそう。たしかに客の入りもウケもよかったし、これからもぜひお願いしたいです。
池谷さんはやはりどこまでも自由。


後から思いだして何度も咀嚼したいライブって実はそんなにない。
非常に丁寧でサービス精神に溢れ、なおかつ実験的なコントの数々でした。
こういうコント師はもっともっと評価されていいのになあ。
あーいいライブだった。

それにしても2人とも泣きすぎです!

2010年04月18日(日)
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